2005年10月09日
【 48号 】 モスクワに戻ると…
~~~~~ 8月 6日 晴天のモスクワの夕方 ~~~~~
モスクワシェレメチボ国内線空港の出迎え口は狭く、ひとめで迎えにきているかどうか、到着したかどうかなどわかります。シューラはきっちりしている人で、この飛行機の時間を私の目の前でメモして持っていましたから、間違いないでしょう。なにかあったのかしら?大渋滞にでもはまったのかしら?大きなトランクを持っているので、動き回ることはやめてじっと待っていることにしましょう。
30分くらい待ったでしょうか。白いシャツを着て、妙に赤い顔のシューラがやってきました。「仕事が終わらなかった……」と。「さあ、車に乗って」。
車に近づくとだれかが車の中にいます。若い青年のよう?「リョーシャだよ」とシューラ。
アレクセイ(愛称リョーシャ)はシューラの長男です。とってもきれいな顔をした優しい彼です。会うたびに大きく成長しているのですが、きょうはいっそう青年になっていて驚きました。「こんにちは」と日本語であいさつをしてくれたリョーシャです。声もすっかり大人の声です。

「ペテルブルクはどうだった?レナは元気だったかい?」俳優シューラたちはペテルブルク公演のときレナに観光案内をしてもらい、レナもモスクワからやってきたユーゴザーパド劇場公演を楽しんだことがあるのです。
「映画撮影の仕事が遅くなってしまった。リョーシャも映画に出演しているんだよ。きょうは、暑い外での撮影で何度も同じことの繰り返しだった……。さあ、サリュートホテルへ走るよ」。だから赤い顔をしているのですね。
ホテルはついこの間出発したホテルですから、もう私は要領
はわかっています。今度の部屋は1805号、表側の大通りに面している部屋、ちょっと車の音がうるさいかな?
ホテル下の喫茶で、3人で再会を喜びました。と、いうかシューラもリョーシャも撮影現場から駆けつけてくれたようで、お腹をすかせているようです。私も少々疲れたのでビールを飲んでくつろぎたい。
「きょうの映画の撮影は短い時間の予定だったのに、何度も繰り返すからちょっと疲れたよ」。
「なんていう映画ですか?」
「『Просто повезло』という難しい映画なんだ」(簡単に運んだ)っていう日本語意味でしょうか?
「日本で観ることができるかしら?」
「ははあ~、それはどうかな??」
「どんな衣装なのですか?」(私は役者の衣装が気にかかる)
シューラもリョーシャも笑うのです。「さあて?」
リョーシャが「日本語教えてください」と言う。
「女の子は『ちゃん』でしょ?男の子は『君(くん)』でしょ?僕はまだ『君』ですか?」、おお、大人になりかけの青年らしい質問ですね。ここで『君(くん)』ですよと応えると彼のプライドが崩れそうです。と、いうよりももう立派な青年ですから、はっきりと応えましょう。
「リョーシャは『さん』です。リョーシャさん」。
とってもステキなホッとした笑顔を見せてくれました。
「明日はマラトの家に行こう、マラトが待っているよ」。
マラトとはシューラの親友で、私がモスクワに行く時いつも運転手をしてくれる優しい人です。6月に14年ぶりに長男が誕生したので、会いにいかねばなりません。
「今夜はゆっくり眠りなさい。明日も午前中は寝ていなさい。13時に迎えに来るよ」。
私は、ビールの所為もあるのでしょうが、すごく眠くてそれはシューラにもわかったのでした。
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