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「チェチェンで何が起こっているのか」
2002年の劇場占拠事件を上回る大惨事となった北オセチアにおける学校占拠事件と、そのほんの1週間前に起こった旅客機同時墜落事件。これらの背景には「チェチェン問題」があると考えられます。最近日本国内で開催された、2つのチェチェン関連イベントの模様をお伝えします。(2004/9/20 おがぴょん)
BE-IN & WORLD PEACE NOW スペシャル
2004/9/11 東京・明治公園にて
9.11に合わせて行われたイベント。主にイラク反戦を訴えつつ、世界平和を祈り、話し合い、発信するという主旨のもと、世界各国の平和支援団体が集まりました。
チェチェン・ブース(写真)。

写真の展示や書籍販売を行うということで、品切れ中の「チェチェンで何が起こっているのか」が買える♪と思っていたのですが、一連の事件直後ということもあってか、書籍は完売状態(T-T)。現在重版待ちだそうです。「もっといっぱい持って来れば良かった〜」と大富さん談。

でも、私は重版の出来上がりを待ってあとで絶対買うけど、今日ここでたまたま見かけて興味を持って欲しくなった、という人の手に渡ったってことだから良かった。と思いました。それがこういう共催イベントのいいところですから。
◆イベント主催者のサイト: BE-IN & WORLD PEACE NOW スペシャル


緊急報告:「チェチェンで何が起こっているのか」
2004/9/18 東京・文京区民センターにて

報告者:林克明さん/大富亮さん
サイト「チェチェン総合情報」やメールマガジン「チェチェンニュース」などで、チェチェン紛争に関する情報を広く提供してくれている大富さん(写真左)。

チェチェンについての基礎情報、チェチェン紛争の背景などを、今回のベスラン学校占拠事件を受けて放送されたニュース番組のビデオ上映なども交え、わかりやすく説明してくれました。
ノンフィクション・ライターの林さん(写真中央)。チェチェン戦争を取材し続け、関連書籍の著作も多数。

今回の一連の事件について、また、これまでの長期に渡るチェチェン国内での取材をもとに、「チェチェン問題」について語ってくれました。チェチェン人とはどんな民族なのか、日常、現地ではどのようなことが起こっているのか、紛争の長期化によるチェチェン国内の変化、モスクワ等に住むチェチェン人が置かれている状況等、興味深く聞かせていただきました。
他、今回現場で交渉にあたったといわれるアウシェフ・イングーシ共和国前大統領のインタビューについてや、前日に発表されたばかりのバサーエフ司令官による犯行声明等についても、イベント参加者も交え活発な議論が交わされました。

会場は満員。立ち見も出る盛況ぶりです。
書籍売り場も大人気。今回は私も買うことができました。


最後に、チェチェン問題について私達はどう行動したらいいのか、という話になりました。チェチェンに関心を持ち、知ろうとすること、報道されたことがすべて事実かどうかわからない、と疑ってみること、発表された記事についてマスコミに意見を投書したりすること等。特に最後の行動が重要、実行していきましょう、と大富さん。良い記事には「とても良かった」と、おかしいと思ったら「これはどういうことなのか」と、ハガキやFAX、メールなどで意見を伝える。小さいかもしれないそういう行為の積み重ねによって、世論というものが形成されていくのだと思う、とのお話でした。


チェチェン情報をもっと詳しく知りたい方は、下記のサイト(↓)必見です!
◆大富さん主催のサイト: チェチェン総合情報
◆チェチェンについての情報が読めるメルマガ: チェチェンニュース


【感想】
  立て続けに大きな事件が起こり、今、チェチェン問題への関心が高まっています。沢山の人が、今まで知らなかったことに触れる機会が増えるのはいいことだ、とは思います。大富さんや林さんが、ネットや出版媒体などを通じて地味に情報を発信(←すみません…)しているよりも、テレビで5分でも特集組まれたほうが影響が大きいことは明らかですから。
  が、しかし。多数の犠牲者が出る大事件が起こった後だけ、急に注目され報道されるのってどうなの?とも思います。…って、今作っているこのページとかがまさにそうなのかもしれないんですけど。自戒も含めつつ、ということで。
  つまり、今回の事件が「チェチェンに世界の関心を集める」ことが目的のテロ行為であった場合、今のところその目的は達成されているといえます。事件の真相や実行犯は一切明らかになっていないというのにこんなことを言うのもナンなのですが。一般的な心情からいって「無差別テロ」は独立運動には逆効果ではないかという気もしますが、実際問題として、今回の報道の大方の論調は「ひどい事件で絶対許せないことだけど、今までチェチェンはロシアにもっとひどいことされてきたらしいんですよ」というものではないでしょうか。いっぱい人が死んだら大きなニュースになるから手っ取り早い、とかいう方向で考えちゃうんじゃないのかなあ、テロリストの人達。…などと思うわけです。そういう意味で、地味に、であっても、長期にわたってチェチェンの取材や支援などを続けてきた林さんや大富さん他、関連団体の方達に敬意を表したい、と思いました。

  2002年のモスクワ劇場占拠事件の後も同じような状況だったと思うのですが、今回こそ、「チェチェン問題に対する関心」が一過性のものに終わらないことを願っています。ふたたび自戒も含めつつ、です。(2004/9/20 おがぴょん)


続々と刊行されるチェチェン関連書籍。その一部をご紹介します。
※表紙画像or書名をクリックするとAmazonに飛びます。各カスタマーレビューがとてもイイので、ぜひ読んでみてください!
チェチェン やめられない戦争
アンナ・ポリトコフスカヤ:著
NHK出版
チェチェンで何が起こっているのか
林克明・大富亮:著
高文研
チェチェン屈せざる人びと
岩波フォト・ドキュメンタリー世界の戦場から

林克明:著
岩波書店
カフカスの小さな国―チェチェン独立運動始末
林克明:著
小学館

※品切れ中。復刊投票にぜひご協力ください。


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