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2008年08月28日

FMいるか「デルカーチ先生に聞く 2」

 今年のロシアまつりには、ロシアの伝説的オートバイ、ウラル・バイクチームがやってきました。ロシアゆかりの地を巡るツーリング・ツアー、「全日本ウラル・マラソン」が今年のまつり会場でフィニッシュを迎えたのです。迫力あるサイドカーつきのウラルが6台連なり、日ロの国旗をはためかせながらゴールした姿は大変感動的でありました。
 今回は、その「全日本ウラル・マラソン」について、主催者であるウラル・ジャパン社のオレーシャさんが電話で特別参加、詳しいお話をしてくださいました。

ゲスト:ロシア極東国立総合大学函館校
     講師 デルカーチ・フョードル(以下デル)
     ウラル・ジャパン株式会社 マーケティング・マネージャー
     リャチェンコ・オレーシャ(以下オレ)

聞き手:財団法人 北海道国際交流センター
     事務局長 池田 誠(以下池田)
    
<7月12日放送 第2回 ロシアの大型バイク・ウラルについて>

池田:今週も引き続きロシアまつりについてお伺いします。デルカーチ先生、こんにちは。

デル:こんにちは。Здравствуйте(ズドゥラーストゥヴィチェ)!

池田:今までやっていた11月から、今年は7月ということで、本当に季節が変わりましたよね。今年は夏ならではの色々な企画があるということで、先週もちょっとお聞きしましたが、今年のスペシャル…、何ですか、ロシア産のバイク?

デル:そうですね、それはかなり長い歴史を持っているバイクなんですけれども、第二次世界大戦が終わってから作られた、ロシアでもベテランのブランドなんです。ウラルという大型バイクで、いつもサイドカーつきのものなんです。

池田:へえー、かっこいいですね。ナナハンなんですか?

デル:そうですね、750ccと書いてありますね。

池田:サイドカーというのは、横に何を付けて走るんですか?

デル:人が乗ります。

池田:あ、なるほど、隣に人が乗れるんだ。

デル:そうですね。ですから、免許も普通免許らしいです。

池田:乗ったことありますか?

デル:ないんですね。私はバイクを運転したことがないので、やっぱり普通免許でもちょっと勉強が必要じゃないかな、と。

池田:乗ってみたいですねー、ロシアまつりに来るわけですよね?見たいですね。

デル:私も乗ってみたいです。

池田:では、このウラルの会社の方にお話をお聞きしてみたいなと思いますけど、このバイクを扱っているところの方とはお知り合いなんですか?

デル:極東大学の人なんですね。同じ大学の卒業生です。卒業生はいろんなところにいるんです。

池田:じゃあ、ちょっと電話してみましょうか。もしもし、オレーシャさんですか?よろしくお願いします。こちらにデルカーチ先生もいらっしゃいます。

デル:Привет(プリヴェット=やあ)!

オレ:プリヴェット、プリヴェット!!

池田:今ですね、ちょうどお話をしていまして、ロシア産大型バイク、ウラルがやって来るということなんですが、どんな感じで来るんですかね?

オレ:そうですね、スタートポイントは長崎。

池田:これはオレーシャさんが運転してやってくるんですか?

オレ:いえ、私はまだ運転できないんですけれども、ロシアからこの行事のためにわざわざ友だちはたくさん来ていますので、ウラルの運転には結構慣れています。

デル:じゃあ、オレーシャさんはサイドカーに乗るわけですか?

オレ:サイドカーに乗る人もいますし、運転する人もいます。私はサイドカーに乗ります。

デル:疲れるでしょうね、全部でポイントの町は何ヵ所あるんですか?

オレ:まだ数えていないんですけれども、最初は長崎、その次は大分、大分の次は松山、松山から岡山県の津山市、そしてその次は神戸、福井、富山、新潟、秋田、秋田から青森まで行って、青森からフェリーに乗って函館まで、函館でフィニッシュ。

池田:へえー、長そうですね。サイドカーというのは例えば雨が降った場合には雨にあたっちゃうんですかね?

オレ:あたりますけど、あたってもフレームはとても丈夫なので、全然差し支えはないです。

池田:傘を差して、とかじゃないですよね。

オレ:みんなレインコートを持っています。雨の中で走ります。

池田:そうですよね、傘は危ないですもんね。デルカーチ先生も乗りたいって言ってるんですけれども、乗せてもらえるんですか?

デル:是非乗せてくださいね、函館に着いてから。

オレ:もし怖くなければ、是非試乗してください。

デル:オレーシャさんが運転していない限り、怖くないと思います。

オレ:わかりました、プロの人に任せます。

池田:オレーシャさんとデルカーチ先生は同級生なんですか?

デル:まあ、同級生ではないんですけれども、二人とも極東大学の本学の卒業生ですね。

オレ:でもデルカーチさんはずっと先輩ですよ。

池田:オレーシャさん、日本語上手ですね。

デル:そうですね、あなたの日本語をはじめて聞いた。

池田:ところで、オレーシャさんは音楽もやられてるんですか?

デル:実はオレーシャさんにはかくし芸があります。

池田:何ですか?

オレ:何があるでしょう、歌も歌っていますし、作曲も暇な時間がある時にやっています。

デル:実はこういう偉い方と話しているんです。

池田:本当ですよね。そして今、会社を経営されてるんですか?

オレ:そうですね、社長はいますけれども、社長はいろんな仕事で忙しくって、私が経営を任されています。

池田:へえー、じゃあこのウラル・ジャパンの経営をしていて、なおかつ歌手でもある…。

デル:ウラルはロシア産のバイクなんですけれども、ウラル・ジャパンのような支店があるのは日本だけですか?

オレ:いえいえ、日本だけではないです。最近は世界でアメリカとかカナダ、そしてヨーロッパの各国でも、南アフリカでも販売されています。

デル:オートバイ関係の英語の雑誌なんかでたまたま見ますね。ウラル関連の記事とか載っていますね。

オレ:そして近いうちにアジアの各市場にも進出する予定です。例えば韓国でも近いうちに販売が始まります。

池田:すごいですね、ロシアまつりでお会い出来るんですよね?楽しみですねー。

オレ:はい、こちらも楽しみにしています。

デル:暴走だけはいけないね。

オレ:いや、ウラルはそんなにスピードを出すオートバイではないんです。

デル:うるさいんですか?

オレ:うるさくはないんです。サイドカーが付いていますので、そんなにスピードを出してはいけないので、地方の道をゆっくり走りながら周りの景色を見るオートバイです。

池田:わかりました。じゃあ、ロシアまつりでお会いできるのを楽しみにしておりますので。今日はありがとうございました。

デル:とにかく気をつけてください、マラソン中は。

オレ:ありがとうございます。失礼します。(電話終了)

池田:ということで、なかなか楽しいですね。オレーシャさん、後輩なんですか?

デル:そうですね、何年でしょう、3年くらい違うと思いますけれど。

池田:10年ぐらい前ですかね、函館で「日ロック」というライブがあって…。

デル:そうですね、ムミー・トローリというバンドが来て、当時はロシアのトップだったんです。オレーシャさんはその時には来なかったんですけれども、実際にはアルバムのバック・ヴォーカルでした。とても素晴らしい声の持ち主です。

池田:いやー、楽しみですね。ウラルも楽しみだし、オレーシャさんにも会いたいな。

デル:そうですね、私も会いたいな、久しぶりで。

池田:あとはお天気だけですね。

デル:神様に電話しなければならないね。これから祈るだけです!


ゴールしたオレーシャさんたちにデルカーチ先生がインタビュー

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2008年08月25日

リンクのお知らせ

 リンク集に「日本・ウラジオストク協会」を追加しました。

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2008年08月12日

FMいるか「デルカーチ先生に聞く 1」

 今回は2008年7月、FMいるか「ONE WORLD WAVE」で放送された内容をご紹介します。
 この番組では月替わりでいろいろな国の方をゲストに迎えてお話を聞いています。7月は本校のデルカーチ講師がゲスト出演し、ロシアまつりの話題をメインにお話しました。

 デルカーチ先生はロシアまつりでは常に企画、広報などで中心的役割を果たしています。ポスターやチラシなども毎回デルカーチ先生のデザインによるものです。
ロシアまつりは終了してしまいましたが、今読んでもまつりの側面がわかるおもしろい内容ですので、どうぞご一読ください。
 3回に渡り放送された内容を随時掲載しますので、今後もお楽しみに!

ゲスト:ロシア極東国立総合大学函館校
    講師 デルカーチ・フョードル(以下デル)

聞き手:財団法人 北海道国際交流センター
    事務局長 池田 誠(以下池田)
    
<7月5日放送 第1回 2008はこだてロシアまつりについて>

池田:デルカーチ先生、こんにちは。

デル:こんにちは。Здравствуйте(ズドゥラーストゥヴィチェ)!

池田:いよいよ7月に入りましたけれども。

デル:そうですね、また忙しくなりますね。

池田:なんで忙しくなるんでしょうかね。

デル:みなさん多分、おなじみになりましたロシアまつりというものが、今まで10回やりまして、今回は少しプログラムを変えようかということで、夏に回してみました。

池田:今までは11月ですよね。

デル:そうですね、11月上旬です。

池田:みなさんもう、その時期はロシアまつりだと思っていたんですけれども、なんと今年は夏にやります、と。

デル:そうですね、暖かい天気になりますように、今は祈るだけなんですけれども、外でやりたいとずっと前から考えておりまして、今年ついに実現させます。

池田:ちなみに先生は極東大学に来て何年ですか?

デル:函館の極東大学は1997年からですね。私はその大学(ウラジオストクの本学)の教え子でもあるわけですから、それは1987年に入学して、それからなぜかずっと、母校と関係を持っているわけです。

池田:卒業してから先生をやっているということですよね。さて、第11回はこだてロシアまつりですね。毎回テーマが決まっているようなんですが、今年はどんな?

デル:せっかく外でやるということで、ロシアには昔からある、まあ日本にもあるようなものだと思いますけれども、“ヤールマルカ”というものがあって、それはどうやって日本語に翻訳すればいいか、大学のみんなでその言葉を考えていたんですけれども、結局“楽市楽座”という言葉が一番当たるんじゃないかと思って、「ヤールマルカ~ろしあ楽市楽座~」というテーマにしたんですね。それは昔から、ヤールマルカというものは主に商業祭なんですね。様々な商人がいろいろなところから一つのところに集まって、例えばモスクワとか、ニジニ・ノヴゴロドとか、とても有名なところがあって、そこで大きな商業祭をやりますね。日本でもよく“フェア”という言葉が使われますが、実際にヤールマルカは英語のフェアに一番近いと言われています。そこで様々なパフォーマンスとかアトラクションとかもやっているわけですね。

池田:じゃあ、実際に今年のはこだてロシアまつりもそういうパフォーマンスがあるということなんですね?

デル:それに近づけばいいな、と思いますけど。

池田:さて、中身のほうはどんな感じなのでしょう。

デル:まずステージショーがありますけれども、いつもうちの鳥飼先生が担当しているコール八幡坂(合唱サークル)は、いつもは女子が多いのですが、今年は男子が多く集まっています。とても楽しみです。

池田:デルカーチ先生はコール八幡坂ではないんですか?

デル:私もその中に入ると思います。声だけはうるさいんです。また、今年3回目になりますが、人形劇をやります。今年は「三つの願い」という小さな劇をご紹介させていただきます。また、今年スペシャルのものもありますが、実はちょうどロシアまつりを行うときに、長崎からロシア製のバイクのマラソンがスタートして、ロシアまつりの現場でフィニッシュが予定されています。ナナハン(750㏄)ですね。そこでフィニッシュして、プレゼンテーションなどもします。

池田:単なる7月19日一日だけのおまつりじゃなく、その前から始まっているということですね。

デル:そうですね、向こうもとても楽しみだと言っています。またその当日は青函カップヨットレースもありますので、ロシアからヨットも入ります。海からも陸からもロシア人が来るということです。

池田:ロシア船上陸、みたいな感じですかね。いつも僕が楽しみにしているのはロシア料理なんですが、今年はどうですか?

デル:今年はきのこのスープが中心だと思いますけれども、串焼肉とかいろいろなものがあります。サラダとか、夏のメニューをちょっと出したいな、と思いますね。

池田:ちょっと違うんですね。ボルシチというのは冬のメニューですよね。

デル:そうですね、ボルシチに使う赤カブを収穫するシーズンは、秋に入ってからですね。今は夏なので、手に入らないという理由もありますけれども、夏のスープはきのことかいっぱい入っているので、それも出したいと思います。

池田:おもしろいですね。じゃあ、違った“夏のロシア”を楽しんでもらえるという…。

デル:そうですね、ロシアにも実は夏があります!暑いです、30℃を超えます。

池田:半袖は要らないのかと思いました。

デル:みんな半袖ですね。

池田:そうですか。まもなくということで、みんな準備をしているところですね。

デル:そうですね、学生たちも忙しくて忙しくて、勉強が間に合うか心配です。

池田:勉強もしながら、ロシアまつりの準備もする、ということですね。デルカーチ先生から、今年はこんなだから是非来てください、というのを一言いただきたいと思います。

デル:一生懸命がんばりますので、みなさん是非来てください。楽しみを保証します!


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2008年08月08日

ヤールマルカが出来上がるまで

 はじめての屋外開催となった2008はこだてロシアまつり。
 テーマとなった「ヤールマルカ~ろしあ楽市楽座~」に合わせ、ロシアの市の雰囲気を出そうと試行錯誤しながら準備した、前日から当日までの様子をご紹介しましょう。

前日午後、会場となった駐車場に男子学生がテントを張っていきます。10張りものテントを張るため、体力勝負。
食堂では料理の仕込み。アニケーエフ先生の指導の下、シャシリク(串焼肉)の準備。大量のにんにくの皮むきが、一番手間のかかる作業。
キオスクで販売する商品の値付けとポップ作り。少しでも売れるように、カラフルに。
当日午前、かわいらしい看板も設置されて、会場が整っていきます。
12:00の開場を待ちわびるお客様がこんなに!
目指すはロシア料理。開場と同時にチケット売り場には長蛇の列。
ウラル・バイクチームの到着を学生がフレップ・ソリ(パンと塩の儀式)で歓迎します。
チェス大会決勝。小学生の部と一般の部それぞれの決勝進出者が、観衆の見守る中、静かに熱い戦いを繰り広げます。
はじめてのロシア語教室。イリイン・ロマン先生が説明するキリル文字に熱心に見入る受講生の方々。

いかがでしたか?ヤールマルカの雰囲気が伝わったでしょうか。今年来られなかった方は来年遊びに来てくださいね。

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2008年08月07日

「ロシア民謡と踊りの夕べ」函館公演のお知らせ

 社団法人 北方圏センターと函館日ロ親善協会が主催するサハリン芸術交流団「ロシア民謡と踊りの夕べ」函館公演を下記のとおり開催します。北方圏センター設立30周年を記念し、また函館市の「函館におけるロシア年」事業にも協賛しております。
 ロシア民謡舞踊団「エキゾチック」とロシア民謡アンサンブル「エトノス」が躍動感溢れる素敵なステージを披露します。「カチューシャ」、「カリンカ」、「百万本のバラ」など日本人にもおなじみの曲をメインに、多彩なレパートリーと美しい衣装で観客を魅了します。どなたでもお楽しみいただける内容ですので、是非ご覧ください。


日  時:平成20年9月12日(金) 開場18:00 開演18:30
場  所:金森ホール 函館市末広町14-12
入場料:自由席 1,500円 (当日券2,000円)
お問い合せ:函館日ロ親善協会(ロシア極東国立総合大学函館校内)
      TEL0138-26-6523

※ 前売り券は本校事務局でも取り扱っております。
※ 公演についての詳細はこちらをご覧ください。
http://www.nrc.or.jp/hakodateansanburu.pdf

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2008年08月05日

サミット狂想曲

 2007年4月、夕刊一面に“サミット開催地、洞爺湖に決定”の文字が躍った。私は、あるロシア人の先生にこう言った。「サミットが北海道で行われるんですって、プーチン大統領が来るかもしれませんよ!」
 先生はこう応えた。「サミットって何の?日本には何とかサミットというのが多すぎる。それにその時の大統領はプーチンじゃありませんよ。」
 しかし、この場合のサミットは紛うことなきG8サミット。世界の首脳がこの北海道の地に集結するのだ。誰になるにせよ、ロシアの首脳が来るとなれば、当然我々ロシア極東国立総合大学函館校も何らかの形で関わることになるだろう。
 函館市は大統領招致をロシア政府に要請した。ほかにも、根室市と白老町がそれぞれロシアとのゆかりをアピールし、招致に名乗りを上げたが、函館市がその縁の深さから最有力とされた。一生に一度あるかないかの経験、期待に胸がふくらんだ。

 年が明け、2008年2月、サフォーノフ・オレグ ロシア大統領府極東連邦管区大統領全権代表が初来日、大統領に直結する全権代表7人のうちの1人という要人が函館校を訪れた。その直前、また新聞が“ロシア大統領、函館訪問へ”と一面で報じた。サフォーノフ氏の来函はその伏線であり、大統領来訪の際には旧ロシア領事館や函館ハリストス正教会、ロシア人墓地、そして極東大学にも立ち寄ると書いてある。朝、家でそれを目にしたときには眠気も覚めた。

 それからがちょっとした騒ぎであった。会う人ごとに、大統領が来るんでしょ、すごいですね、などと言われ、貸切バス業者やホテルなどから問い合わせが相次いだ。函館校と同じ建物の中に在札幌ロシア連邦総領事館函館事務所があることもあり、警察のパトロールも強化された。消防署からの要請で、特別に避難訓練も行われた。だが、あくまでも我々は訪問される側であり、これらの手配に関してはロシア政府と函館市が主に行うことを説明し続けた。むしろ周りの方が熱を帯びている感じであった。
 様々なことが想定されていたようだ。洞爺湖に最も近い新千歳空港は、サミット時には参加国の特別機でいっぱいになってしまうことから、函館空港にも各国の政府専用機が駐機するのでは、との観測が流れる中、アエロ・フロート社の日本支社長が視察に訪れもした。函館港を埋め立てて造られた緑の島も、緊急のヘリポートになるのでは、と伝えられた。


■モスクワ第一テレビの取材

 マスコミの注目度も上がり、校長や学生に対する取材もかなりの数に上った。日本国内のテレビ、新聞、通信社はもとより、ウラジオストクの通信社、ボストーク・メディアやモスクワの経済新聞コメルサント、モスクワ第一テレビの取材も受けた。モスクワ第一テレビのクルーは、サミット直前から札幌に滞在し取材を進めていたが、ロシアと古くから関わりがあり、今も交流が盛んである函館を日帰りで取材に来たのだった。
 函館校では学生の授業風景を撮影したり、函館日ロ親善協会会長へのインタビューなども行った。函館ハリストス正教会や高田屋嘉兵衛の子孫への取材、函館市長への表敬訪問など、札幌へ戻る列車の時刻を遅らせるほど一日を精力的に使い、最後には「番組の中で、函館の話が一番長くなるかもしれません。」との言葉を置いていった。

 本当のところ、直前まで誰が函館入りするのか、誰もしないのかはわからなかった。5月に就任したばかりのメドベージェフ大統領は、洞爺湖サミットが本格的な外交デビューの場となることから、各国首脳との会談予定がびっしりで、函館まで来る時間が確保できないとのことであった。
 だが、プーチン首相が来るかもしれない、大統領夫人になるかもしれない、別の大臣かもしれない、など、サミット開幕の2、3日前までその状態が続いた。私たちはいつ誰が来てもいいように、廊下に赤絨毯を敷く準備までしていた。

 そしていよいよサミットの開幕。道内はもちろん、東京や大阪など本州の大都市でもテロを恐れ、厳戒態勢が取られた。洞爺湖周辺では一般客の出入りや上空の飛行などが厳しく制限された。テレビで“サミット警戒のため、通行止め”などという交通情報のテロップが流れ、現地とは離れている私たちにもなんとなく緊張感と高揚感が漂った。
 結局、函館には誰も来なかった。サミットに参加した首脳のうち、地方自治体を訪れたのは伊達市へ出向いたカナダ首相だけに留まった。窮屈な日程だったことと、9.11以降初めて日本で行われる今回は、前回の九州・沖縄サミットにも増してテロを警戒したため、首脳たちが各地を訪問しての交流が見送られたのだ。

 終わってみれば、この1年ちょっとの騒ぎは何だったのか、とも思う。しかし、我がロシア極東大学函館校への注目度が高まったのは事実である。それは昔からロシアとの交流を続け、今もなお深いつながりを持つ函館に対する評価でもあるだろう。
 来道直前、北海道新聞一面に、メドベージェフ大統領が読者に寄せたサインつきのメッセージが掲載された。大統領は日ロ両国の交流の歴史に触れ、この善隣と信頼の伝統は、今日も生き続けている、とした中で、極東大学の分校が函館に開校したことを一つの例に挙げ、こうした事実がいずれも、友好的な交流を強め、発展させていきたいとの双方の思いを物語っているからだと述べている。
 
 サミットが終了した7月末、また新聞が伝えた。今度は11月にラブロフ外相が“日ロ外交の出発地”である函館への訪問、講演を検討しているという。狂想曲はまだまだ続くようだ。

ロシア極東国立総合大学函館校 事務局 大 渡 涼 子

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