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2010年06月28日

2010ロシアまつりTシャツデザイン完成!!

 最近は函館も夏日が続いています。いよいよ第13回はこだてロシアまつりまで3週間を切り、気分もだいぶ盛り上がってまいりました。
 現在、学生・教職員ともども準備を進めているところですが、今年のTシャツのデザインが完成しましたので、一足早くお披露目です。

 今年のテーマは「ロシアの夏の味」。それにちなんで、アイスクリームのコーンの中にロシア正教会のクーポラが乗っています。“Нельзя есть меня(私を食べないで)!”と叫んでいて、値札には“Русское Лето 0 рубль(ロシアの夏0ルーブル)”、の表示。ロシア地域学科2年星出愛子さんのデザインによるもので、黒地に白のプリントの予定です。

 今年の夏は、函館でロシアの夏を満喫してください。まつり当日、スタッフ一同このTシャツを着て、みなさまのお越しをお待ちしております。


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2010年06月11日

6月の「身近なロシア」は?

 「身近なロシア~ベリョースカクラブ・ラジオ版」、6月16日(水)の放送は、函館ハリストス正教会 ドミートリエフ・ニコライ神父の登場です。
 テーマは「ロシアとの歴史における、日本の中の函館の役割」。ニコライ・カサートキン(ニコライ堂の聖ニコライ)、 ゴシケーヴィチ、ラクスマン、ゴロウニンなど、日ロ関係の礎を築いたロシア人はみな、函館を訪れており、日本とロシアの交流は函館から始まっています。
 ハリストス正教会のニコライ神父はとてもおしゃべり上手ですから、楽しいお話が聞けると思います。ご期待ください。


FMいるか「暮らしつづれおり」内
「身近なロシア~ベリョースカクラブ・ラジオ版」
平成22年6月16日(水) 10:15~10:30
出 演:函館ハリストス正教会
司祭 ドミートリエフ・ニコライ
テーマ:ロシアとの歴史における、日本の中の函館の役割

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2010年06月03日

ソ連映画の作曲家

 一般向け文化講座「はこだてベリョースカクラブ」の今年度第1回目の講話内容です。

テーマ:「ソ連映画の作曲家」
講 師:デルカーチ・フョードル(本校講師)

 映画は音楽をなくすると、魅力を失います。「ミッション・インポッシブル」、「ルパン三世」、「スター・ウォーズ」……、音楽は映画にイメージを与えます。音楽のない「ゴッド・ファーザー」など考えられません。
 作曲家のギャラは高いものです。しかし、ロシアではペレストロイカ時代、生活が不安定になって音楽も悪くなりました。今は立ち直りつつあります。
 ソ連映画は数百~何千と、数多くありますが、今日はスターリン没後の70年代の話をします。

 以下、映画の一部分を見ながら音楽を聴きました。

①ミカエル・タリヴェルディエフ
大陸ヨーロッパ、特に70年代イタリア・フランスの影響を強く受けている。バロック音楽に現代要素を入れて、頭に焼きつく音楽、センチメンタルな音楽が多い。モスクワ国際映画祭は海外を対象にしたものだが、それとは別に黒海周辺で開催される国内対象の映画祭キノ・タウルの最高音楽賞はタリヴェルディエフ賞と名前がつけられている。自分でもピアノプレイヤーとして演奏する。ゾルゲ、ニコライ、クズネツォフの3人のスパイをモデルにした「最後の春」の一場面は、4分間セリフなしの音楽だけで男女の出会いの心情を描いている。

②エフゲニー・プチーチキン
ミュージカル、オペラで女性が歌う歌を書いて有名。「二人の船長」という革命前後の話を描いたテレビドラマがある。

③アレクセイ・リーブニコフ
アニメを含めておよそ120本の映画音楽を作曲。シンセサイザーを使う、電子音楽の作曲家。「わらべのアルバート通り」、「ロシア版宝島」などが有名。

④ウラジーミル・ダシュケーヴィチ
「ロシア版シャーロック・ホームズ」。

⑤マキシム・ドゥナエフスキー
「三銃士」、「メリー・ポピンズ」など。

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2010年06月01日

小説クロイツェル・ソナタ

 「クロイツェル・ソナタ」(1899年)は、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」に触発されてレフ・トルストイが書いた小説である。
 ロシアの大地をひたすら進む夜汽車。その薄暗い客室で語られるある男の秘密。人並みに放蕩を経験した男は貞操の夢をもち結婚する。しかし男は早くも新婚の夜に結婚に疑いを抱き始める。そもそも、清らかで平穏な精神的愛と、刹那の快楽のみをもたらす肉体的愛の結合という矛盾を孕(はら)む結婚は、破綻したシステムではないのかと。はたして結婚生活は男にとって苦悩の連続となる。ついには妻とヴァイオリニストの関係を疑い始めるのだが、嫉妬に混乱した男の頭の中には2人が合奏する「クロイツェル・ソナタ」が鳴り響く。そして男はついに…。
 男は告白する。音楽は「私に我を忘れさせ、自分の本当の状態を忘れさせ、何か別の、異質な世界へと移し変えてしまう。」さらに「たとえばあのクロイツェル・ソナタの第一プレスト…ただ人を刺激するばかりで、果てしがない」と。音楽とは「恐ろしい道具」である、と。
 数多くの19世紀ロシア文学において鉄道は、数多くの主人公とその人生を列車に立ち向かわせた。トルストイも例外ではない。列車での同席が縁で知り合った青年士官との不倫の結末を描く「アンナ・カレーニナ」。アンナは最終シーンにおいて爆走する蒸気機関車の車輪の下に身を投げてしまう。また「復活」では、ネフリュードフのせいで身を落とした無垢の女カチューシャは、悔い改めた男を後にし、新たな愛を得て徒刑の地シベリアに鉄道で運ばれていく。ところが、この2作の間に書かれた「クロイツェル・ソナタ」においては、妻がヴァイオリニストと奏でるプレストの早急なリズムは、夜汽車の単調な振動に増幅され、いつまでも不吉に響き続ける。
 さて、コンサートホールのシートに身をしずめてヤンケ姉妹の「クロイツェル・ソナタ」を耳にする私たちは、果たしてこの音楽に何を聴きとるのだろうか?トルストイが、あるいは「男」が聴いたのとはまた違った「果てしない」高揚を経験するだろうか?
 (本原稿は、2010年4月16日函館市芸術ホールにて開催された「ヤンケ姉妹のクロイツェル」コンサート・プログラムに掲載されたものです。)

ロシア極東国立総合大学函館校 准教授 鳥 飼 やよい

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