2005年07月12日

●ロシアマフィアとВор в законе (законник, вор)(第5回)

 ворの歴史を振り返ると私見では6期に分かれると思われる。戦前、つまり創世記だが、監獄内における犯罪エリートの状況改善のため1930年代に生まれた。だれが作ったのかは不明である。ただ初期のворとして、Вася Бузулуцкий, Вася Бриллиант (1916 – 88)が伝説的存在として挙げられ、нэпманские (старые, босяцкие) ворыと呼ばれる。1941年から42年ヨーロッパロシアのシャバにいた多くのворがカフカスに避難し、これがカフカスにおいてворが誕生するきっかけをつくった。また1930年代に大量の政治犯が入獄し、その管理をするために収容所当局はворを活用した。しかし1947年ごろから戦争を経験した政治犯(多くは兵士やパルチザン)が流入するにつれてворでは統制がとれなくなり、役に立たないворに対し当局は内部分裂を図り弾圧を加えた。その一環として1948年にСучья войнаがVanino収容所で勃発する。戦争帰り(戦争に行くと言うのは当局に協力するということであり、正統派ворは拒否した。)あるいは当局に協力するヤクザがсуки, ссучившиеся (イヌ)と呼ばれ分裂し、血の抗争に発展した。当時双方に属さない者は、махновцыと呼ばれていた。1954年に抗争の激しさから当局は両派を隔離し、徐々に戦争は終息して行った。第3期はフルショフ時代で、犯罪者に厳しく、ворで生き残ったのは3%と言われる。しかしブレジネフ時代に汚職と共に蘇り、これから第4期が始まり犯罪の組織化の萌芽が見られた。1977年のロシアホテルの火事も後述するЧеркас とГивиの競馬場を巡る利権争いが元だといわれる。この年Кисловодск市で全ソヤクザ総会(сходняк)が行われ、цеховикиからのみかじめ料を上がりの20%とし、縄張りを決めるなどおこなわれた。

Posted by ruspie at 2005年07月12日 05:35
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