2006年12月10日
**82号** 民族学博物館裏舞台
~~~5月12日 サンクトペテルブルクにて~~~~
春のサンクトペテルブルクです。確かに春です。が、どこかにまだ“本物”となっていません。薄手コートにマフラーをして街を歩いています。
12日は実質、休養日にしました。民族学博物館には行ったのですが、忙しく仕事をしている、修復学芸員のエレナの仕事場でお茶を飲み、彼らの仕事を見せてもらいました。それだけです。
写真を写し忘れましたが、いろんなものがなにげに置かれている、博物館の裏がわ。「アイヌの資料を調べている」と、エレナは日本の注連縄(しめなわ)状のものを見せてくれた。
「これ、古いからね。いま、勉強中よ」みたいなことも言っていました。
修復学芸員は、世界各地から集まるいろんな民族文化遺産などを観察して、調べて、壊れたものを直すだけではなく、出自からはじまり、どこでどのように使われていたのかを学んでいかねばならない、難しい仕事です。
修復学芸員はそれぞれ専門分野があるようで、エレナは家具調度品、手工芸品、宗教用具などにも詳しいようです。別の部屋では、衣装関係の修復学芸員が、ドレス様のものと針を手にして、細かい仕事をしています。
エレナの隣の作業打ち合わせ部屋では、上司が、板に白いペンキを塗っています。きっとすんごい有名人なのだろうと思われる彼は、「これはペイントではないよ、スメタナ(サワークリーム)だからね、美味しいよ」と、私を笑わせてくれました。小さな板が、どんどんと白くなっていきます。
でも、その間にいろんな人たちが部屋に出入りしてきます。話していきます。書類を持ってきます。電話がかかってきます。超多忙です。
この博物館の裏側の建物の1階にある、エレナの仕事場は、2002年にも来ました。そのときは、部屋こそ広いけれど、机とか椅子とか棚とかが、古いものばかりだった。茶色の壁が暗い印象だった。博物館そのものも暗くって、展示品も少なかったし、陰気な印象だった。
が、今回は調度品類が新しくなって、壁もきれいに白くなっている。電灯もたくさん点き部屋が明るいのです。
ソ連の後半時期から新ロシア誕生当時は、公的補助金などが薄くなってしまった博物館美術館劇場などは、みすぼらしかった。が、修復もまた、始まった時期でもあったのです。
特にいまは、ロシアの景気の良さがど~んと厚く押し寄せてきているみたいです。博物館がいろんな取り組みをして、展示品も見学する人も、多くなっているようです。
民族学博物館1階、正面にある巨大ホールでは、この日、「貸し会場にして、企業のパーティがある」と言ってました。
でも、エレナたち博物館裏方で働く人たちの賃金は、仕事に見合う賃金、生活できる賃金と改善されたのでしょうか。以前、衝撃の告白を聞いたのだから。
エレナは、私にお菓子をすすめてくれた。その甘いお菓子と紅茶を飲んで、垣間見た多忙な彼らの様子。彼らは仕事が好きでたまらないのです。情熱あふれる彼らに支えられてロシアの歴史は、よみがえっているのですね。よくわかりました。
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