2005年10月08日
【 46号 】 霧が生まれる瞬間
~~~~~8月5日 夕方~夜、 ノブゴロド~ペテルブルクへ ~~~
サンクトペテルブルクへ戻るバスは午後8時過ぎに出発です。雨はすっかりあがり、西の空が明るくなっています。午後8時のノブゴロドです。
バスに乗り、適当な席に座ったらオレクは「だめだよ。こちらだよ」。私は知りました。バスは座席指定だったのです。だから朝もみなおとなしく座ったのですね。真ん中あたりの窓側の席が私、その隣りにオレク、レナは通路をはさんでひとり置いて向こう側に座っています。
バスは定刻に動き出しました。西の空が明るく真珠色に輝いています。しばらくバスの中で、ほっとして黙りこくっていました。流れる景色は、道の両側にいくつも続く林と農家と畑ばかり。
途中、来た時に止ったトイレストップでまた止りました。今度は私たちだけですから、トイレを済ませて、しばらく余裕があって、周りを眺めました。花が咲いています。いま沈む前の太陽が一層輝いています。きょうは曇り、雨、雲、また大雨そして最後に見事な夕日を見せてくれるようです。気温もさがりませんでした。バスの中では半そでシャツでも大丈夫です。ノブゴロドで買ったシャツはきょうは着ることはないでしょう。

バスは一路ペテルへ向けて走ります。来た時と同じ道なのに、まったく違う景色に見えるのは夕日のせいでしょうか。
少し目を閉じていたら、オレクが窓の外をみるように言います。
霧が生まれています。バスや多くの車が走る道路のすぐ脇の林から、畑から、いままさに霧が生まれてきました。その美しいこと。バス中の客たちが興奮しています。走り行く道の両脇からどんどん生まれているのです。

私は「霧の中のハリネズミ」を思い出しています。友だちに会いにいくために、ハリネズミが霧の中でちょっと恐いものに遭遇しても、勇気を出して友だちのことだけを思って、会いに行く……。いま、大事な友だちに会いにきています。ロシアへ。会いたいとだけ思う愛しい友だちにいま会いに来ています。そして、こんなすばらしい時間を共有しています。
バスが進むと同じく陽は暮れていきます。車の数が多くなるころバスは、サンクトペテブルクに近づき、地下鉄の駅に止りました。帰りは最終バスセンターですが、主な駅で止るようです。オレクは「僕はここで降りるからね。明日は午前11時ホテルに行くよ。明日また会おう」と降りていきました。
レナと私は、繁華街に近い(だろう)場所で 降りると車はライトをつけて空は暗く、時計を見れば午後11時過ぎです。さすがにレナも私も疲れましたが、レナは私をホテルまで送ってくれます。
路面電車に乗りました。「少しだけですが乗りましょう」と。電車の中で、青年たちがどかどか乗り込んできました。大きな図体で後ろから前に移動しています。と、そのうちのひとりが私に「○×*▽は、どこで降りるの?」って聞きます。レナに聞くのではなくてね。「はあ??」としているとすかさずレナさんが応えました。そしてレナは「あなたはもうここの人ですよ」って笑います。
ホテルで、レナに別れのあいさつです。なんともステキな日をありがとう。レナはメトロに乗ってまだ30分以上かかって家に戻るのです。もう日もすっかり暮れた夏の夜のサンクトペテルブルクでした。
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