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2018年06月15日

『白痴』について2

 一般向け文化講座「はこだてベリョースカクラブ」の今年度第2回目の講話内容です。

テーマ:「『白痴』について」
講 師:イリイナ・タチヤーナ(准教授)

 昨年も取り上げた『白痴』ですが、原作が長編小説ということだけあって、話は尽きません。少し復習をしながら、前回と違う場面を今日も一緒に見ましょう。
 まず『白痴』の作者はドストエフスキーです。彼について少し思い出しましょう。ドストエフスキーは1821年にモスクワで生まれました。その後、サンクトペテルブルクの学校に通いました。学生時代は革命サークルに所属していました。その活動から、逮捕され、一時死刑判決を受けることにもなるのですが、結局刑は執行されず、シベリアで囚人生活を送ります。出所後は、2度の結婚を経験します。子どももいましたが、若くして亡くなりました。ドストエフスキーの人生はまさに激しい波のようでした。

 それでは『白痴』の話をしましょう。作者のドストエフスキーにとって、主人公ムイシュキン公爵は「誠実」や「善良」を表現した人でした。善良すぎるあまり、『白痴』と言われるのです。
 ムイシュキン公爵が愛するナスターシャは美を表現していますが、彼女自身は貧しい境遇から資産家の情婦をしていたため、登場したときは悪い印象が目立ちます。しかし、ムイシュキン公爵は、本当はそうではないことに気付くのです。

 今日初めに見る場面は、ムイシュキン公爵が訪れた将軍家でのことです。ムイシュキン公爵はこの家でナスターシャの写真を見ます。それは将軍の秘書をしているガーニャのものでした。ガーニャは、将軍の娘のアグラーヤのことが気になっていますが、お金のためにナスターシャとの縁談を進めています。ガーニャはずるいので、アグラーヤに「あなたが『(破談に)しろ』というなら、私はそうします。」と手紙を書きます。アグラーヤはそれを読み、ムイシュキン公爵を通して断ります。
 この時点で、ムイシュキン公爵はナスターシャのことが気になっています。

 次に見る場面は、その日の夜、ガーニャの家でのことです。ガーニャの家では、母親もガーニャの妹もガーニャとナスターシャの結婚をよく思っていません。ナスターシャの悪い印象のせいです。家族で揉めているところに、ナスターシャがやってきます。たまたまドアを開け、対応したのがムイシュキン公爵でした。彼を使用人だと思ったナスターシャは自分のコートなどを押し付けます。ムイシュキン公爵はその美しさに何も言い返しませんでした。
 これがムイシュキン公爵とナスターシャの初めて顔を合わせるところです。その後の場面でナスターシャは彼が使用人ではないことが分かります。お互いに何かを感じとった瞬間でした。

 話はこれからどんどん悪い方向に向かいます。ナスターシャに惚れているもう一人の男、ロゴージンがお金で彼女を自分のものにしようとします。
 ナスターシャは男たちを振り回し、さらに振り回され、ロゴージンに殺されます。
 ムイシュキン公爵は、ロゴージンとともに亡骸のナスターシャと一晩過ごします。最後は、このショックから本当におかしくなってしまい、ムイシュキン公爵はスイスに戻ってしまいます。

 とても暗い話ですが、愛の話でもあります。本を読むのが難しかったら、このような映像でいいですから、ぜひ見てください。
 

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2018年06月06日

日露交流年の記念切手が発売されました

 2018年は日ロ両国政府が定めた「ロシアにおける日本年」および「日本におけるロシア年」です。二国間の関係をさらに発展させるため、両国でさまざまなイベントが開催されています。その一環として、“日本とロシアの交流を花で表現”した記念切手が5月16日に郵便局から発売されました。

 1シートに82円切手が2種類5枚ずつのデザインで、計10枚820円の価格です。デザインは日本を代表する花として、桜と菊が日の丸をイメージした赤と白のリボンで束ねられているものと、ロシアを代表する花として極東地方でよく見られるシャクナゲの一種バグーリニク(багульник=рододендрон даурский)とカミツレ(ромашка=нивяник обыкновенный)をロシア国旗をモチーフにしたリボンで結んでいます。余白にはホフロマ塗りのイチゴ文様が描かれており、とても素敵なデザインです。

 ロシア語でПерекрестный Япония-Россия日露交流年と書かれており、この切手はデザインを一部共通としてロシアでも発行されるということです。


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2018年06月01日

2018年極東大学オリジナルカレンダー 6月は?

<6月>エカテリーナ宮殿(サンクトペテルブルク)

 サンクトペテルブルクから南に25キロメートル、ツァールスコエ・セロー(皇帝の村)にあるエカテリーナ宮殿はピョートル大帝の妃、エカテリーナ1世のために建設されました。外壁の長さ300メートルを誇る大きな宮殿の北棟にある礼拝堂の上には5つの黄金のドームが輝いています。
 撮影の日は曇りがちで、日が傾き始めた時間だったため、少し陰りが見えますが、木々の緑とブルーの外壁、玉ねぎ型のクーポラの黄金色がコントラストを織りなす、とても美しい宮殿です。


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