トップCDレビュー一覧O-ZONE「DiscO-Zone」


*このレビューは、日記「調子悪くてあたりまえ」のめるさんが書いてくれました。

     O-ZONE オゾン

            アルバム DiscO-Zoneディスコゾン

        マイアヒー、マイアフー、マイアホー、マイアハッハ♪

最近ヨーロッパに行った方はこのヨーデルのような印象的なフレーズを毎日と言うくらい聴いたことでしょう。そしてサビのヌマヌマ・イェイ、ヌマヌマヌマ・イェイ♪がいつまでも頭の中をグルグルです。でもこの歌は・・・何語??と思ったはずです、ロシアをはじめヨーロッパ全域で只今大ヒット中のこの歌を歌っているのはモルドヴァ共和国O−Zoneという3人組です。

モルドヴァといえば元ソ連の国じゃありませんか、こりゃ黙っておれません!

1991年に独立したモルドヴァはウクライナとルーマニアに囲まれる小さな国。もともとルーマニア民族の土地であったため文化的にはルーマニア圏で「モルドヴァ語」はルーマニア語の一方言と言われており、O−Zoneもルーマニア語で歌っています。はい、あなたの謎が解けましたね、すっきりしました。

 今回ご紹介するのはこのヌマヌマ大ヒット、ドラゴステア・ディン・テイを含むO−Zoneのセカンドアルバム、「DiscO―Zone」です。あっ、タイトルのダサさで引かないで下さいよ〜聴いたらもっとスゴイです。

 

              O−ZONE(オゾン)は一発屋ではない!

1999年、モルドヴァでダンとペトル(当時のメンバー)の二人でO−Zoneをスタートさせ、アルバム「Dar, unde esti」を発表しヒットしますがペトルとのグループに対する見解の相違からまもなく別離、ダンは最強の新生O−Zoneを目指してオーディションを重ねます。2001年にラドゥ、アルセニエという強力なメンバーを得て2002年からルーマニアを拠点に活動を開始し、同年8月ファーストアルバム「Number1」を発表して4曲のシングルヒットを飛ばします。2003年、イタリアのグループがカバーしてヒットしたことから大ブレイクとなったヌマヌマ・シングル、「ドラゴステア・ディン・テイ」を発表、モルドヴァ、ルーマニアをはじめヨーロッパ各国でヒットチャートを駆け上がり全ヨーロッパ総合チャートで一位になり、同時に8月にこの曲を含むセカンドアルバム「DiscO−Zone」を発表しこちらも大ヒットとなります。ドラゴステアがチャート一位になった国はモルドヴァ、ルーマニア、ロシア、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストリア、スイス、ノルウェーなど。現在も売れ続けていると同時にアルバムからのセカンドシングルカット、「デスプレ・ティ」も各国のMTVにお目見えしてこちらもヒットしています。

O-ZONEのメンバーはモルドヴァ生まれのこの3

Dan Balan(ダン・ひげ・バラン)

                                    1979年2月6日生まれの25歳・モルドヴァ共和国・キシナウ出身O−Zoneの創立者でありリーダーでボーカル、作詞作曲、アレンジ、演奏となんでもこなすO−Zoneのフロントマン。インタビューでもしゃべりまくってギャグをとばしまくりで関西芸の流れを汲むかダン。彼の生み出す独特のメロディーラインと薄紙を振るわせたようなビリ感のある声(アヒル声)はO−Zoneのサウンドを特徴づける大きなポイントとなっています。その声とたいへん濃ゆいラテン系ルックスで個人的に一押し←ナニが?

 

Radu Alexei Sarbu(ラドゥ・うすい・アレクセイ・サルブ) 

                                   1978年12月14日生まれの26歳(現25歳)・モルドヴァ共和国・オルヘイ出身。可愛い少年のようなルックスとハイトーンボイスで一番若いかと思えば最年長ですねえ。2001年にDanが最強のバンドを作り上げようと行ったオーディションでO−Zoneのメンバーとなります。個性際立つ二人に挟まれなにかと影が薄いですが彼のハイトーンは甘く美しく素晴らしい!みんな口には出しませんがはっきりいってO−Zoneで一番「まともな人」だと思っているはずです。

 

 Arsenie Toderas(アルセニエ・きも・トデラス)

 

1983年7月22日生まれの21歳・モルドヴァ共和国・キシナウ出身。ラドゥと同じくオーディションでO−Zoneに参加、コントラバス、ギター、ピアノもできます。最初にドラゴステア・ディン・テイのPVを見た人はアルシーを「キモくてヘンでなにこの人?でも好きぃ〜」となったことでしょう。そんなお嬢さんが世界中に大発生しております。その怪しい(妖しいではない)視線と子宮にグッとくる(MEWさん談)バリトンは何かとても浮遊感があり、あなたをコスモスの彼方に連れ去ってくれること間違いなし。←ご両親が心配しますから帰ってきてね。

 

DiscO-Zoneはこんなアルバム

1.Fiesta de la noche:フェスタ・デ・ラ・ノーチェ(夜祭)

2.De ce plang chitarele :デ・チェ・プレン・キタレーレ(なぜギターは悲しんでいるの?)

3.Dragostea Din Tei :ドラゴステア・ディン・テイ:(菩提樹の下の恋)

4.Printre nori :プリントレ・ノーリ(雲の合間に)

5.Oriunde ai fi:オリゥンデ・アイ・フィ(どこにいようとも)

6.Numai tu :ヌマイ・トゥ:(あなただけ)

7.Dar, unde esti:ダルー、ウンデ・エシティ(一体君はどこにいるの?)

8.Despre tine :デスプレ・ティネ:(君について)

9.Sarbatoarea noptilor de vara :サルバトレア・ノプティロル・デ・ヴァラ(夏祭り)

10.Nu ma las de limba noastra :ヌ・マ・ラス・デ・リンバ・ノアストラ(この言葉を永遠に)

11.Crede-ma :クレデ・マ(僕を信じて)

12.Dragostea Din Tei(DJ Ross extended remix)

 ★日本語訳は日本のO−ZONEサイトO−Zone HALLのオーナーJessさんにして頂きました・ありがとうございます!

 

1.Fiesta de la noche:フィエスタ・デ・ラ・ノーチェ(夜祭)

飛行機の飛ぶ音で始まりドラゴステアのまいあひ〜♪というイントロから繋がるこの曲は、イリューシンのチャーター便で大挙してやってくるロシアのリゾート客がヨーロッパのビーチホテルに着くと、真昼間からプールサイドでDJが回していた、というような曲です。「サンバ・デジャネイロ」を彷彿とさせ、さあ〜これからO−Zone 夜祭りに強制参加!という押しの強い曲でハラショーです。 

2.De ce plang chitarele :デ・チェ・プレン・キタレーレ(なぜギターは悲しんでいるの?)

O−Zone夜祭りに参加したからにはあくまで強制的にダンスさせようという曲です。イタリア語によく似た語感とキァーモ、キァーモ、アォゥゥ〜という叫びが ギターの悲しみとO−Zoneがラテン系の人たちであることをよく表しています。お嬢さんの「SMS〜!」という叫びはなんかの間違いかもしれません。 

3.Dragostea Din Tei :ドラゴステア・ディン・テイ(菩提樹の下の恋)

お待たせしました、これがスーパーヒット、ヌマヌマ・イェイ♪です。イントロはヨーデルのようなマイアヒーマイアフーマイアホーマイアハッハー♪という一度聴いたら絶対耳から離れない不思議なフレーズでO−Zoneが只者ではないことを予告したあと、アルシーのセクシーなテノール、ラドゥの甘いハイトーンと印象的なボーカルが続き、ダンも加わってのコーラスのサビがヌマヌマ・イェイ♪の大合唱!もう今日からあなたの頭の中でヌマヌマがグルグル、ついうっかり仕事中に「ヌマヌマ・イェイ♪」と歌ってしまうことうけあいです。ギターがどうとか打ち込みがどうとかそんなことはどうでもいいんです、こういうフレーズを思いつくダンの才能に参りました、という1曲です。アローという電話から始まるハッピーなノリノリ恋の歌のようなこの曲は、実は彼女がピカソ君を残して行ってしまう失恋の歌であることはあまり深く考えないようにしましょう。 

4.Printre nori :プリントレ・ノーリ(雲の合間に)

祭りも騒がしいばかりじゃありません、O−Zoneもノーテンキなばかりじゃありません、ピアノと共にダンの切ないソロが叙情的な美しい曲で、メロディアスな曲もいい味あるやん!と私に思わせた曲です。まるで映画のサントラのような一曲。 

5.Oriunde ai fi:オリゥンデ・アイ・フィ(どこにいようとも)

この曲のダンは思わずイタリアの「エロス・ラマゾッティ」?と思うようなボーカルです。二人ともアヒル声ですが二人ともアヒルとは無縁です。プリントレ・ノーリに続きメロディアスで美しい印象的な曲です。 

6.Numai tu :ヌマイ・トゥ:(君だけ)

ものすごーくスカスカしたインストにリバーブのおおいにかかったボーカルが妙に浮遊感のある曲で80年代の匂いがぷんぷんします。アルシーのラップというより呪文のようなつぶやきがいい味出していて個人的には好きですがこの必要なものまでカットしたようなスカスカさは山下達郎御大から教育的指導が入るかもしれません。←両人ともそんなヒマはありません。 

7.Dar, unde esti:ダルー、ウンデ・エシティ(一体君はどこにいるの?)

これはもうロシア人がだーい好きなユーロダンスビートで、はぁ〜とため息ものですがそのことばかりに頭がいくといいメロディであることを聴き逃しますからご注意ください。ダルーウンデというフレーズが「だうーん、だうーん」と聴こえてだうーんですがもう一回言いますけどいいメロディです。 

8.Despre tine :デスプレ・ティネ:(君について)

私が「モルドヴァの盆踊り」と呼んでいる曲です。おすすめ。ドラゴステアに続き現在MTV等でオンエアされてヒットしているPVがこれです 。O−ZONEが70年代にタイムスリップしたという設定で展開されますがそのダサさは確信犯的です。めちゃめちゃノリのいい曲で何か心配事があってもこれを聴くと忘れちゃう感じ(特に私が)で現代人の生活にはなくてはならない(特に私に)曲です。 「ヘーイ」「フー」という掛け声は会社の接待でカラオケに行くと上司に「盛り上げろ」と目で合図されるカンジです。こちらもサビのララララレイ♪というのがヌマヌマと同じくらい耳と頭に残って無意識に歌ってしまいますがヘーイ、フー!も知らず知らず言ってしまうのでご注意。

9.Sarbatoarea noptilor de vara :サルバトレア・ノプティロル・デ・ヴァラ(夏祭り)

これはカナリ好きです。サンバホイッスルからラドゥの優しいソロで始まる憂いを含んだメロディラインはロシアのアーティストにも共通する独特の調子を持っています。このタイプのメロディラインは日本に溢れている音楽では耳にすることがありませんでしたがロシアで毎日ヨーロッパ圏のポップスを耳にするとヨーロッパのポップスのひとつのラインのような気がします。ちょっとロシアの「プラズマ」が書くような曲に似ています。アルシーのつぶやきがいい感じ。

10.Nu ma las de limba noastra :ヌ・マ・ラス・デ・リンバ・ノアストラ(この言葉を永遠に)

ノリノリのO−ZONEばかりじゃナンパな男子と思われて真剣に愛を伝えたいのに彼女にわかってもらえないかもしれないというのでしっとりと、でも軽快にカリプソ風に仕上げてみました。これで愛の言葉も永遠に彼女の心に刻まれるでしょう。最後のジャーン♪というのが良いです。 

11.Crede-ma :クレデ・マ(僕を信じて)

信じたいけどアルシーの怪しいラップでちょっと疑ってしまうところをラドゥとダンの誠実そうなソロと3人のコーラスで彼女を安心させる優しいスローナンバー 

12.Dragostea Din Tei(DJ Ross extended remix)

ただでさえノリノリのヌマヌマが更にズンドコズンドコで底無しヌマになっています。だいたいなんとかリミックスっていうのはこういう感じに仕上がっている、という期待を裏切らないズンドコさであなたの部屋が突然ディスコ(クラブではない)になってしまいますので何も考えずにさあ踊ってください、心配することはありません、あとの責任は私がとりましょう。←?


ヘンなビデオクリップ「Dragostea Din Tei」


ヌマヌマをここまで有名にしたのはその楽曲だけでなくこのPVの役割も多大です。最初テレビで見たとき食事中だったのですが夫婦して箸が止まりました。80年代初頭の初期PVによくあったような実写とアニメを合成した構成なのですがとにかく「おかしい=おもしろい+ヘン」です。
ロシア好きの方ならヤコブレフ、アントノフという飛行機が使ってあり機内にロシア語が見えるのがわかると思いますが、3人が貨物機の中や翼の上で歌ったりラインダンスしたりFBIだったりドラキュラだったりボディビルター大会だったり国際平和擁護会議やったりゾンビとかメキシコ人とかインディアンとかサンタも飛んでますしモルドヴァ国旗で金メダル万歳なのはロシアとしては「うう!」ですし、やりたいことは全部やらせてもらうぜというカンジです。しかし一番の見所はやはりアルシーのまゆげ+めがね+怪しい視線でしょう。まったくとんでもないヤツです。最後になりましたが、この歌が「ピカソ君の失恋の歌」ということはもう完全に忘れてしまって結構です。
★ビデオクリップの試聴ができるサイトは、こちら


 

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O-ZONEのいろいろサイトご紹介
★日本初の充実O-ZONEサイト:O-Zone HALL

★O-ZONEオフィシャルサイトはこちら(英語・ルーマニア語)。
★なぜかオフィシャルサイトがもうひとつ(英語・ルーマニア語)。

★ロシアのファンサイトはこちら(ロシア語)。

 ※「ドラゴステア・ディン・テイ」の試聴はこちらからどうぞ!

 




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