2006年07月02日
38号 心のこもっている本・2冊
“本を書く”とは、作者と編者の全身全霊を本に写り住ますことです。もっと言えば、製本や販売する人の気持ちも入っています。そういう本は、「この本を買ってください。読んでください」と本のほうから、呼び止めてくれます。そういう出会いの本がこのところ多くあるのは、私が求めているものが多くあるということです。読むべき本がありすぎるこのごろです。
「トルストイのアーズブカ」=Азбука льва Толстого =心をたがやすお話・・・・(日本語版) 日本トルストイ協会企画、新読書社刊行・税別2000円。
先日、名古屋で開かれた日本トルストイ協会の講演学習会、遅れてしまって肝心な講演を聴くことができなかったのですが、この本には出会えました。そして、出会いに感謝できる、心が澄み渡るような一冊です。
ロシアの大文豪と称され、その本を読んでいなくとも名前だけでも知っている方は多いでしょう。私もそのひとりですが。レフ ニコラエビチ トルストイ(1828~1910)が、子供たちのためにと書いたお話し集です。アーブズカとは、ロシア語で「アルファベット」の意味とか。
この本に集められている127編のお話は、だれもが、きっといままで聞いたことや読んだことがあることでしょう。私も子ども時代に大事にしていた童話集が、このお話集だったことに、気がつきました。「あっ、この話し、たしか、載っていた。あら、これも知っている」など、ウン十年も前の愛読書の世界に戻りました。
優しい言葉で、ていねいに、人間の暮らし、知恵、愛、自然、動物たち、植物たち……、それらの短いお話し集です。最初に掲載の「ニワトリとガチョウとキツネ」は、たった4行だけのお話し、でもその世界にすっと入り込むことができるのは、作者トルストイの人をひきつける心の表れなのでしょう。
いくつかを読んでいくと、先日名古屋で見た芝居、「木の皿」の、あきらかに原題となっている「年老いたお爺さんと孫」に出会いました。「木の皿」はアメリカ人の作家のオリジナルだと思っていたのに。
そして、挿絵のおもしろさも秀逸です。ちょっと前のロシアの人々の暮らしぶりがとてもよくわかります。挿絵画家は、M.G.クリャッツキーエワと、巻末に記されています。原作のトルストイの心がそのまま画家に映っていったものでしょう。優しくわかりやすくきれいです。
もう1冊は「トルストイの生涯」。日本トルストイ協会の前身の昭和女子大学トルストイセンター企画の写真集、2000年5月発刊のA4サイズ224ページに及ぶもの。お値段は4000円です。
これは驚きです。と、いうか私が無知なのですが、トルストイはこんなに写真を残していたのですか。
掲載されている多くの写真と説明文は、今後ゆっくりと読んで、トルストイとの時間を持ちたいと思います。
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こんにちは。
トルストイの本をご紹介くださり、ありがとうございます!
『木の皿』ですが、もしかしたらやはりオリジナルはアメリカかもしれません。といいますのは、トルストイは子どものための短編物語を書く際、世界中のいろいろな既存の物語からとって改編していることが多いからです。
たとえば、これもアメリカの作家の『鮫』という物語ですが、原作は、鮫に追いかけられる子どもを大人の視点で描いているのに対し、トルストイはそれを、逃げる子どもたちの立場に立って書き直しています。
イソップ物語からは最も多く改編されました。
『木の皿』は知りませんでした。新たな発見です!
マースロワさま お返事遅くなりましたことお詫びいたします。
あれから「トルストイ」が気になってしかたがありません。そろそろ読みようかと思うこのごろです。
たくさんのこと教えてください、これからもどうぞよろしくお願いいたします。