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2019年07月31日

ロシア音楽教育における伴奏法の実際

 一般向け文化講座「はこだてベリョースカクラブ」の今年度第3回目の内容です。
 今回は、ゲスト講師に函館市出身のピアニスト吉田千紗さんをお招きし、お話していただきました。吉田さんは、現在モスクワ在住で、モスクワにある現代文化大学の専属伴奏ピアニストを務める傍ら、ロシアのグリーグ協会のメンバーとしてロシアやノルウェーでコンサートを行っています。

テーマ:ロシア音楽教育における伴奏法の実際
講 師:ピアニスト 吉田 千紗さん

 ソ連時代から多くのすぐれたピアニストを輩出したことで知られている、ロシアのピアノ教育は、「ロシアピアニズム」とも呼ばれます。
 この「ロシアピアニズム」はソロピアニストを生み出すときの独特な教育法と捉えられがちですが、アンサンブル奏法や伴奏法に対しても独自の方針を持っており、未来の演奏家たちの音楽的な視野を拡げる大きな助けとなっています。
 それでは、日本とは全く異なるロシアの音楽学校のシステムや教育内容について説明します。
 例えば、日本でまずピアノを習おうとすると近くの個人教室に行くことが挙げられます。また、ピアニストを目指そうという人は、専門的に学べる学校もありますが、多くは小学校、中学校、高校の放課後に習いに行く、そして音楽大学や大学院へ進学し、ピアニストになりますが、ロシアではスタートが違います。
 ロシアでピアニストを目指す場合は、地域ごとに音楽教育専門の一貫教育学校があり、そこで音楽を中心に学びつつ、最低限必要な一般科目を学びます。その後、より専門的なことを学ぶために大学4年、そして大学院へ進みます。
 大学院では、ソロピアノ、アンサンブル、伴奏法の三つの中から自分の適性を考え、選びます。ソロピアノというのは、100%自分の力で臨みます。卒業後の職業は、コンサートピアニストが主です。一人で舞台に立ち、演奏をします。
 アンサンブルは、ピアノのほかに色々な楽器等と合奏するので、自分を出すというのはグループの構成によって等分の力で、合わせる力が必要になってきます。卒業後はアンサンブリストでグループを組んで、定期的に演奏をする音楽家になる人が多いです。
 そして伴奏法は、自分ではなく主演奏者が100%です。日本で伴奏というと、陰で伴奏は音を小さく弾けばいいと思われがちですが、総括的な音楽を作る立役者です。自分ではなく相手を引き立たせ、相手を見て演奏に変化を付ける柔軟性が必要です。歌手とやる場合は、歌手の状態を見ます。体調だけでなく、会場の響きや音のバランスなど全体を見渡せる力が必要です。伴奏法を学んでいるとオーケストラでいう第一バイオリンのような立ち位置のコンサートマスターになる人がいます。
 ソロピアノ、アンサンブル、伴奏法の、どのコースを選んだピアニストも教育者になる場合があります。 それは音楽学校で教鞭を執る人もいれば、日本のピアノ教室のイメージに近い、個人レッスンの教室を行う人もいます。
 ロシアの音楽教育は、ピアニストだけでも目指す方向は様々で、職業的多様性があることが分かっていただけたかと思います。

 では、このロシア音楽の流れはどこから始まったのでしょうか。
 音楽には必ずその土地で生まれた民謡や、宗教と関わってきます。ロシアでいうとロシア正教会の宗教音楽が関わってきます。このロシア生来の音楽の伝統を含みながら、ヨーロッパの流れを取り入れたのはグリンカ(1804-1857)です。
 グリンカの作った曲はソロピアノでは馴染みのない曲が多いですが、伴奏法では多く演奏する曲ばかりです。
 グリンカの作る音楽から西洋派のチャイコフスキー(1840-1893)と国民学派のバラキレフ、キュイ、リムスキー・コルサコフ、ムソルグスキー、ボロディンの「5人組」の大きく分けて二つの会派に分かれます。「5人組」は、一人ひとりの作曲数はすくないのですが、ロシア独自の資質があり、人気が出ました。
 この二つの流れを引き継いだのが、ラフマニノフ(1873-1943)です。皆さんご存知の「鐘」の作曲者です。
 そしてロシアで有名な詩人と言えばプーシキンです。このプーシキンの作った詩「歌うな、美しいひとよ」は、グリンカから始まり、46人もの音楽家が曲をつけました。グリンカ作曲のものと、ラフマニノフ作曲のものの聴き比べをして終わります。皆さんは、それぞれの曲の中にどのような風景を思い浮かべますか?

*最後の曲のほかにも吉田千紗さんには数曲弾いていただき、またソプラノ歌手の次藤正代さんにも吉田さんの伴奏で歌を披露していただきました。
 このお二人のコンサートが8月16日(金)函館ハリストス正教会 信徒会館にて行われます。詳しくはこちらをご覧ください。

 

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2019年07月18日

25周年 缶バッジ&Tシャツを作りました!

 7月4日(木)夜、開催された函館校開校25周年記念コンサート“「極東の窓」から”では、来場者への記念品として、オリジナルの缶バッジを作りました。学生によるデザインコンテスト形式を取り、上位3作品を製品化する予定でしたが、7作品の応募があり、どれも力作だったため、結局は全作品を製作しました!

 

 条件はただ一つ、25周年とわかるよう、25の数字を入れること。でき上がった7種類のバッジはそれぞれ個性的で、選ぶのに迷ってしまいます。
 コンサート当日は、ホワイエでご来場のみなさまに一人ひとつ、選んでいただきましたが、お気に入りの一つを決めるのに迷いに迷っている方もいましたよ。
 
 

 さらに、コンサートポスターと同じ「窓」のデザインをあしらったスタッフTシャツも作り、学生たちはこれを着て張り切って働きました。グランドフィナーレでは、コール八幡坂もTシャツに着替え、「はこだて賛歌」を歌いましたが、伴奏してくださったピアニスト・高実希子さんとヴァイオリニストの田代裕貴さんも同じTシャツ姿でステージに現れると、会場もドッと沸きました。

 

 いざ出陣!

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2019年07月10日

日露合作映画「ソローキンの見た桜』函館上映

 日露合作映画「ソローキンの見た桜―В плену у сакуры」が函館のシネマアイリスにて上映されます。初日の上映後、函館校のイリイン・セルゲイ校長が舞台あいさつに登壇し、益田祐美子プロデューサーと映画の感想や函館とロシアの関わりなどをお話しします。

 この映画は本年4月に開催された第41回モスクワ国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門に正式出品され、10月1日からロシア全土での劇場上映も決定しました。
 シネマアイリスでの上映は1週間ほどを予定しています。この機会をどうぞお見逃しなく。


<舞台挨拶> 

日時:2019年7月13日(土) 13:00からの上映終了後
場所:シネマアイリス(函館市本町22-11)
TEL 0138-31-6761
登壇:「ソローキンの見た桜」プロデューサー  益田祐美子氏
ロシア極東連邦総合大学函館校 校長 イリイン・セルゲイ(予定)


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2019年07月05日

ミリオン・ズビョースト 第100号

 函館校の学報であり、函館日ロ親善協会の会報であるミリオン・ズビョースト/百万の星 第100号を函館校のページに掲載しました。

 今回の巻頭言は、大渡涼子総務課長による「百万の星となれ」です。この春で開校25周年を迎えた本校、そして今号で記念すべき発刊100号を迎えた学報ミリオン・ズビョースト。市民の皆様への感謝の気持ちとこの学報創刊にまつわる話について書いています。
 また記念号ということで、函館校草創期の元職員や卒業生が寄稿してくれました。それぞれがどのような気持ちで入学したのか、また在学中過ごしたのか、そして現在…と話は様々です。
 そのほか、4月に入学した1年生たちの寄稿もあります。新入生からの寄稿では慣れない一人暮らしに寂しさを感じつつも、ロシア語学習への意欲を感じる文章となっています。是非、ご一読ください。

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2019年07月04日

大門合同学生祭に「コール八幡坂」が出演、「ピロシキ八幡坂」が出店します

 7月6日(土)、7日(日)、はこだてグリーンプラザで開催される大門合同学生祭に、「コール八幡坂」がステージ出演し、「ピロシキ八幡坂」が出店をします。
 コール八幡坂は、7月6日(土)16:15~16:30頃の時間に出演します。
 ピロシキ八幡坂は、6日(土)・7日(日)両日ともに出店します。本校が今まで提供してきていた「肉ピロシキ」と「りんごピロシキ」に加え、昨年学生たちで考案した、ロシアの伝統的なサラダを具材に使用した「ヴィネグレットピロシキ」の計3種のピロシキを販売します。
 さらに今回は、ロシアで広く親しまれている飲み物「モルス」も販売します。これはベリー系の甘い味わいにレモンの風味を加えて、さっぱりした味が口に広がる仕上がりになっております。お子様からご高齢の方までおすすめの飲み物です。

他では体験できないロシアの世界に浸ってみませんか?


7月6日(土)14:00~20:30
7月7日(日)10:00~16:00

ヴィネグレットピロシキ 250円
肉ピロシキ       200円
りんごピロシキ     200円
モルス(ジュース)   100円


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2019年07月02日

コール八幡坂 練習佳境!

 いよいよ今週に迫った開校25周年記念コンサート 「『極東の窓』から」。
 2曲披露するコール八幡坂の練習も佳境に入りました。民族衣装を着て、芸術ホールの舞台をイメージしたフォーメーションで練習を積んでいます。
 チケットをお持ちの方、ご期待くださいね!
 
 *なお、チケットは予定枚数に達したため、配布を終了しておりますのでご了承ください。

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2019年07月01日

2019年極東大学オリジナルカレンダー 7月は??

<7月>沿海地方水族館(ウラジオストク)
 
 2017年に完成したウラジオストクのルースキー島にある沿海地方水族館です。市街地からバスやタクシーで1時間程のところにあります。
 建物は貝殻をイメージしているようで、真ん中が真珠のように光っています。そこが建物の入り口。しかし、この入口にまで行く間にも小さな子どもが遊べる遊具のある公園や、巨大な恐竜やイカのオブジェなどの足を止めたくなる誘惑があり、なかなか建物まで着きません。
 さぁ、いよいよ建物に入るぞ!魚を見るぞ!と思って一歩踏み入れると、出迎えてくれるのは、またもや大きなクジラとシャチのオブジェ。生身の魚の展示の部屋は奥の方で、なんと地球の誕生、生命の誕生という壮大なスケールから展示が始まります。
 日本の水族館とは少し雰囲気が違いますが、イルカやアシカのショーもあり、魚の水槽は極東ロシアのアムール河やハンカ湖、バイカル湖、日本海に生息する生物の展示をしています。
 一日じっくり楽しめる現地でも人気のお出かけスポット。ウラジオストクを訪れた際には是非訪れてみてください。
 

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