2005年07月30日

●化笑品 (2) ノミ取りの罠

カツラはピョートル1世がヨーロッパ風の衣服とともにロシアに導入したものであるが、嫌がる貴族も多く、古来の風習に拘ると言う面と、貧乏貴族にとってはよけいな出費になるという面からでもある。カツラに白粉を振りかける(週3回)という風習は、フランスのヘンリー4世(1589~1610)が若白髪であり、近臣は王におもねって、自分の黒い髪に白粉を振りかけたのが始まりと言われ、17世紀にはカツラが現れ、ルイ13世、ルイ14世のときに大いに流行った。若いうちは付け毛などと嫌がっていても、年老いてハゲ始めるとカツラという熱烈な流行の守護者になるのであり、夜もカツラを抱いて寝た人がいたとか。
 この他にユニークなものとして、ロシア独自ではないのだろうが、ノミ取りの罠блошиная ловушкаというのが18世紀末にあった。貴婦人方には高く結ってかさばるような髪型が好まれた。寝るのも半身を起こしてで、めったに髪を洗うことはなかった。そのためノミなどが悩まされたと言う。ノミ取りの罠を貴婦人達が胸にシルクのリボンや金の鎖でつけていた。罠自体は木製、象牙製あるいは金や銀製のチューブであり、穴がいくつか開いており、下から閉まり上から開くようになっている。中にはハチミツやシロップなどべたべたする液体が塗られた棒が入っていた。このようなものを身につけているなら、たとえ美人でもロマンチックな雰囲気はなかなか生まれにくいのではなかろうか。

Posted by SATOH at 2005年07月30日 12:03
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