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2010年12月28日

2010年を振りかえって

 慌ただしく過ぎた2010年も終わろうとしています。今年も「極東の窓」をご愛読いただき、ありがとうございました。また、お忙しい中、原稿を寄せてくださった皆様方にも感謝したいと思います。

 今年2月、函館校のマースレニッツァに合わせる形で開催された、「日本・ウラジオストク協会懇談サロンin函館」にご参加の協会理事、小林千香子さんの「ワクワク函館への旅」を函館日ロ交流史研究会の会報で拝見したとき、小林さんが本当にワクワクと、心から函館での数日を楽しまれた様子がうかがえて、とても嬉しくなりました。早速「極東の窓」への転載をお願いしたという次第です。ずっと同じような環境に身を置いていると忘れがちですが、ロシアが好きな人々にとっては、函館という土地もこの学校も特別な空間です。日本中探しても、こんなところはほかにないでしょう。小林さんの文章は、少しほめすぎで面映いところもありますが、そのことをあらためて感じさせてくれます。

 私にとっての、今年一番大きな出来事はロシア軍艦「アドミラル・パンテレーエフ」の入港でした。詳しくは先日別に書きましたが、話を聞いてから受け入れまでの時間が少なく、前例もなかったため、入港前夜には日ロの関係者約20名ほどが極東大学に集結し、さまざまな問題について協議しました。実のところ船が入るまでは何がどうなのか、よくわからなかったのですが、受け入れに関わったすべての方々の多大なる協力により、大きな問題もなく、友好的に送り出すことができました。訳がわからないけど、やってみれば何とかなる、良くも悪くも非常にロシア的な、おもしろい体験でした。

 ところで昨年10月、ウラジオストク本学創立110周年記念式典に出席するため出張したときに私が見聞きしたことを、「ウラジオストク訪問記」として掲載しました。そして今年7月、今度はウラジオストク市が開基150年を迎え、姉妹都市である函館市公式訪問団の一員として訪問した倉田有佳さんに「今年開基150年を迎えたウラジオストクと函館のつながり」と題し、3回に渡り執筆していただきました。倉田さんは日ロ交流史における第一級の研究者でありますから、私たちにもわかりやすくウラジオストクと函館の関わりを教えてくれました。また、2012年のAPEC首脳会議開催を控え、どんどん変わりゆくウラジオストクの様子も聞くことができましたが、私が訪問した時からまだ1年も経っていないのに、街の様子はだいぶ異なり、驚くほど道路整備や橋の工事も進んでいるようです。時代とともに街並みは変わっていきますが、倉田さんの言うとおり、ウラジオストクの150年におよぶ歴史の光と影、さらには函館との古くからの接点にも目を向けてこそ、初めてこの街の底力や真の魅力を実感することになるのでしょう。

 話は変わりますが、昨年の本学創立110周年記念式典の際発表された、極東国立総合大学の極東連邦総合大学への昇格が、いよいよ現実のものとなりました。何しろ市内の4つの大学を統合してワンランク上の大学に昇格させるという大がかりなことなので、きちんとした体制が整うまでにはまだ時間がかかりそうですが、本学はすでに新しい名称と組織になりました。それを受けて、分校である函館校も2011年1月1日付けで、「ロシア極東連邦総合大学函館校」へと名称変更いたします。函館校については名称以外、組織などの変更はありませんが、新しい名前になじむまで、少し時間がかかりそうです。

 さて、来るべき年、7月にはハリストス正教会の聖ニコライ来日150周年記念行事が函館で開催されます。教会行事のほか、一般市民向けの講演会や展示なども計画されています。また、「ロシア文化フェスティバルin JAPAN」のオープニング・セレモニーが、日ロ両国政府関係者を招いて函館での開催を予定しています。それに附随して、さまざまな文化的行事が計画されているようですので、こちらも楽しみです。
 来年もまた、新しくなる校名と、変わらぬ私たちを、引き続きよろしくお願いいたします。
 

ロシア極東国立総合大学函館校 事務局 大 渡 涼 子

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2010年12月24日

アドミラル・パンテレーエフの入港 2

 16日(土)と17日(日)に行われた一般公開では、金属探知機による持ち物検査なども行われ、検査を受けた後は自衛隊が用意したバスでなければ船に近づくことはできないなど、厳しい管理体制が敷かれた。そのため会場周辺は交通渋滞を起こし、検査を受けるまでに1時間、検査を受けて見学するまでさらに1時間の長い行列に並んだそうだ。初日は1,900人、二日目は激しい雷雨の中、1,400人もの市民が訪れたというから、ロシア艦船公開という、滅多にない出来事に対する人々の興味は相当なものだったと言えるだろう。


 16日(土)の夜、パンテレーエフで行われた艦上レセプションには、函館校の教職員が招待を受けた。船の上は、お料理も音楽もまさにロシア。甲板の上には花柄の絨毯が敷かれ、おいしいザクースカ(おつまみ)をいただきながら、楽しく歓談する。ともに制服に身を包んだ海上自衛隊とロシア海軍が杯を交わす。なんていい光景だろう、こんな様子を私のような一般人が目にするなんて、20年前には考えられなかったことだ、と感慨に耽る。

 途中、生バンドに合わせて合唱やダンスが披露される。ロシアの歌のほか、「さくら」や「ふるさと」などを、非常に美しい日本語で歌う。また、ロシア伝統の「水夫の踊り」を本物の水夫さんたちがコミカルに踊り、場を盛り上げる。お客さんを楽しませようとするロシアのホスピタリティを強く感じた。

 翌17日(日)の夜に行われたあまぎり主催の艦上レセプションでは、鏡開きが行われ、天ぷらやお寿司といった日本料理がふるまわれた。居合道・剣道・空手などの迫力ある武道展示が行われ、隊員たちが日ごろの訓練の成果を披露した。ロシア側の歓迎アトラクションとはずいぶん趣が違う、これもお国柄の違いということか。

 今回、私たちロシア極東大学は関係各所からの要請を受け、教員が公式行事で通訳を務めたり、学生3名が市内見学や交流の際のボランティア通訳として協力した。
 セーラー服を着た、まだ若い水兵さんたちは、なかなか外出する機会を得なかったため、18日(月)に行われた市内見学の日には大いに楽しんだようだ。函館校の学生は、大沼で行われたバレーボール交歓試合に同行する者と、市内史跡研修に同行する者とに別れた。海上自衛隊対ロシア海軍がバレーボールで友好を深めるなど、なんと楽しいことだろう。終わったあとは、北海道名物・ジンギスカンの食べ放題で、仲良く鍋を囲んだそうだ。
 史跡研修のグループは五稜郭や函館山、ハリストス正教会など、市内をバスで巡り、学生がその時々で通訳をした。聞いた話では、水兵さんたちは年齢も近く、ロシア語を話す日本人学生をたいそう歓迎してくれたそうで、学生たちも「めっちゃ楽しかったです!!」と言って戻ってきた。このような貴重な経験ができるのも、函館ならではのことだと思う。

 19日(火)出航の朝、8時前に関係者が埠頭に集合した。パンテレーエフとあまぎり、並んで係留された船では、それぞれに乗組員たちが朝の仕事を行っていた。私たちはパンテレーエフ艦上で行われた朝礼に呼ばれた。函館ハリストス正教会のニコライ神父が祈祷を行い、旅の無事を祈る。334人もいる乗組員が一糸乱れず整列する中、ソコロフ司令官からロシア極東大学や函館日ロ親善協会、ハリストス正教会などに対し、感謝の言葉が述べられた。「函館に入港することができ、何事もなく友好的に時を過ごすことができたのは、みなさんのおかげだ。函館はウラジオストクと街並みが似ている。是非また来たい。」
 その後、司令官自らが船内を案内してくれ、ミサイル設備などの説明を受ける。船の寄港中、とても楽しかったけれど、やはりこの船は軍艦なのだ。常に非常時を想定している。だけど、このミサイルが人に向けて使われることのないことを、心から願う。

 司令官から最後に、在札幌ロシア連邦総領事館函館事務所のブロワレツ所長に対し、アンドレイスキー・フラグが贈られた。船から降りて、関係者が見守る中、ゆっくりと離岸するパンテレーエフの艦上には、多くの乗組員が等間隔に並び、帽子を回して別れのあいさつをしていた。海上自衛隊も同じくそれに応える。私たちは、先ほど司令官にいただいたアンドレイスキー・フラグを広げ、まっすぐウラジオストクに戻るという船を見送った。
 今回の交流でつくづく感じたこと、それは同じ海を間に向かい合うもの同士、海を愛する心と自国を守り平和を願う気持ちは同じだということ。願わくは、日ロの友好が永く続きますように。(おわり)
 

ロシア極東国立総合大学函館校 事務局 大 渡 涼 子

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アドミラル・パンテレーエフの入港 1

 ロシアの軍艦が115年ぶりに函館港に入港した。115年前といえば、まだ日露戦争前のこと、日本の元号は明治、向こうは帝政ロシア時代のことだ。
 通常、海上自衛隊との共同訓練などに伴い、外国軍の船が日本の港に入ることはあるが、今回は訓練を行う予定はない。入港の目的は親善友好、寄港地を函館とした理由はロシアと歴史的なつながりが深いこととされたが、迎え入れる函館側は突然の事態と事前の情報が少ないことに困惑した。
 寄港を許可した函館市に対する反対の申し入れは60団体にも及んだという。警備面での不安など、さまざまな問題も指摘された。
 しかし、来ると決まれば関係者一団となって受け入れ準備を進めなければならない。対潜大型哨戒艦「アドミラル・パンテレーエフ」はウラジオストクを母港とする、ロシア海軍太平洋艦隊所属の船。横須賀などに入港した実績はあるが、ロシアの軍艦が北海道に入るのは旧ソ連時代以降、はじめてのことなのだ。
 5日間の入港中は、アメリカなど他国に対するよりも厳重な警備が敷かれた。岸壁の1キロメートル手前にゲートが設置され、そこから先、関係者以外は船に近づくことはできなくなった。

 10月15日(金)の朝、海上自衛隊と協力して、函館日ロ親善協会が入港歓迎行事を開催した。埠頭には在京ロシア大使館の武官や防衛省海上幕僚監部の担当者なども集まり、制服を着た人々がずらり。物々しい雰囲気となった。
 いよいよパンテレーエフが入港する時刻となり、堤防を越えて船が函館湾に入ってきた。曇天の下、もくもくと煙を噴き上げ、近づいてくる様は少し時代遅れな気もしたが、私はこれから起こる未知の出来事に対し、まるで黒船襲来を受けるような心持ちになった。続いて海上自衛隊の「あまぎり」が入港。あまぎりは舞鶴港から来た今回のホストシップであり、パンテレーエフより二回りほど小さな護衛艦だったので、パンテレーエフの大きさが一層際立った。大湊から来た海自の音楽隊もスタンバイし、日本側の受け入れ態勢は整っていた。

 軍艦には色々な旗が掲げられている。一つひとつ意味を尋ねると、大佐が乗っているという印の旗、水先案内人が乗っているという印の旗など、船が今どのような状態なのかが瞬時にわかるような仕組みになっているそうだ。
 ロシア海軍の旗は白地に青で対角線が引かれた「アンドレイスキー・フラグ」。またの名をアンドレイスキー・クレスト(アンドレイの十字架)と言い、キリストと同じ十字架で処刑されるのは恐れ多いといって斜めにした十字架で処刑された聖アンドレイにちなんだ旗だとか。この旗をなびかせ、接岸した船を、海上自衛隊や我々関係者も、整列して出迎えた。両国の隊員が協力して船をつなぎ止め、船ばしごを渡す。ロシア軍の上陸という見たことのない光景に緊張感が漂う。

 司令官のソコロフ・ビクトル大佐が降りてきて、歓迎行事が始まった。花束贈呈や互いの挨拶、写真撮影などを行い、行事は30分ほどで終わった。多くの報道陣が押し寄せ、ロシア艦船入港への関心の高さを伺わせた。
 その後は、艦上昼食会や函館側への表敬訪問などの公式行事が行われた。(つづく)

ロシア極東国立総合大学函館校 事務局 大 渡 涼 子

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2010年12月15日

アントン・ステパーノフ ピアノ・リサイタルのお知らせ

 ロシア国立グネーシン音楽アカデミー講師のピアニスト、アントン・ステパーノフ氏が初来日するにあたり、下記の日程でコンサートを開催します。
 ショパン生誕200年記念の記念すべき本年のショパンコンクールでは、上位入賞をロシア勢が占め、中でもグネーシン音楽アカデミー出身者の活躍が目を引きました。
 ステパーノフ氏はその中でも、ロシアピアニズムを受け継ぐ正統派とされ、彼の奏でる「展覧会の絵」は“ステパーノフの「展覧会の絵」”と称されるほど、モスクワでは有名なものだそうです。是非会場にお越しください。

アントン・ステパーノフ ピアノ・リサイタル

曲  目:ムソルグスキー 展覧会の絵
      シューベルト  三つのピアノ曲 D946
      ベートーヴェン ソナタ 第27番 ホ短調 Op.90
日  時:2011年2月8日(火) 開場18:00 開演18:30
場  所:遺愛女子中学・高校講堂(函館市杉並町23-11)
チケット:全席自由
■前売券 一般2,000円 小中高生1,000円
■当日券 各500円増

発売場所:カワイ楽器函館店、ヤマハアベニュー五稜郭、
       ロシア極東国立総合大学函館校
主  催:「アントン・ステパーノフ ピアノ・リサイタル」実行委員会
後  援:在札幌ロシア連邦総領事館、函館市、函館市教育委員会、函館市文化団体協議会、函館音楽協会、日本ショパン協会北海道支部函館地区、河合楽器製作所函館ピアノセンター、㈱ヤマハミュージック北海道函館店、北海道新聞函館支社、函館新聞社、NCV函館センター、函館山ロープウェイ㈱FMいるか、ロシア極東国立総合大学函館校、函館日ロ親善協会
お問合せ:090-3775-6146(吉田)


アントン・ステパーノフ(Anton Stepanov)

ロシア・モスクワ生まれ。リスト国際コンクール入賞(ワイマール)。
ロシア、沿ドニエプル共和国、ドイツ、中国においてコンサート活動およびマスタークラスを行っている。
ロシア国立グネーシン音楽アカデミー専門ピアノ科講師。
ポポヴァ記念合唱芸術アカデミーピアノ科講師。

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2010年12月08日

12月の「身近なロシア」は?

 「身近なロシア~ベリョースカクラブ・ラジオ版」、12月15日(水)の放送は、イリイナ・タチヤーナ准教授による「ロシアのクリスマスとお正月」です。
 12月に入り、函館では海に浮かぶ大きなツリーが毎晩打ち上げ花火とともに点灯し、クリスマス気分を盛り上げてくれます。ロシアでも、もみの木はクリスマスのシンボルですが、日本とは違うロシアのクリスマスやお正月の過ごし方について、聞いてみましょう。

FMいるか「暮らしつづれおり」内
「身近なロシア~ベリョースカクラブ・ラジオ版」
平成22年12月15日(水) 10:15~10:30
出 演:ロシア極東国立総合大学函館校
准教授 イリイナ・タチヤーナ
テーマ:ロシアのクリスマスとお正月 

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