2005年12月29日

●知られざるロシア (5) 名犬トレーフ

名犬というと筆者の世代ではテレビで有名な名犬ラッシー(Lassieコリー)とかリンチンチン (Rin Tin Tin、1916~32年実在のドイツシェパード犬の映画スター)を思い出す。ソ連映画ではピエロ出身の喜劇俳優ニクーリンНикулин主演の映画 Ко мне, Мухтар(おいで、ムフタール、1964年)がある。ムフタールもシェパードである。実在の名犬としては革命前のモスクワに警察犬として世に名高いТрефトレーフがいた。警察犬というとロシアでもシェパードが大半であろうが、トレーフはドーベルマンと言われたが、モスクワの刑事捜査局長コシュコーКошкоによれば、ライカ犬とセッターかマスチフ犬の雑種だという。気性は荒くはないが、厳しくまじめだったという。トレーフはモスクワでの難事件解決に大活躍し、全国的に有名となった。トレーフが容疑者を見つけてキャンと一声なけば、そいつは泥棒、キャンキャンと二声なけば殺人犯だとまで市井の噂になったという。トレーフの担当はドミートリエフДмитриевと言う人で、革命のときに銃殺された。トレーフの最後については分からないが、トレーフはドミートリエフ以外からエサを受け付けなかったので、ドミートリエフと一緒に殺されなかったとしても餓死したと思われる。

犬の出てくる小話と言えば、トゥルゲーネフТургеневの小説「ムームーМуму」(貴族の地主のわがままにより犬番が愛犬ムームーを川に沈めて殺すという筋)のパロディであろう。例えば、

Новости юстиции: «В прокуратуре прошел пересмотр дела И. С. Тургенева по «Муму». В результате пересмотра Муму посмертно реабилитирована».
訳)法務ニュース、「検事局ではトゥルゲーネフのムームー事件の再審が行われ、再審の結果ムームーは死後名誉回復された」
解説)ウチョーソフУтесовの歌Му-муは牛舎からの牛の鳴き声であって(日本語ならモーモー)この作品とは関係ない。

Posted by SATOH at 2005年12月29日 13:18
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