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2007年01月31日

ウラジオストクのうまいものめぐり 2

<レベル4:カフェ>
 たいてい店の入り口に「カフェ」と書いてあります。2~4人ぐらいで落ち着いて食事のできるところです。カフェと総称していますが、純ロシア料理店、若者向けのホール風のもの、中華料理店(キタイスカヤ・クーフニャ)まで形はさまざまです。実際このタイプの店が最も多く、外食するとなると、たいていはカフェで食べることになるでしょう。
 スタローヴァヤとの違いは、テーブルに座ってメニューを見て注文し、後で会計すること。とは言っても、高級レストランほど堅苦しくないので、それほど服装にまで気を使う必要はありません。ただし、メニューに写真がついているわけでもないので、ロシア語が読めなければ注文できません。たいてい、メニューはとても分厚くて、ピエルバヤ(スープ類)・フタローイェ(メインディッシュ)・デザート・ナピートキ(飲み物)の順に、材料・分量・調理法が細かく記載されています。アフィツィアントカ(ウエイトレス)に聞けば説明してくれますが、もとより読んでわからなければ、ロシア語の説明を聞いたところでなかなか理解できません。主な料理の名前と注文の仕方を覚えてから出かけるのが良いでしょう。

 純ロシア料理店で評判の良いのが、フォーキナ通り(だったと思う)の「イズブーシュカ(百姓家の意味)」。その名の通り、ロシアの田舎風の内装で、アフィツィアントカも民族衣装を着ています。私達が外国人だとわかって英語のメニューを持ってきてくれました。一品100ルーブルぐらいからで、おもなロシア料理がそろっています。私は牛肉の壺焼きを注文しました。仲間3人で4~5品食べ、お酒も飲んで、一人300ルーブルぐらいでした。そのほか、映画館「オケアン」近くの「プリスティーシュ」なんかも雰囲気の良い店です。

 パグラニーチュナヤ通りと線路が交差するあたりに「スピードウェイ」(だったと思う)という名前のカフェがあります。店内にオートバイが飾ってあり、オートレースのビデオをいつも流していました。聞けばオーナーがチームを持っているということです。サッカー場にも近いせいか、土日の夕方は若者でにぎわいます。ボルシチが80ルーブルぐらいでした。鮮やかな真紅色をしていて、私が食べたボルシチの中では、ここのものが一番美味しかったです。

 オケアンスキー通りには、広場に下りる一つ手前の角に「エクスプレス」というカフェがあります。アフィツィアントカはあまり愛想よくありませんがテキパキしていて、名前の通り出てくるのが早く、値段も手頃で美味しいです。不要なものが省略されていて必要なものだけがあるという、ロシアにはありそうでなかなかない都会的なカフェでした。料理は一通りありますが、特に気に入ったのがブリヌィ。ブリヌィとはロシア風クレープのことですが、バターだけのプレーン(ス・マースラム)、サワークリーム添え(サ・スリーフカミ)などいろいろあります。蜂蜜(ミョット)・ジャムなどもつけることができます。胃にやさしく、食事にもおやつにもなります。

 またオケアンスキー通りから入る中国市場(キタイスキー・リーナク)の向かいには、朝鮮系ロシア人のやっているカフェがあります。とてもきれいな店で、よく韓国の映画や音楽ビデオを流しています。楽器やアンプも置いてあるので、夜はバンドが演奏して皆で踊るのでしょうか。メニューはロシア料理と朝鮮料理の両方があります。朝鮮料理はピビンパ・キムチチゲ(キムチ鍋)・チャプチェポックム(春雨いため)などが一品150ルーブルぐらいから。昼ごはんに函館校の仲間と行って、久しぶりの白いご飯とおかずに満足して帰りました。名物は豚の三枚肉、サムギョプサルで600ルーブルぐらいだったと思います。私は食べませんでしたが、隣の人が食べるのを見ていると、間違いなくおいしそうでした。

 最後になってしまいましたが、中華料理店もカフェの一つと言っていいと思います。たいてい「キタイスカヤ・クーフニャ(中華料理)」と看板が出ていますが、外見上普通のカフェと全く区別のつかないところもあります。ギッペル・マーケットの向かいに「カフェ・サーシャ」というのがあり、入ってみると実は中華料理店でした。仲間と行ったのはサッカー場の近くの数軒です。ポーヴァル(調理師)が中国人で、アフィツィアントカ(ウエイトレス)がロシア人というパターンが多いみたいです。経営はどちらがしているのでしょう? 店によっては中国語のメニューも置いています。漢字に自信のある人はそちらを見るのが良いかもしれません。一品最低120ルーブルぐらいから(チャーハンなど)なので、たくさん食べたければ4人以上のグループで行くのがよいでしょう。お金もそれなりに必要ですが、美味しいものに出会えれば、とても満足できると思います。料理は主に中国東北部のものが中心で、中華料理の中では比較的あっさりしている方だと思います。

<レベル5:高級レストラン・日本料理店・韓国料理店>
 残念ながら、私とは無縁なので書くことができません。私のイメージではスーツ着用で行き、クロークにコートを預けるようなところですが、何より一度も行ったことがないのでよくわかりません。一度、韓国料理店でメニューだけ見せてもらいましたが、一品が400~500ルーブル以上でした。でもチョゴリ姿のロシア人ウエイトレスがとても親切にメニューを説明してくれて、「一度ぜひ来てください」とまで言われたので、出費を覚悟で食べに行けば、相応の満足が得られるかもしれません。   (つづく)

山崎 淳司(函館校にてロシア語研修中)

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日本にいながらロシアの大学へ!ロシア極東連邦総合大学函館校
ネイティブのロシア人教授陣より生きたロシア語と
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2007年01月23日

FMいるか 多言語みんたる 2

FMいるかで放送された ONE WORLD WAVE「多言語みんたる」の内容をご紹介する第2回目です。

ゲスト:ロシア極東国立総合大学函館校
    教頭 アニケーエフ・セルゲイ(以下アニ)
聞き手:財団法人 北海道国際交流センター
    事務局長 池田 誠(以下池田)

<12月9日放送 第2回 ロシアの食べ物とヴォトカ>

池田:前回はロシアのお正月や誕生日の過ごし方など、人のもてなしについてお伺いしましたが、本当にロシアの人たちは明るいな、という感じがしましたね。
今日はロシアの食べ物についてお伺いしたいなと思っています。アニケーエフ先生は函館に住んで10年くらい経つそうですが、自分で料理はしますか?

アニ:お腹がすいたときは簡単なものを作りますが、本格的にロシア式のものを食べたいときは、本格的ロシア料理の一つ、ボルシチを作ります。ボルシチはスープの種類ですが、スープではありません。

池田:あれはスープじゃないんですか?!

アニ:ロシア人はそれをメインだと思っています。だからボルシチだけ食べて満腹になる。

池田:ボルシチも食べてピロシキも食べてペリメニも、というのではなくて、もうそれだけでお腹いっぱいになる。

アニ:そうです。いっぱいいろんな具が入っているから。

池田:極東大学と僕の勤める国際交流センターは同じ建物内にありまして、僕は時々ボルシチを頂くことがあるんですけど、非常においしいですし、具がいっぱい入ってますよね。特に真っ赤になるのは、あれはなんでしたっけ?ビーツ?

アニ:ビーツが入っているからボルシチです。ビーツがなかったら本来はボルシチと呼べません。ビーツを入れると真っ赤になります。ロシア人は真っ赤な色はめでたいという気持ちもあります。

池田:なるほど。これにいろいろな野菜が入りますよね。

アニ:季節に合わせて。ビーツを収穫するのは夏の半ばごろですね。だから春はボルシチは作れないわけではないけれども偽物として、赤い色はトマトでごまかす。

池田:おー、なるほど!それでキャベツ、ジャガイモ、肉なんかも入りますよね。

アニ:普通はボルシチのスープベースは肉。肉といえば西のモスクワ辺りでは牛肉なんですが、ウラジオストクは沿海州、極東にありますね。ウラジオストクにはロシア人も非ロシア人も住んでいます。極東では肉はほとんど牛じゃなくて豚なんです。

池田:場所によって違うんですね。それでいろんなものを入れて煮込んで…。

アニ:食べるときは仕上げにサワークリームをかけて食べます。サワークリームなしでも結構ですが。

池田:ハーブを乗せたりしますよね?

アニ:ロシアの食文化は日本と違って、味付けは素朴です。昔から塩コショウしかなかった。今も塩コショウだけです。だからディルで香りをつけます。日本では「ウイキョウ(茴香)」といいます。日本人はウイキョウを生け花などで眺めるんです。ロシア人は食べるんです。日本人にとっては強烈な匂いかもしれませんが、ロシア人は大好きです。

池田:お茶にしたりしますか?

アニ:しません。病気になったときには薬だといわれますが、私は詳しくありません。
それからまず、ボルシチはお客さんに出すものではありません。それは失礼です。ボルシチは毎日のものですから、味噌汁みたいです。

池田:家庭料理なんですね。

アニ:だからお客さんをもてなすときはボルシチは絶対出しません。日本だけです。

池田:極東大学のロシアまつりでは出てましたね?あれはだめなんですね。

アニ:ほんとはだめです。

池田:ロシアの食べ物はほかにどんなものがあるかというと、僕らが知っているのはピロシキとか、餃子風のペリメニなどがありますし、海のものも結構食べますよね?

アニ:ロシアの中心といえば西のモスクワです。モスクワ辺りには海がなく、昔からロシア人には魚を食べる習慣がほとんど根付いていません。食べていたのは川魚です。でも魚ではあまり力がでないと思っています。魚ではなく肉をいっぱい食べたら動けます。だから魚は料理にはしますけれども、あまり。
断食するときには魚を食べていいといわれます。あとは何もないとき。魚に対するロシア人の態度は日本人から見ればおかしいと思われるけれども、ロシア人は魚は本格的料理じゃないと思っています。

池田:食べ物じゃないと。肉が食べ物だと。

アニ:代用品です。ロシアは広いです。ウラジオストクは日本海に面していて海に近いけれども、魚はほとんど冷凍品で、新鮮なものはないです。生を食べる習慣もありません。
ロシア人はフライパンで必ず火を通してから食べます。焼き魚という言い方は日本語でもロシア語でもありますが、日本人が思う焼き魚とロシアで出てくる焼き魚はまったく違います。それはムニエルという形です。

池田:日本のレストランではよく肉にしますか、魚にしますかと聞かれますけど、ロシアの人に聞いたら全部肉ですね。
それにしても、イクラというのはロシア語からきているんですよね。あとはルイベとか。その辺からいくと、魚の食文化もないわけではないのでは。

アニ:たとえば私の家庭は父親が漁師で船もありました。二人で船を出して、網で魚を獲っていっぱい食べました。

池田:生で食べたんですか?

アニ:いやいや、スープとかフライとか。だから私は子どもの頃から魚を食べる習慣があります。日本に来てからここは極楽ですけど、それにしても魚が高い。選ぶとすれば、肉のほうが安いから肉にします。

池田:函館は安いと思いますけどねえ。ちなみにどんな肉がメインなんでしょう。

アニ:うちは普通豚です。

池田:よくロシアの方は黒パンと豚の背脂を食べると聞きますが、それは本当ですか?

アニ:豚の貴重な部分は肉だけではありません。表面の脂だけの部分をにんにくと塩で漬けて、2~3週間ほど寝かせて食べます。あとは冷凍庫に入れて、ルイベみたいに薄くスライスして黒パンに乗せて、ヴォトカに一番のつまみになります。ヴォトカを飲まない人はただ食べますけど。

池田:ロシア人はみんなヴォトカを飲むんじゃないかという気がしますけれども。

アニ:いや、それは誤解だと思います。ロシア以外の国の人々はロシア人はみな大量に酒を飲むと思っています。でもロシアにももちろん酒を全く飲まない人、下戸もいます。そういう意味でロシア人が大酒飲みという考え方は間違いだと思います。
昔からロシアの伝統に従えば、酒を飲むのはイベントとか、めでたいときの祝い酒だったんです。だから飲む機会が限られていました。今もその流れは続いています。ロシア人は酒を飲む機会が少ない、だから飲むとなったらとことんまで飲むという習慣があります。こういうことが消費量を高めているのではないかと思います。

池田:なおかつ度数が高い。

アニ:ロシア人は、ただ単に飲みたいから飲むわけではありません。日本人は晩酌しますね?ロシアでは毎晩家に帰ってから酒を飲んでいるだんなさんを見たら、奥さんはカンカンに怒って、それが一週間続いたら離婚する。それは家庭には害だけです。その意味でロシア人の女性は男性と強く闘っています。

池田:日本とはかなり違いますね。日本では晩酌している人いっぱいいますものね。

アニ:妻も旦那に注いでくれるでしょ?ロシアではだめです。だから男性だけで集まって、妻たちから見えないところで隠れて飲みます。

池田:アニケーエフ先生は、奥さんがウラジオにいらっしゃるので、今は大丈夫ですね?

アニ:大丈夫です!

池田:今日はどうもありがとうございました。また次回よろしくお願いします。

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2007年01月17日

ウラジオストクのうまいものめぐり 1

 2か月の滞在期間中、寮で自炊をしなかったため、朝食以外はほとんど外食することになりました。おかげで街の外食事情を結構くわしく知ることができました。以下、短期間の経験からですが、ウラジオストクの外食事情について書いてみます。
 ただし私の文章は、どうすれば美味しいものを比較的心地よく食べられるかという視点で書いてあるので、いわゆるグルメ志向の方や、逆にめちゃくちゃ安く食べたいバッグパッカーの人には向いていません。また、食べ物の嗜好は人それぞれなので、私の好きな場所が皆さんの気に入るとは限りません。万一お腹をこわしても、申し訳ありませんが、私は責任を負いかねますので、食べ歩きは皆さんの自己責任で行って下さい。
 それでは、まず私の財布の重さを基準にして、街の食堂をランク分けしてみます。

<レベル1:街の屋台>
 大学前や交差点の屋台でおばさんが、ピィェンシー・ベリャーシ・チェブレキーなど(揚げパン系のもの)を売っています。アツアツをほくほくいただくのが最高です。実は屋台の下には石炭が燃えていて、おばさんが時々水を補給しながら蒸気で蒸しているので、ピロシキの入った釜の中は常にホカホカなのです。一品15~30ルーブル。
 ただし、時間が経って冷めたのを食べると、今ひとつ肉の質が良くないのに気づきます。(レバーかなんかの挽いたのが混ざっている感じです。)空腹しのぎにはいいですが、食事にはできないでしょう。看板やおばさんたちの服装がどこでも同じなのは、もしかするとチェーン形式の商売なのかもしれません。

<レベル2:大学の学食>
 夕方4時ぐらいまでやっているのではないかと思います。トレーをもって列に並び、棚から好きなものを取ります。ボルシチなどのスープ類や飲み物は、おばさん(あるいはお姉さん)に口頭で注文します。基本的に学生のために運営されているので、比較的栄養のバランスもよく、危なっかしいものは置いていません。(と信じる。) 学食によってメニュー・値段・美味しさに幾分バラツキがあります。
 私が最も美味しいと思ったのは極東大学の東洋学部の学食で、ボルシチ・じゃがいもピュレーつきカトリエタ・パン・レモンティー+αで100~200ルーブル。ここで昼にしっかり食べて、後は素食で済ませることが結構ありました。ただし、学部の建物に入るには、本当は入校許可書(プロープスク)が必要です。

<レベル3:街の食堂>
 食堂をロシア語でスタローヴァヤと言います。学食もそうで、会社などの社員食堂もスタローヴァヤです。函館校のP先生によれば、ソ連時代には街にもたくさんあったものの、今は少なくなったとのことです。スタイルは学食と同じです。トレーを持って並び、好きなものを取り、レジで計算してもらいます。
 ただし、街中にはあまり見当たらず、地元の人に聞かないとまずわかりません。韓国領事館の向かいのドーム(普通の家)の1階に、昔ながらのスタローヴァヤがあります。黄色い看板で「ザクーサチュナヤ(食堂)・プリモールスカヤ」と書いてありますが、すぐ横を通り過ぎても、ここがスタローヴァヤとは気がつきません。ここは韓国大使館警備のおまわりさんに教えてもらいました。近くにオフィスもあり、昼時には結構繁盛しています。
 値段はボルシチ・ニシンの塩漬け・サラダ・カトリエタ・紅茶+αで150~250ルーブルぐらい。駅(バグザール)向かいの郵便局前にも「スタローヴァヤNo1」というのがあって、こちらは毎日夕方6時ぐらいになると勤め帰りの人達でにぎわっています。フロアは広くて、土日だと家族連れもいます。いろいろなサラダがあり、魚料理が豊富なのがうれしいです。パルトゥス(おひょう)・ケター(さけ)が美味でした。なんと鰻丼が出ていたこともありました。もしかして日本人の調理師がいるのかもしれません。
 ただし、ボリュームのあるものを取ると、一品100ルーブル以上することもあるので要注意。駅前ですが警備員も常駐していて治安は大丈夫。トイレもあります。  (つづく)

山崎 淳司(函館校にてロシア語研修中)

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2007年01月16日

ミリオン・ズビョースト 第50号

 ロシア極東大学函館校の学報であり、函館日ロ親善協会の会報でもある「ミリオン・ズビョースト/百万の星」第50号を函館校のホームページに掲載しました。
 今回は秋にウラジオストクに留学していた学生たちが感想を寄せており、留学中の様子がよくわかります。 こちらも是非ご覧ください。 

 

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2007年01月11日

FMいるか 多言語みんたる 1

С Новым годом(新年おめでとうございます)!
今年も「極東の窓」をよろしくお願いいたします。

さて、今回は昨年12月FMいるかで放送された ONE WORLD WAVE「多言語みんたる」の内容をご紹介します。4回に渡り放送された内容を随時掲載しますので、今後もお楽しみに!


ゲスト:ロシア極東国立総合大学函館校
     教頭 アニケーエフ・セルゲイ(以下アニ)
聞き手:財団法人 北海道国際交流センター
     事務局長 池田 誠(以下池田)

<12月2日放送 第1回 ロシアの誕生日とお正月>

池田:こんにちは!

アニ:Здравствуйте(ズドゥラーストゥヴィチェ)!

池田:今のは「こんにちは」という意味なんでしょうか?

アニ:辞書を引けば「こんにちは」に相当しますが、実際の意味は「お元気でいてください」という意味です。

池田:なるほど。発音が難しいですね。ロシア語について少しお伺いしたいのですが、今の「こんにちは」のほかにもう一つあるとか。

アニ:日本語の「こんにちは」に当たるのはДобрый день(ド-ブルイ ヂェーニ)。「よい日でありますように」、という意味です。

池田:これも、二つ使うということですね?

アニ:万能的なのはЗдравствуйте。それは朝も昼も夜も夜中でもいいですから。だから困ったときはЗдравствуйтеが一番いいと思います。

池田:使い分けがあるんですね。もう一つお伺いしたいのですが「ありがとう」というのは?

アニ:日本人にも馴染みがあると思います。спасибо(スパシーバ)。

池田:これはよく聞きますね。やはり覚えておいたほうがいいですね。
さて、早速ロシア風に始まりましたけれども、4回に渡ってお話をお伺いします。
今日はまずロシアのいろいろな習慣について。日本との違いがあると思うので、その辺をお伺いしていきたいなと思いますが、実は僕が興味あるのは誕生日なんです。
日本ですと誕生日だといろいろな人がプレゼントをくれたり、お祝いをしてもらいますが、ロシアはずいぶん違うと聞きました。

アニ:どこの国の人も同じだと思いますけれども、ロシアでもプレゼントをもらう機会は年に1回、誕生日だけです。だからみんな誕生日に期待をかけています。日本と違う点としては、ロシア人は誕生日を大変大切にしていること。大人になっても、死ぬまで必ず年に1回誕生日を盛大に迎える。お客さんが来て、みんなで食卓を囲み、ご馳走になって酒を飲んで祝っています。

池田:誕生日の人がご馳走するんですね?

アニ:もちろん!

池田:人数も結構集まるんですよね?

アニ:人によりますけど、必須なのは親類です。誕生日であることは親戚はみんな知っているはずです。だから呼ぶということはしないです。その日は知らせがなくても必ず電話でお祝いの言葉を言ったり、プレゼントを持って家に行く。だから誕生日に呼ぶと言う習慣はありません。

池田:だいだい家族で祝うという感じですかね。

アニ:親しい人。友だちがたくさんいれば、それはもう結婚式みたいになります。

池田:しかもそれは全部、ご馳走するわけですよね?食べ物も、飲み物も。

アニ:そうです。ロシア人は食べるのも好きで飲むのも好きです。

池田:日本人は年取っていくと誕生日をやらない人が多いですが、その辺がかなり違いますね。

アニ:そうですね。ロシア人は初めてそれを知ってびっくりします。なんで誕生日を無視しているんですか?それはわからない点です。

池田:大切にしなきゃだめですよね。
ところで12月ということで、季節の行事としてお正月があります。やはり日本でも大切な行事ですし、新しい年ということで神参りに行ったりいろいろなことをします。ロシアでも派手にやっているようですが?

アニ:日本人は、ロシアでもヨーロッパのようにお正月ではなくクリスマスを祝うのではないかと考えがちじゃないですか?しかし実を言えばロシア人は日本人と同じくお正月を重視しています。
本当のことを言えば、ロシアのクリスマスは1月7日なんです。ヨーロッパの12月25日のクリスマスも全く無関係ではありませんが。ロシアでも飲みたい人は一杯やります。熱心な人は12月25日にヨーロッパのクリスマス、12月31日にお正月、そして1月7日はロシアのクリスマス。それが過ぎたら旧新年もあります。ロシアでは1月13日の夜なんです。だから酒と会う機会はたくさんあります。

池田:何かと機会を設けてはお酒を飲む。

アニ:そうですね。

池田:12月31日から1月1日にかけては朝まで飲み通すんですよね。

アニ:飲みます、朝まで飲みます。物凄い大騒ぎです。日本は静かです。本当に退屈になるくらいです。もう10年間函館に住んでいますが、夜、外を見たら誰も歩いていない。若者は騒いでいない。みんな寝ている感じです。ロシアでは12月31日の夜は若者はみな外で遊んでいます。雪があったら雪遊び、そりなどで遊びます。また食卓にはご馳走がいっぱい出るので楽しんでいます。

池田:31日の夜からご馳走がたくさんあると。だいたい毎年何時ぐらいまで飲んでいるんですか?

アニ:普通集まるのは夜の9時。テーブルの周りに集まって最初は前菜などを食べ、12時5分前になったらシャンパンを開け、12時ちょうどに時計の音で乾杯します。そのあとは自由です。テレビを見ながらダンスしたり歌ったりします。日本人はほとんど歌わない、ダンスもしない。残念です。

池田:歌とかダンスとか好きなんですよね?

アニ:それはダンスや歌なしではおもしろくないとロシア人は信じているからです。

池田:日本人はだまってお酒飲んでる人ととかいますものね。それじゃ楽しくないと。それで何時までやるんですか?

アニ:夜が明けるまで。朝4時でも5時まででも。だから若者は帰ったらすぐ布団に入るだけです。

池田:元気がいいですね、ロシアの方は。

アニ:そうですね、一度ロシアに行ってくだされば。ウラジオストクの中央広場は物凄い賑わいなんです。自分の家で祝うのもいいですが、今の世代は親と離れた場所で若者だけで集まります。

池田:ロシアの方がご馳走してくれるときは、どんどん食べなさいと言ってくれるんですが、日本人は意外と遠慮しがちです。ロシアの方は遠慮なしでどんどんいただくという感じですよね。

アニ:1年に1回のイベントですから遠慮したら馬鹿者だと言われます。

池田:その辺もずいぶん違うなあという感じがします。
お正月と誕生日の話を聞いているうちにあっという間に第1回目は時間になってしまいました。
また来週よろしくお願いします。

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