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2016年10月28日

シベリアタイガの暮らし

 一般向け文化講座「はこだてベリョースカクラブ」の今年度第5回目の講話内容です。

テーマ:「シベリアタイガの暮らし」
講 師:イリイン・ロマン(本校講師)

 みなさんは、シベリアとはどこの地域のことか分かりますか?
 (地図を見ながら)ウラル山脈から右側全て、というのは間違いで、今はウラル山脈からアムール川の間をシベリアと言います。この広い地域は日本の面積の30倍ありますが、人口は600万人しかいません。人口密度に換算すると1平方キロメートルに2人しかいません。
 今日はこのシベリアの中でもモンゴルから流れるエニセイ川を北に1,000㎞進んだ小さな村、バフタに住む人々について話をします。
 バフタの人口は300人ほどです。近くの駅は700km先にあります。車が通れる道もありません。電話もインターネットもありません。村には週に1回ヘリコプターが来るだけです。
 この300人の人口のうち、50人位が公務員として働いているだけでほとんどの人(男性)の仕事は主に狩猟です。捕まえた動物の毛皮を売って生活します。しかし、その狩猟の期間は11月~2月までと決まっています。なぜなら、夏に捕まえてもその動物の毛の質は良くないため、売り物にならないのです。また、そうしておくことで極端に動物の数が減ることもなく、動物の毛の質も美しく温かいものが手に入るのです。
 夏の間は、冬の狩猟の準備期間です。雪の中を移動する、スキー板を作ったり、丸木舟を作ったりします。森の中で、ちょうどいい木を見つけて毎年作ります。そのため、楔とまさかりは必需品です。この夏の時期の問題は、虫です。森の中にはブヨや蚊といった虫が多く存在します。作業に集中できないくらいです。薬は白樺の木の皮をいぶして作ります。すごく臭いですが、ここで生活する人は子どもも皆、我慢して全身に塗ります。すべては冬のためです。
 冬に仕事をスムーズに行うために、森の中に1,000個以上の罠を仕掛けます。広い森の中で猟をするために、森の各所に生活できる小屋もあります。夏はこの小屋の整備もしなくてはなりません。この地域は4月でも雪が降ります。その降った雪の重みでつぶれた屋根を直したり、壊れた窓を修理したりします。窓は、あえてガラスを使いません。ビニールを使います。それは熊による被害を大きくしないためです。食べ物を探しに熊が小屋に来て暴れます。ガラスだと破片が飛び散り、始末が大変ですがビニールであれば張り直せばいいのです。小屋はいわゆる丸太小屋です。森にある木を使います。丸太と丸太の隙間は苔で埋めます。
 小屋の修理のほかに食糧を蓄えます。作った丸木舟をエリセイ川に浮かべ、釣りをします。たくさんの魚を釣って、それぞれの小屋の近くの食糧庫に置いてまわります。食糧庫は熊に見つからないように高いところに設置します。その根元にはビニールを巻き、ネズミが登れないようにします。こうして、安全に食糧を保管し、冬に備えます。冬は家から離れ、この小屋を行き来して生活するのです。
 シマリスが松ぼっくりを蓄えはじめると秋が来た知らせです。住民たちも、木の実を取ります。森の恵みです。秋は短く、すぐに冬がやってきます。
 川が凍り、雪が積もり、冬になるとしばしの間家族に別れを告げ、森に向かいます。森までは凍った川の上をスノーモービルで走ります。夏の間に準備したスキーを履き、森の中の仕掛けを確認し、小屋で寝泊まりします。唯一、家に帰るのは12月31日だけです。スノーモービルを走らせ、何十kmも離れた家に向かいます。狩りのパートナーである猟犬も家族です。一緒に帰ります。そうして、少しの休暇を取ったあと、彼らはまた森に戻っていきます。
 彼らの生活はシベリア タイガとともにあるのです。

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ロシアの文化,歴史,経済,政治などを学ぶ、日本で唯一のロシアの大学の分校です。

2016年10月13日

ロシアまつりTシャツアーカイブ 6

<第9回 2006年11月11日>
 
 「神なる水海 バイカル」をテーマに行われたまつりです。ブルーのTシャツに、バイカル湖のシルエットと、バイカルの自然を歌ったロシア民謡“Славное Mope, Священный Байкал(栄えある海、神聖なバイカル)”の歌詞が書かれています。
この歌は男声合唱で朗々と歌い上げる美しいもので、この年のまつりでは、コール八幡坂が披露しました。



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2016年10月06日

ロシアまつりTシャツアーカイブ 5

<第8回 2005年11月12日>
 
 日露修好150周年記念の年に行われたロシアまつり。まつりTシャツ史上、もっともかわいいと評判のTシャツです。
 イラストの得意な学生が教員を描きました。みんなの特徴をよくつかんでいますね。


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2016年10月05日

ミリオン・ズビョースト第89号

 函館校の学報であり、函館日ロ親善協会の会報であるミリオン・ズビョースト/百万の星 第89号を函館校のページに掲載しました。

 今回の巻頭言は、イリイナ・タチヤーナ准教授による「2016ウラジオストク」です。この夏、ウラジオストクで孫娘の世話をしながらおだやかに過ごす日常、そして9月に中央広場で開かれたコンサートを楽しむ様子など、タチヤーナ先生がこよなく愛する街・ウラジオストクの雰囲気が伝わってきます。

 また、今号は北方四島交流事業で択捉島を訪れた学生や、インターンシップでサンクトペテルブルク・モスクワを訪れた学生からの投稿もあります。現地のロシア人たちと触れ合い、様々な刺激を受けてきたことがわかります。
それぞれが夏休みを経て、一段成長した様子です。是非ご一読ください。

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