2005年06月09日

●ラニェーフスカヤ(第3回)

 エイゼンシュテインの映画「イワン雷帝」(1942~43年)におけるイワン雷帝の叔母の大貴族夫人エフロシーニヤ・スタリーツカヤ役に推されながら、映画「夢」でのユダヤ女主人の演技が抜群だったためと、風貌がユダヤ人そのものである(もっとも彼女はユダヤ人ではあるが)という理由で共産党トップの受け入れられるところとはならなかった。戦争が始まっており、国威発揚のためユダヤ人排撃が始まりつつあったのである。
 心を偽らない一見奇矯とも見える彼女のユーモラスな言動は新たなアネクドート神話を築きつつある。彼女は天然ボケではなく、女流詩人アフマートヴァやブルガーコフ夫人との交流や豊富な読書量に裏付けられた知性人であることを理解する必要がある。吉本の社長がある芸人を指して、あれは天然ものですから傷みが早いと言った言葉が思い出される。それは天然ボケの生き腐れ、とか立ち腐れということだと思うが、ラニェーフスカヤはそうではない。ラニェーフスカヤは小話を創作したのではなく、ただ場面場面での会話の切り返しが上手だったと言う見方もある。ラニェーフスカヤの小話とされているものの中で、友人でイタズラ好きの俳優のプリャットРостислав Плятт やゼリョーナヤРина Зеленаяが面白がって作ったものも相当あるらしい。

Posted by ruspie at 2005年06月09日 03:29
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