2007年12月28日
9号 小さな劇場は大きな感動の場所
私はユーゴザーパド劇場のファンです。俳優の大ファンです。が、この劇場では、ひとりの外国人観客のひとりです。正規の値段でチケットを買い、正規の時間に劇場内へ入ります。楽屋には行きません。行ったことはありますが、客が入るところではありません、私は行きたくないです。ただし、チケットの購入予約は俳優に訪露が決まったときから頼んであります。人気の劇場ですから、小さい劇場ですから、切符はすぐに売り切れます。
はじめてユーゴザーパド劇場へ行ったとき、2001年1月のことでした。はじめて観るあの劇場の小ささに驚きました。舞台は客席よりも高さ15センチくらい高くなっているだけ、俳優も演技中には舞台からはみ出したりして客席近くまで寄ってきたりします。その舞台と客席の間は、約1・5メートルくらい離れているだけかしら。俳優は客の目の前で演じます。客は手を伸ばせば届く位置で俳優の熱い演技が、目の当りに見えます。
これは、なんども書いていることですが、初めて行ったときから、今回も、ここの舞台はとても神聖なものであると痛烈に思っています。私たち観客は絶対に上がってはならない、俳優の命が吹き込まれた神聖な場所だからです。実際に上がってはいけません。若い客たちが思わず上がってみたりして、劇場関係者から注意されています。
神聖という意味でのことですが、舞台には舞台の神様がいて、客席には客席の神様がいます。芝居がはじまるとその神様同士が意気投合して、劇場の神へと昇っていく……、とても抽象的なようですが、それは肌で感じます。舞台とはとても神聖な場所なのですね。
私の席は一番前の上手側。はじめて観るこの芝居はどんなお話なのか、いっさい知らない。もちろん全編ロシア語、日本人客だからと音声ガイドがあるわけでもない。私のロシア語は単語をいくつか知っているくらい、舞台せりふが理解できるわけが、ない。
「 ВСЕ БЕГУТ, ЛЕТЯТ И СКАЧУТ……」.
Игра в Хармса в 1-м действии
洗濯おばさんが気持ちよく洗い上げて干している洗濯物を、子どもたちがいたずらしながら、子どもの世界にある創造と伝統で遊びまわる、というお話らしい。
子どもたちの役には若手俳優男女3人ずつが精一杯舞台を動きまわっています。ベテランの俳優も登場します。シューラは洗濯おばさん役です。そして、演出は、そのシューラです。
客席には両親や祖父母とやってきた子どもたちが、思わず舞台へ向って声をかけたり、大笑いをしたり、拍手をしたり、し~んと納得したりしているようです。私にロシア語力があれば台詞回しのおもしろさが判るのですが、それはもうダメですから、気持ちを読みましょう。いいや、舞台の楽しみ方は観る側の想像力で自由に観ていて良いものだから、舞台のどこを俳優のだれを観ていても良いのです。そこが映像にはない自由さです。だから、ロシア語がわからなくともロシア語芝居が楽しめます。なんと言っても俳優の巧さが私を想像の世界で遊ばせてくれますから、楽しいです。
ひとりの若い俳優ユーシン、丸顔で色白でほほに赤い丸い化粧をして、可愛い顔。日本のタレント山瀬まみにそっくりで、いつも彼に目が行ってしまいました。私の一推し俳優は、デニス。彼はシューラも褒める巧さの人です。ただし、この芝居ではとても汗をかいていたのが残念でした。
1時間10分の芝居はあっと言う間の短さでしたが、客席は大満足で大きな拍手がいつまでも鳴りやみません。ところでシューラは私が来ていることを知っているのかしら?舞台から気がついたのかしら?
あとで知ったのですが「まったく判らなかった」そうでございます。
終演後、また次の回を外の待合室で待ちます。このとき相当に私は疲れきっていることを自覚しました。あれ?どうしましょう。
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