2006年07月06日
** 33 ** 初夏の夜の真実
===5月6日 夕方 暖かいモスクワ・観劇「夏の夜の夢」===
幕開きが大好き。出演のほとんどの俳優たちが歌いながら、踊りながら舞台に並びます。その歌のリズムがしばらく頭に残ります。2003年の来日時には、「夏の夜の夢」を追っかけて、7回も見てしまったので、毎日頭の中はそのリズムが渦巻き、思わず唇もそれを歌っていました。
「夏の夜の夢」も、前に見た「検察官」も次に見る「結婚」も、「勘違い」や「思い込み」「とり違い」が、シナリオの筋で、それが観客も演者も引き付けるおもしろさです。
「勘違い」するのが大勢か、ひとりか、人のなせる業か、見えないものがさせることか。「とり違い」が、とんでもないものか、成り行きのものか、はたまた最初からか、最後に気が付くか……。それがシェークスピアやゴーゴリーの芝居が、世界各地で長きにわたり演じ続けられている、普遍的なものなのでしょう。
衣装がまたおもしろいです。シューラも演じる宮廷の男性たちがズボンを履いていません。ワンピースだけ、それもサイドカットが入っているものとか、透けているものとか。足が見えます。踊るとその上まで見えてしまいます。
そして、ほとんど裸の男女の妖精たち。葉っぱを模した隠し布があまりにも小さいので、彼らが踊ったりすると、思わず「アブナイ!!」、でも目はそのまま……。

町の職人たちの役は、ベテランの名優たち。劇中劇で演じる“下手”演技には、笑いながらその妙技の心地よさに、うっとりです。こちらは衣装なのか普段着なのか、もちろん衣装ですが、典型的おっちゃん労働者スタイルです。
若い4人の男女の恋の騒動、妖精夫婦の浮気騒ぎと妖精グループの騒動、職人たちの芝居つくりの騒動。3つの大騒動がきれいに丁寧にまとめられています。演出家ベリャーコビッチ氏の見せ技は、場面の転換と騒動の仕掛け人妖精ペックの役割では、と私は思います。
「ああ、こういうやりかたがあったのか」……。
観客たちや批評家たちに、その言葉を言わせる快感。それをベリャーコビッチ氏はもう何度も味わっていることでしょう。
「鬼才ベリャーコビッチのマジック」と呼ばれる、外国人のこんな私さえも引き付けて夢中にさせてくれる、超越した魅力的演出家、ワレリー ベリャーコビッチ氏と、同時代に出会えて、私は幸せです。
▽ ▽ ▽ ▽
彼の演出手法などは、NHK教育テレビ9日22時からの「芸術劇場」でご覧ください。
3月26日東京での「マクベス」公演が放送されます。
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