2013年11月01日

●続和文解釈入門第262回

 ソコローフスカヤСоколовская К. А.先生によると、ロシア語で過去の時制が使われる確率は45%であり、未来の時制は8%にすぎないという。しかも未来の時制における完了体は不完了体の7倍もよく使われるというから、統計の数字だけ見れば不完了体未来形は重要でないように思われるが、その用法を究めれば、なかなか奥深い用法であることが分かるはずである。

出題)「彼(その赤ん坊)は10ヶ月のときからアンヨをしている」

Posted by SATOH at 08:02 | Comments [3]

2013年11月02日

●続和文解釈入門第263回

例文というのは、出来るだけ簡にして要を得るもので、かつ当該の用法がどこまで使えるのかその限界を示すことが出来るものが最良であり、そういう例文が多ければ多いほどよい。第261回の出題も不定動詞が能力を示せるということだが、ходитьばかりでは、それしか覚えないことになる。そういう意味でこれなども限界の用法と言える。A Comprehensive Russian Grammar, Terence Wade, Wiley-Blackwell, 2011やA grammer of aspect, Forsyth, Cambridge University Pressは日本語のロシア語文法書に比べて、和文露訳に使える、そのような例文が非常に多いように思われる。拙著の『新訂和文露訳入門』もそれを目指したつもりである。

出題)授業で先生が言う「答えの分かる人?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 07:58 | Comments [4]

2013年11月03日

●続和文解釈入門第264回

В чём разница?を直訳すれば、「違いはどこにあるのか?」であって、「違いは何か?」でも、「何が違いか?」でもない。日本語とロシア語で偶然発想が似た例であろう。

出題)「帰るからお勘定お願いします」をロシア語にせよ。私のコメントと回答が1日、2日遅れるかもしれませんがご容赦願います。

Posted by SATOH at 06:13 | Comments [3]

●続和文解釈入門第265回

знатьを結果存続兼評価型動詞にしたが、結果存続はともかく評価の意味はないという結論に達したので、знатьを結果存続評価型動詞から外す事にした。знатьに対応の完了体がないというのも大きな理由である。それゆえ『新訂和文露訳入門』に下記を追加する。
3-1-6-2 状態の動詞と結果の存続

 この用法は被動形動詞過去の現在の時制における結果の存続の用法に意味的に非常に近い。それは次の二つの文のзапрещеноとзапрещаетсяが同義であることからも分かる。

(禁止されているもの以外はすべて許可される)Всё разрешено, за исключением того , что запрещено.
(室内のたき火厳禁)Разведение открытого огня в помещении строго запрещается.

この二つの違いは、被動形動詞過去の現在の時制の用法が動作の終了したのが、過去、ないしはたった今ということだが、不完了体動詞現在形には状態の意味であり、たった今終了したという意味はない。この動詞には遂行動詞の意味もある。
 状態の動詞がуже(すでに)との組み合わせで結果の存続を意味することがある。

(このような装置が何台御社ではすでに運転しているのですか?)Сколько таких установок вами уже эксплуатируется?
(「ママ、もう起きてるよ、起きてるってば、ママ」と言って、また寝入ってしまった)И говорил "Мам, я уже встаю, встаю, мам!" и засыпал опять.
(息子はもう独り立ちしている)Сын уже на ногах. <「息子はすでに歩けるようになっている」とも訳せる>

ужеがなくとも、それが含意されていれば、знатьのような状態や反復の動詞にも、быть осведомлённым(知らされている)という、次のような動作の起点が明確な結果存続の用法がある。

(当直の報告からどうなったかは聞いている)Из донесения дежурного я знаю, как обернулось дело.

出題)「仕事が終わったと思いこんだ」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 18:34 | Comments [3]

2013年11月05日

●続和文解釈入門第266回

動作を示す「なくなる」にはсойти на нет, вывестись, прекратить своё существованиеなどいろいろの言い回しがあるが、нетを使っても次のように言える。これなども状態の動詞が結果の存続にも使える例であろう。

(チョキン、チョキン、すると茎や葉っぱはなくなった)Чик-чик! - нет ботвы.

出題)「それを見た人は忘れない」をロシア語にせよ。コメントや私の回答が1日、2日遅れる可能性がありますが、悪しからず。

Posted by SATOH at 07:39 | Comments [4]

2013年11月06日

●続和文解釈入門第267回

Я слушаю вас.(〔電話の応対で〕私ですが)は遂行動詞だが、Вы слышите?(〔よく〕聞こえますか?)は様態の意味の状態の動詞である。語義のみならず、動作が完遂するのかどうかにも着目して動詞を選択する必要がある。

出題)「この薬を服用すべきか、それとも飲まなくてもよいのか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 05:36 | Comments [3]

2013年11月07日

●続和文解釈入門第268回

体の用法で難しいのは、不完了体不定形、不完了体未来形、不完了体命令形である。これが完璧に分かれば、体の奥義を極めたと言ってよい。会話がうまくなりたいのであれば、露文解釈用の勉強(副動詞とか形動詞)は後回しにして、不完了体の勉強や、被動形動詞過去短語尾を優先するなど、メリハリをつけた勉強をした方が効果的である。

出題)「ミーシャが来てるよ」
「彼、私をずっと待ってくれているの?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 05:59 | Comments [4]

●続和文解釈入門第269回

完了体は時間軸における不動の一点のみをイメージするため、経過を示すことができない。そのため不完了体がその役割を担わざるを得なくなったと考えられる。つまり反復も継続も不完了体が本質的に持っている用法ではなく、文脈によるのだということが言える。

出題)「うちの課ではいつもだれかが長電話をしていた」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 17:51 | Comments [4]

2013年11月09日

●続和文解釈入門第270回

「完了体の本質は、話し手が動作の結果として、時間軸の特定かつ不動の一点をイメージする」ということから、否定文においても完了体は具体的で現実的な、直近の事柄を表現することになる。一方、不完了体は不動の一点にとらわれないわけで、そこから抽象的な、非現実的な、ある意味一般的なニュアンスを帯びることになる。

(私はその手紙を受け取っていない)Я не получил письмо.
(私はいかなる手紙を受け取らなかった)Я никакого письма не получал.

出題)「彼らはお互いの話から雪男について知った」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 06:55 | Comments [4]

2013年11月10日

●続和文解釈入門第271回

最近『ミレニアム』3巻(6冊)(スティーグ・ラーソン、ヘレンハルメ美穂・岩澤政利訳、早川書房)を読んだ。本書が2005年に出版されたときもタイム誌で絶賛されており、是非読みたいものだ思っていたがようやく機会ができた。作家はスウェーデンの人で、惜しくも2004年に亡くなった。本書は犯罪小説であり、謎ときは玉ねぎの皮のように重層的で、皮をむくというよりは、ざっくり切って、反対側の皮に至ってようやく作者の意図が分かるという込み入ったものである。男女二人の主人公ミカエル・ブルムクヴィストとリスペット・サランデル、特に女性の方のリスベットの性格描写が傑出しており、アスぺルガー症候群で、かつサヴァン症候群であり、そのため写真のような記憶力をもち、コンピューターに秀でている、ここまでは、テレビで放映され、映画にもなったATARUの主人公に似ているが、リスベットはいじめられても、泣き寝入りしたりすることはなく、いわゆる倍返しをする。

 私は犯罪小説が好きで、日本で今野敏の隠蔽捜査シリーズとか、ロシアではマリーニナのカーメンスカヤ捜査官シリーズも読むが、いまいちのような感じで、まだまだレベル的には欧米の作家にかなわないように思える。ロシアの犯罪小説における女性心理描写ではТ. Устиноваの方がマリーニナより明らかに上手である。最近はジェフリー・ディーヴァー、ジャック・カーリー、マイクル・コナリー、ミネット・ウオルターズ、ジェームズ・ロリンズの諸作、『尋問請負人』(マーク・アレン・スミス)など楽しみに読んでいるのだが、犯人が残虐な行為をする割には、あっけなく殺されたり、逮捕されたりで、読者としてフラストレーションがたまる。しかし『ミレニアム』は倍返しどころか、10倍返しにより犯人たちも痛い目を見るわけで、その点読後スカッとするのは請け合いである。作者が亡くなったのは本当に残念なことである。

出題)「しばらくお客様のお相手をしててね。私たちはテーブルに食事の用意をするから」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 07:56 | Comments [7]

●続和文解釈入門第272回

前にトロエポーリスキーТроепольскийについて書いたが、Белый Бим Чёрное ухо(片耳黒の白犬ビーム)は犬を主人公にした小説でも傑作であろう。1971年書き上げられた本だが、ソ連時代の様子を検閲に触れないよう、賄賂なども含めてそれとなく描いている。トロエポーリスキーは『ロシアのオリエンタリズム』(カルパナ・サーヘニー、袴田茂樹監修、松井秀和訳、柏書房、2000年)によれば、オリエンタリスト(東洋蔑視主義者)である作家のアスターフィエフАстафьевが、グルジア人に対し誹謗的な作品『グルジアでのタイリクアナモグリ釣り』を発表した時に、グルジア人作家代表団が抗議して退場したが、ロシア作家同盟を代表してあやまったとある。東洋蔑視はプーシキンからソルジェニーツィンまで脈々と流れているとサーへ二ーは述べており、この本も一読の価値がある。話がそれたが、犬を主人公にしたものにはウラヂーモフВладимовの『忠犬ルスラン』Верный Русланがあるが、これは収容所勤務の警察犬の末路を描いたもので、これも捨てがたい。

出題)「通りで人に文句を言われるのには我慢できない」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 11:46 | Comments [5]

2013年11月12日

●続和文解釈入門第273回

フォーサイス先生やボンダルコ先生は体のペア(二項対立)ではなく、体のトロイカ(トリオ)тройка (trio)<三項対立>という考え方をされている。体のトロイカ(トリオ)というのは、不完了体である本源動詞(単純動詞であるため語義が多く、口語的)、その完了体、その完了体から派生した不完了体(語義が狭く、書き言葉的で、基本的に反復の用法である)の組み合わせであり、бить - разбить - разбиватьなどが典型である。

出題)「彼はタバコを1日10本に抑えると約束した」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 06:52 | Comments [5]

2013年11月13日

●続和文解釈入門第274回

自分が最初にロシア語を大学で習った頃の学習法を考えると、あのときに、動作の否定や体の使い分けをちゃんと勉強できていたら、語彙を別にすれば、今のレベルには勉強を始めて10年以内に到達できたと思うととても残念である。しかし、そのころはそのような参考書はなかったし、そのような参考書全部がそろうのは90年代初めだったということを考えても、知る機会がなかったのは非常に悔しい思いがする。ラスードヴァ先生やその解説書である磯谷孝先生の参考書の本だけを頼りに体の勉強し、後は自分で例文を集めていたぐらいで、丸暗記したその例文を今見てみると、長いことどうしてこのような体を使うのだろうと思っていた疑問(だから丸暗記したのだが)が全て氷解した今思うのは、Лучше поздно, чем ничего.(遅くともないよりはまし)ということである。

出題)「電話を待っているのです。オムスクから電話があるはずなのです」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 08:06 | Comments [5]

2013年11月14日

●続和文解釈入門第275回

убеждатьは主語が現在の時制の一人称のとき、補語が二人称では使えないが、継続を意味するときは使える。そのためубеждатьは遂行動詞ではないことが分かる。

×Я убеждаю тебя лечь в больницу.
(入院するよう彼を説得している)Я убеждаю его лечь в больницу.
(丸1時間真剣に治療する必要性をあなたに訴えているが、説得できない)Я целый час убеждаю вас в необходимости серьёзно полечиться и никак не могу убедить. <過去から現在に至る継続兼反復>

出題)「ここから5キロのところで今日結婚式がある」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 07:39 | Comments [4]

2013年11月15日

●続和文解釈入門第276回

完了体の本質は動作や出来事の全一性を示すということであり、不完了体は動作の名指し(動作の有無の確認)であり、無標性немаркированностьであるということは、ヤコプソーン先生、フォーサイス先生などが多くの体の研究者が説くところである。これは特徴がないことが特徴であるとか、目立たないことで目立つというのと同じである。露文解釈をする場合はこれでよいのだろうが、会話で和文露訳をする場合の、特徴がないことが特徴であるでは体の使い分けの目印がないことになり、どうすればよいのだろうか?完了体かどうか、つまり動作の全一性だけで、完了体か不完了体かどちらを使えばよいか分かるのだろうか?Садитесь.(おかけ下さい)やВы уже обедали?(もう昼ごはんはお済みですか?)は不完了体だが、動作の全一性を示していることに変わりはない。これを例外と片づけるには、このような用法の不完了体の使用例が非常に多いので無理であろう。そこで、ロシア語会話で体の使い分けをするときには、時間軸の不動の一点をイメージすれば完了体、そうでなければ不完了体ということを考えたわけである。

出題)「2軒先に彼の娘が住んでいる」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 06:30 | Comments [4]

2013年11月16日

●続和文解釈入門第277回

電話をして自分の名を名乗る時に、Говорит Сато. やВас беспокоит Сато.と不完了体の現在形が来る。Сато = яだから三人称の一人称への人称転用である。名乗るという動作は発話の終了と共に終わり、相手に伝わる、だから遂行動詞なのだが、その他にも、「もしもし」と電話をした後の、あるいはそれを想定したり、省略したりしての発話なので、代動詞ということで不完了体が来ているとも言える。

出題)「トラックが道をふさいで交通の邪魔をしていた」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 07:30 | Comments [3]

2013年11月17日

●続和文解釈入門第278回

英語の達人松本道弘さんの著書は若いころ何冊も読んだ。氏の求道的なところに魅かれたのかもしれない。松本さんにとって英語を学ぶ上での最高の境地とは夢想の境地であり、英語か日本語か意識しないで話せるような境地のことらしい。しかし、これは子供の頃からのバイリンガルは別にして、また挨拶程度の簡単な言い回しはともかく、大人になってから外国語を始めた人には不可能であろうし、頭を使わないで、ロボットのように反射神経を鍛えるような、そのような、いわゆる無の境地を求めて、何万もの例文をただひたすら暗記するのは時間の無駄のように思える。これは無に徹せよということかもしれないが、語学は生きている人間が相手のであることを忘れてはならない。そのような暗記で20年、30年後にはほぼロシア人と同じようになれるかもしれないが、終わりの見えない勉強法であり、99%まで精度を上げることは可能だろうが、100%ロシア人と同じように話せるのかと問われたら、返事ができないだろう。何をもって100%とするのか勉強している本人にも分からないからである。

 回答がすぐ出るかどうかは別にして、どんなものにも理由があるはずだというのが私の信念であり、体の用法も例外ではないと考えている。40年以上ロシア語を勉強して、体の使い分けに関してはようやくトンネルの先の明かりが見えかけてきたように思える。我々はコンピューターではないのだから、暗記の勉強法がいつまでも続くわけもなく、理詰めに勉強した方が、勉強に飽きないし、効果の上がるのも早いと思う。

出題)「レーニンは多くの点でロシアの預言者たちとは逆である」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 08:25 | Comments [4]

2013年11月18日

●続和文解釈入門第279回

ある程度の歳になれば自分の仕事関係とか、自分の好きなテーマの本ばかり読むようになる。現代は忙しい人が多いので、週刊誌や漫画しか読まないとか、ニュースはネットの見出しや短い概報だけという人も多かろう。客観的に自己啓発するにはこれではいけないと思い、人がやるようなこと、NHKの朝のニュースを見たり、入社した時からずっと読売新聞を読んでいる。商社に勤めていたので上司から日経を読めとしつこく言われたが、会社のみんなが読んでいるものを金太郎飴じゃあるまいし、読んでも意味はないと思ったことと、情報を広く取るという観点から見るとと、読売はソ連時代からロシア関係に詳しいようだったのと、全国紙を2紙読むのは時間の無駄だと思っているので、上司の言うことは無視した。日本の社会では金太郎飴のような(少なくとも建前は)でないと異分子扱いされるが、出世にも興味なかったし、変人だと自覚していたから気にしなかった。ロシア語がうまくなりたかっただけで、一つの会社に一生いようとも思っていなかったから、自分を磨く方が大事だと考えていたわけである。少なくともその方が私の上司になる人はともかく、自分のほうのストレスは少ない。長い人生ストレスは少ない方がいいというのが私の考えである。また日本やロシアだけではなく、欧米やアジアの事情も客観的に知るために30歳からタイム誌を読みだして、もう30年以上になる。世界の芸能関係など興味のない分野も含めて、広告以外は全て読むことにしている。幸せとは何かを特集したりして、たまに教えられることも多い。本も読売新聞(月に1回新刊書の紹介特集がある)やタイムの書評欄が参考になる。読むかどうかは別にして、書評家の勧めるものは基本的にいいものだろうと思っている。これは自分は変人ではあると自覚しているけれど、少しでもバランスがとれるように心がけているつもりだからである。

出題)「泣けば楽になるってよ」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 07:23 | Comments [4]

2013年11月19日

●続和文解釈入門第280回

いつもついていない人のことを、オレーシャという作家はホフマンの小説からЕсли он ронял хлеб с маслом, то бутерброд падал у него всегда намазанной стороной на землю.(バター付パンを落とせば、いつもバターを塗った方が地面に落ちた)と比喩した。ロシアではこれをオープンサンドの法則Закон бутербродаと言い、Бутерброд падает маслом вниз.(オープンサンドはバターを下にして落ちる)ことから冗談めかして、Ситуации, когда из двух возможностей выпадает худшая.(二つの可能性のうち悪い方が起こる可能性)を指す。日本で有名なのはThe bread never falls but on its butteredside."「食パンを落とすと必ずバターが付いているほうが下」はマーフィーの法則の中の「選択的重力の法則」のであり、これはイギリス北西部ランカシャー地方の諺であるともいう。これを実験で確かめたのがロバート・マシューズで1996年イグノーベル物理学賞を受賞した。「バター・トースト」を床に落とした場合、バター面が下になる可能性は50%ではなく62%であるとのことである。さらに2013年9月3日付のイギリスのデイリーメール誌によると、英国マンチェスター・メトロポリタン大学教授のクリス・スミス博士とそのチームは、100枚のトーストをテーブルから落下させる実験を行い、トーストがバター面を下に向けて着地する確率が81%であることを突きとめた。よく考えてみると、バターを塗ればその分重くなるのだから、重い方が下になるのは理屈通りといえないこともないが、それをそのままに放置せず、実験で実証したのは科学者らしい。

出題)「彼女の年でコーヒーに慣れ親しむのは好ましくない」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 07:29 | Comments [6]

2013年11月20日

●続和文解釈入門第281回

投稿するかどうかにかかわらず、出題に対し回答する場合は、1~2秒で答を出すようにして、そのあと拙著『新訂和文露訳入門』なども参考にして、じっくりあらゆる方向から時間をかけて検証するとよい。その検証によって和文露訳の力がつくし、翌日(ないしは後々)その回答がもし、私の回答と違っても、納得がいけば、勉強になるだろうし、納得がいかなければ、その理由を添えて再投稿いただけば必ずコメントする。こういう2段階で和文露訳をすることが実戦で使える実力を養うことになる。

出題)「汽船はここに1回おきに停泊する」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 08:17 | Comments [6]

2013年11月21日

●続和文解釈入門第282回

出題)「その機械はいろいろな作業をする」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 08:06 | Comments [4]

●電子書籍『三訂和文露訳入門』発売

『新訂和文露訳入門』上梓よりたった5ヶ月しか経っていないのに、このたび三訂版を出すことにした。価格は1,050円で、DLmarket (www.dlmarket.jp)というサイトで電子書籍として販売している。この三訂版を出す事になったのも、本書が類書と違い、サイト「ろしあんピロシキ」内の続和文解釈入門というコーナーにおける和文露訳の出題(およそ900)に対する投稿者の回答にヒントを得て、会話における和文露訳においての学習者の弱点や理解の難しい点の克服に焦点を当て、試行錯誤しながらリアルタイムで各回の本文に反映させ、それをさらに『新訂和文露訳入門』で補訂し、和文露訳の参考書としてさらに改良を続け、学習者の真に求める参考書を完成させるという趣旨からである。今回も投稿者から多くのヒントや、自分の見落としていた点、それによって気付かされた点があり、それらを三訂版にぜひとも反映させたいと考えたわけである。また何度も改訂を繰り返すのは、死ぬまでに1冊他の人には書けないような本を書き残したいということにある。もともと本書執筆の動機は、会話のための和文露訳について、総花的な参考書ではなく、学習者にとって特に理解が難しい問題に焦点を当てて説明することだが、今回はさらに説明を分かりやすくするために、例文を入れ替えたり、似たような例文を削ったり、新たに追加したりした。和文露訳で見過ごされることの多い動作の否定、志向や切迫感、不定法(должен, мочьなどの用法)、動作の無効、反復の命令などの説明をより充実させたのが特長である。本書は私の和文露訳研究の集大成とも言える。第10章の10-17, 10-18なども新たに付け加えたものである。
目 次
はじめに
<本書の特長と使い方>
<体の使い分けの簡単な目安13ヶ条>
第1章 体の本質と規範
第2章 過去の時制
2-1 過去の時制における不完了体の用法
2-1-1 過去の出来事や動作の有無の確認 → 不完了体動詞過去形
2-1-1-1 過去の時制における動作の有無の確認とは何か?
2-1-1-2 動作の有無の確認の用法の種類
2-1-2 述語に文の焦点が来ない場合 → 不完了体動詞過去形
2-1-2-1 述語に文の焦点が来ない場合とは何か?
2-1-2-2 動作の否定
2-1-3 動作の往復(ニ方向の動作)
2-1-4 過去の過程(進行形) → 不完了体動詞過去形
2-1-5 普遍性 → 不完体動詞過去形
2-1-6 反復 → 不完了体動詞過去形
2-1-7 継続 → 不完了体動詞過去形
2-1-8 歴史的現在 → 不完了体動詞現在形
2-1-8-1 歴史的現在とアオリスト的用法の関係
2-1-8-2 動作の順次性
2-1-8-3 歴史的現在と完了体動詞未来形
2-1-8-4 劇的現在
2-1-8-5 動詞を使わない歴史的現在
2-1-8-6 日本語の歴史的現在との違い
2-1-8-7 記録の現在
2-1-8-8 歴史的現在とアオリスト的用法の違い
2-1-8-9 歴史的現在が使えない動詞や場合
2-1-8-10 動作の無効
2-1-9 意志の欠如 → не стал(а,о, и) + 不完了体動詞
2-1-10 過去の予定 → 不完了体動詞過去形
2-1-11 過去の経験 → 不完了体動詞過去形
2-1-12 動作の同時性

2-2 過去の時制における完了体の用法
2-2-1 アオリスト的用法 → 完了体動詞過去形
2-2-1-1 アオリスト的用法とは何か?
2-2-1-2 アオリスト的用法と結果の存続の違い
2-2-1-3 創作者としての資格 → 完了体動詞過去形
2-2-1-4 順次的用法 → 完了体動詞過去形
2-2-1-5 動作の一括化 → 完了体動詞過去形
2-2-1-6 否定の強調
2-2-2 結果の達成への期待 → 完了体動詞過去形(疑問文・否定文)
2-2-3 いったん開始された行為の中断、中止 → 小詞было + 完了体動詞過去形
2-2-4 結果の評価 → 完了体動詞過去形
2-2-5 回想・過去の散発的反復動作(~したものだ) → 小詞бывало + 完了体動詞未来形(不完了体動詞過去形、不完了体動詞現在形〔歴史的現在〕)
2-2-6 疑問詞 + 主語 + 完了体動詞過去形
2-2-7 完了体が使える継続

第3章 現在の時制
3-1 現在の時制における不完了体の用法
3-1-1 過程 → 不完了体動詞現在形
3-1-1-1 過程の意味
3-1-1-2 過程を示すことができない動詞群
3-1-1-3 過程の意味における日本語との表記の違い
3-1-1-4 ся動詞による非情の受け身と過程の用法
3-1-1-5 その他の過程の用法
3-1-2 反復・習慣・普遍性 → 不完了体動詞現在形
3-1-2-1 反復・習慣と不完了体
3-1-2-2 過程を示せず、反復のみを示す動詞
3-1-3 過去から現在及び未来に至る継続ないしは反復
3-1-3-1 過去から現在に至る継続 and/or 反復 → 不完了体動詞現在形
3-1-3-2 過去から現在に至る動作の反復(動作の未遂行) → 不完了体動詞現在形
3-1-3-3 動詞を使わない用法
3-1-3-4 про-の接頭辞を持つ完了体動詞過去形
3-1-3-5 現在から未来への動作 → 完了体動詞過去形、不完了体動詞現在形
3-1-4 遂行動詞 → 不完了体動詞現在形
3-1-4-1 遂行動詞を分別する理由
3-1-4-2 過程や状態の動詞との違い
3-1-4-3 遂行動詞の種類
3-1-4-4 結果の存続の用法との違い
3-1-4-5 語義による区別の仕方
3-1-4-6 проситьとпопроситьの一人称での使い分け
3-1-4-7 動詞以外の遂行動詞的用法
3-1-5 結果存続兼評価型動詞 → 不完了体動詞現在形
3-1-5-1 結果存続兼評価型動詞とは何か
3-1-5-2 結果存続兼評価型動詞群
3-1-5-3 начинать の現在形の特殊用法
3-1-6 状態の動詞
3-1-6-1 状態の動詞
3-1-6-2 状態の動詞と結果の存続
3-1-7 経験(~したことがある)
3-1-7-1 経験の用法と不完了体動詞過去形
3-1-7-2 経験の否定
3-1-7-3 事実の有無の確認
3-1-7-4 現在を含む経験
3-1-8 動作の否定 → 不完了体動詞現在形の否定
3-1-9 多回体的用法 → 多回動詞の不完了体動詞現在形
3-1-10 真理の提示 → 不完了体動詞現在形
3-1-11 動作の様態 → 不完了体動詞現在形

3-2 現在の時制における完了体の用法
3-2-1 結果の存続(現存)
3-2-1-1 結果の存続〔結果の達成と残存〕 → 完了体動詞過去形
3-2-1-2 結果の存続の否定
3-2-1-3 被動形動詞過去短語尾の結果の存続〔現存〕)の用法 → 現在の時制
3-2-1-4 結果の存続とアオリスト的用法の違い
3-2-1-5 сейчас, теперь, только чтоの違い
3-2-1-6 動詞を使わない用法
3-2-2 否定の強調 → 完了体動詞未来形の否定
3-2-3 不可能 → 完了体動詞未来形の否定
3-2-4 散発的反復

第4章 未来の時制
4-1 未来の時制における不完了体の用法
4-1-1 単一動作 → 不完了体動詞未来形
4-1-1-1 未来における動作の有無の確認
4-1-1-2 述語に文の焦点(中心的意味や役割)が来ない場合
4-1-1-3 動作の有無の確認に使える不完了体動詞(動詞の語義による)
4-1-1-4 動作の有無の確認の意味で概ね使えない不完了体動詞
4-1-1-5 運動の動詞と不完了体動詞未来形
4-1-1-6 否定的意図 → не + бытьの未来形(не + статьの未来形) + 不完了体動詞不定形
4-1-1-7 両方の体がほぼ同じ意味で使える場合
4-1-1-8 動作の促し(意志)
4-1-1-9 если, когдаと未来の時制
4-1-1-10 完了体動詞未来形、不完了体動詞現在形、不完了体動詞未来形の使い分け
4-1-2 予定の用法 → 不完了体動詞現在形
4-1-2-1 予定の用法の特性
4-1-2-2 予定の用法が使える動詞
4-1-2-3 近接未来における予定の用法
4-1-2-4 例外的用法
4-1-2-5 動詞を示さない予定の用法
4-1-2-6 予想を示す動詞(無人称動詞)
4-1-3 意向 → 不完了体動詞現在形 + 動詞の不定形
4-1-3-1 「~するつもりです、~します」の内訳
4-1-3-2 意向の動詞の使い分け
4-1-3-3 願望の意味の動詞群
4-1-4 未来の反復 → 不完了体動詞未来形
4-1-5 呼応的用法 → 不完了体動詞現在形
4-1-6 未来の時制の不定人称文

4-2 未来の時制における完了体の用法
4-2-1 完遂的用法 → 完了体動詞未来形
4-2-1-1 完遂的用法が用いられる動詞
4-2-1-2 完遂的用法と疑問詞
4-2-1-3 完遂的用法の特徴
4-2-2 順次的用法 → 完了体動詞未来形
4-2-3 例示的用法 → 完了体動詞未来形
4-2-4 未来の時制における往復(行って来る)
4-2-5 未来の時制における被動形動詞過去短語尾
4-2-5-1 未来の時制における被動形動詞過去短語尾の用法
4-2-5-2 ся動詞の不完了体動詞未来形の用法
4-2-5-3 補足事項の説明や挿入
4-2-6 接続詞抜きでの条件法や仮定法への転用 → 完了体動詞未来形
4-2-7 譲歩

第5章 命令法
5-1 命令法における不完了体の用法
5-1-1 促し(着手、切迫感、焦燥感) → 不完了体動詞命令形
5-1-2 勧誘 → 不完了体動詞命令形
5-1-3 動作の様態 → 不完了体動詞命令形
5-1-4 禁止 → 否定詞 + 不完了体動詞命令形
5-1-5 反語的用法
5-1-6 反復
5-1-7 感情的ニュアンス(願い事、説得、主張、反抗的態度、脅し)
5-1-8 過程

5-2 命令法における完了体の用法
5-2-1 要請 → 完了体動詞命令形
5-2-2 例示的意味 → 完了体動詞命令形
5-2-3 丁寧な依頼 → 完了体動詞未来形の否定疑問形
5-2-4 警告・危惧(うっかり~しないで) → 否定詞 + 完了体動詞命令形
5-2-5 同じような状況で使える完了体・不完了体の用法の違い
5-2-6 被動形動詞過去短語尾を使って命令の意味を示す用法
5-2-7 憤激と反抗のニュアンス
5-2-8 条件法的・仮定法的用法
5-2-9 間接話法
5-2-10 完了体動詞未来形による命令法

第6章 不定法
6-1 不定法における不完了体の用法
6-1-1 切迫感(促し) → 不完了体動詞不定形
6-1-2 不必要 → 不完了体動詞不定形
6-1-3 動作の持続性 → 不完了体動詞不定形
6-1-3-1 пробовать, пытаться, стремиться, стараться
6-1-4 動作の開始(促し)・継続・終了
6-1-5 禁止および不許可 → 不完了体動詞不定形
6-1-6 動作の有無の確認 → 不完了体動詞不定形
6-1-7 命令 → 不完了体動詞不定形
6-1-8 嫌気(やめたい)・不適切
6-1-9 愛好
6-1-10 反復

6-2 不定法における完了体の用法
6-2-1 目的(具体的な1回の動作の実現) → 完了体動詞不定形
6-2-1-1 долженの用法
6-2-2 「~しましょうか?」構文 → 完了体動詞不定形
6-2-3 必要性 → 完了体動詞不定形
6-2-4 命令 → 完了体動詞不定形
6-2-5 不可能
6-2-5-1 → не + 完了体動詞不定形
6-2-5-2 не мочь/не смочь, нельзяの用法
6-2-6 例示的用法 → 完了体動詞不定形
6-2-6-1 完了体動詞不定形を好む動詞・名詞などとの組み合わせ
6-2-6-2 例示的意味の不定形を取る熟語
6-2-6-3 遺憾・不本意 → не + хотеть + 完了体動詞不定形
6-2-7 不可避・必然
6-2-8 疑問詞 + 完了体動詞不定形(不完了体動詞不定形)

第7章 特異な体のペア
7-1 時制に関係なく完了体動詞と不完了体動詞で意味の異なる動詞群(писать/написатьグループ)
7-1-1 志向
7-2 不完了体動詞の使用頻度が高い動詞群(звонить/позвонитьグループ)
7-3 状態「~である」(不完了体)と状態の発生時点「~となる」(完了体)を示す動詞群(казаться/показатьсяのグループ)
7-4 体の対立
7-5 完了体・不完了体が同形の動詞
7-6 –ну-動詞

第8章 会話に役立つ動詞の用法
8-1 быть動詞の用法
8-1-1 「行く」という意味の用法
8-1-2 軍隊で上官に対する敬語(Есть + 不定形)
8-1-3 есть + 疑問詞 + 完了体動詞不定形(~できるもの〔こと〕がある)
8-1-4 будетの特殊用法
8-1-5 бытьの不定形文
8-2 定動詞と不定動詞の特殊用法
8-2-1 反復の意味の定動詞
8-2-2 過程や予定を示す不定動詞
8-2-3 能力を示す不定動詞
8-2-4 定動詞と不定動詞における否定の用法の違い
8-2-5 運動の動詞 + 完了体動詞未来形(命令形)
8-3 複合動詞
8-4 「意見」と「知識」に関する動詞群の使い分け
8-5 接頭辞за-のつく動詞で場所を補語に取る他動詞群
8-6 хотетьとхотеться
8-7 敬語
8-8 エネルギッシュ型動詞
8-9 可能の意味が内在する動詞群
8-9-1 可能・不可能の意味のся動詞
8-9-2 自発的可能性のся動詞(無人称動詞)
8-10 形動詞
8-10-1 被動形動詞現在
8-10-2 能動形動詞過去
8-10-3 名詞化した能動形動詞現在と被動形動詞現在
8-11 副動詞
8-12 対格補語とо + 前置詞の違い
8-13 「~しましょう」構文

第9章 その他統語論関係
9-1 時制の転用
9-1-1 「行こう」
9-1-2 抽象的現在
9-1-3 想像中の動作の現在
9-2 相対時制
9-2-1 時制の一致
9-2-2 相対時制
9-3 無人称文
9-4 不定人称文
9-5 迷惑(被害)の受け身
9-6 人称の転用
9-6-1 多くの人への命令 ты = вы
9-6-2 皇帝のмы
9-6-3 著者のмы
9-6-4 医者のмы
9-7 強調構文
9-8 構文「とても~ので~する」他
9-8-1 「とても~ので~である」というтак + 形容詞, чтоの構文
9-8-2 「~するほど~するものない」не так + 副詞, какという構文
9-8-3 「~しすぎて~ない」слишком (чересчур) + 形容詞(動詞、副詞), чтобы + быть、ないしは不完了体動詞不定形という構文
9-9 関係代名詞что
9-9-1 関係代名詞что
9-9-2 前の文全体を受ける関係代名詞что
9-10 主題の提示
9-10-1 テーマとレーマ、はが構文
9-10-2 ウナギ文
9-11 能動受動態
9-12 使役(~〔さ〕せる)
9-12-1 пустьの用法
9-12-2 可能性(許可)としての使役
9-12-3 「~を~にする」
9-12-4 恩恵の授受
9-12-5 使役受け身(~させられる)

第10章 会話に役立つ形容詞、副詞、数詞、接続詞、前置詞など
10-1 性質形容詞の特殊用法
10-2 複合副詞句
10-3 単数と複数
10-3-1 単数と複数
10-3-2 「ありますか?」構文
10-3-3 「よくありますか?」構文
10-3-4 単数と複数の使い分け
10-4 形容詞の最上級
10-5 助数詞(助数辞)
10-5-1 助数詞の種類
10-5-2 「種類」の類語
10-6 述語生格
10-6-1 生格の述語的用法
10-6-2 изの述語用法
10-7 持ち主の受け身(全体を示す与格)
10-8 接続詞что/какと知覚動詞
10-9 理由を示す前置詞、前置詞句
10-10 「~のために」の使い分け
10-11 並列接続におけるиの有無
10-12 指示代名詞
10-12-1 日本語の指示代名詞との違い
10-12-2 どれ、どちらか、どちらも
10-13 –тоと-нибудьの使い分け
10-14 чтобыの用法
10-15 時間的前後を示す表現
10-16 コロンとダッシュ(接続詞を使わない複文)
10-17 状況語の語順
10-18 動詞や名詞の補語としての先行詞тоの用法
あとがきに代えて
参考文献

Posted by SATOH at 09:12 | Comments [0]

2013年11月22日

●三訂和文露訳入門の特長

『三訂和文露訳入門』は初版に比べ200ページ増であり、新訂版に比べても70ページ増で総ページ数467となった。内容についても読んでより分かりやすくするためにかなり手を入れた、私の和文露訳研究の集大成である。その特長は次の通りである。

1) サイト「ろしあんピロシキ」内の続和文解釈入門というコーナーにおける和文露訳の出題に対する投稿者の回答にヒントを得、会話における和文露訳においての学習者の弱点や理解の難しい点の克服に焦点を当て、試行錯誤しながら各回の本文にリアルタイムで反映させ、それをさらに本書で補訂し、和文露訳の参考書としてさらに改良を続け、学習者の真に求める和文露訳の参考書を完成させるように努めた。
2) 和文露訳で最も難しいと思われる動詞の体の使い分けを中心に詳しく解説した。そのため本書の2/3が動詞の体に関するものである。
3) 体の時制で軽視されることが多い現在の時制(遂行動詞、被動形動詞過去短語尾の結果の存続)について詳述した。
4) ロシア語の遂行動詞、結果存続兼評価動詞について一般向け参考書としては初めて取り上げ、詳述した。
5) 予定、志向、動作の否定、歴史的現在、切迫感、動作の無効の用法について会話における和文露訳の観点から詳述した。
6) 単数と複数の使い分けについても詳述した。

Posted by SATOH at 08:26 | Comments [0]

●続和文解釈入門第283回

出題)「雨が降るといけないので彼女は傘をもってきた」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 08:33 | Comments [5]

2013年11月23日

●続和文解釈入門第284回

和文露訳をするのに最低必要な辞書や参考書を選ぶとしたら、私なら露和辞典(研究社又は岩波書店)、ロシア語文法(A comprehensive Russian grammer, Terence Wade, Wiley-Blackwell, 2011, 3rd edition)、拙著『三訂和文露訳入門』があればよいと思う。英語が不得意な人には文法書なら他に、現代ロシア語文法、城田俊、東洋書店、1993年やロシア語文法便覧、宇多文雄、東洋書店、2009年から選べばよい。和露辞典がないと言われるかもしれないが、既存の和露辞典は類義語の使い分けが書いていないし、内容的にも語数的にもプロが使えるようなものはないと思う。私のように自分で和露の語彙集(9万4千項目ある)を作るか、もっと簡便に、アルク社のサイトwww.alc.co.jpで、必要な日本語の単語を英訳して、それをヤンデックスなどの検索欄に入れ、最後にэтоなどの露語を入れておく。そうすると露訳されたサイトが表示される可能性が高い。その中から文脈を勘案して選べばよい。

 この他にあった方が便利と個人的に思う参考書は、構文に関しては拙著の『ビジネスロシア語実戦会話・応用編』(東洋書店、2007年)のⅠビジネス会話表現法や『実戦ロシア語文法』(東洋書店、2008年)を、慣用句は、『ロシア語慣用句辞典』(キム・ミネ、浅沼寛司編、東洋書店、2001年)を、諺はСловарь русских пословиц и поговорок, В. П. Жуков, Русский язык, 1991がベストだが、『諺で読み解くロシア人の人と社会』(栗原成朗、ユーラシアブックレット、東洋書店、2007年)が手に入りやすいだろう。会話集は『そのまま使える!ロシア語会話』(東洋書店、2009年)を、類義語に関しては『るいごプラス!』(DLmarket、2012年)を、熟語については、『ロシア語基本熟語500』(東洋書店、2009年)を、科学技術関係では『女性のための技術ロシア語』(電子書籍 DLmarket、2012年9月刊)を、観光案内では『観光ロシア語』(電子書籍 DLmarket、2012年9月刊)を、ビジネス関係なら『ビジネスロシア語』(東洋書店、2007年)、『ビジネスロシア語実戦会話応用編』(東洋書店、2007年)を勧める。

出題)「ガリーナ・イリイーニシナとはどういうご関係ですか?御親戚の方ですか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 06:09 | Comments [6]

2013年11月24日

●続和文解釈入門第285回

 日本語では単数と複数を特に区別はしないが、ロシア語の複数を露文和訳で強調しなければならない場合もあるだろう。その時は下記の例なども参考になろう。

(複数の事故現場で専門家たちが作業をしている)На местах катастроф работают специалисты.

出題)「被害女性の身元が割れた」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 06:32 | Comments [4]

2013年11月25日

●続和文解釈入門第286回

体を選択する上で、確率に頼ろうとするのは体の本質が分かっていない証拠である。フォーサイス先生でさえ、第224回に書いたように不完了体不定形の使用が多いと述べられているのは、体の使い分けでご自分が説明できないことを確率で処理しようとなさったからかもしれない。しかし、これも切迫感という不完了体の用法であり、体の本質が分かれば、ニュアンスも含めて特定の文脈に用いられる体は厳密に言えば一つしかないわけで、安易に確率に頼ろうとせず、体の本質を理解するようにした方が、結局のところ正しい和文露訳への早道である。しかし、現実の通訳では考える時間がないというのも事実であり、そういうときには確率を使わざるを得ない場面も生じるが、これとて『三訂和文露訳入門』の各用法をマスターすれば、その確率を高めることができる。

出題)「何かあったら、俺はいつでも連絡が取れるようになっているから」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 08:09 | Comments [4]

2013年11月26日

●続和文解釈入門第287回

「黙想する、熟考する」という意味でのдуматьには、性質を示す抽象名詞о красоте(美)、о мужестве(勇気)、о добре(善)、о зле(悪)や叙想・評価を示す抽象名詞о важности(重要性)、о необходимости(必要性)、о серьёзности(重大さ)や具象名詞о машине(車)など前置格に広範囲の具象名詞や抽象名詞が可能である。しかしながら、このような性質や評価を示す抽象名詞はЧто вы думаете о +(前置格)?という構文では共には使えない。この構文におけるдуматьは「意見をもっている」という意味である。この他に(この件についてどうお考えになりますか?)Что вы думаете по этому поводу?という表現もよく聞く。

出題)「お前のせいでみんなが苦しむことになるんだ」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 07:30 | Comments [4]

2013年11月27日

●続和文解釈入門第288回

выполнять, исполнять, осуществлятьは共通する意味として、「実現する」と「実行する」という意味があるが、ニュアンスの違いもあるので、説明しておく。「実行する」という意味でよく使われるのはосуществлятьであり、исполнятьは書き言葉であり、あまり使わない。

(君の願いをかなえた)Я осуществил (выполнил) твою просьбу. <要望、約束、命令を実行するという意味ではисполнятьは使えないが、夢や希望をかなえるなら3つの動詞とも使える>
(機械はいろいろな作業をする)Машина осуществляет (выполняет) различные операции. <機械が主語の時исполнятьは使えない>
(政府が各省を改組した)Правительство осуществило реорганизацию министерств. <выполнять, исполнятьは人が主語で動作を実行するという意味の述語の時には使えない>
「制御(コントロール)する」はосуществлять управление (контроль, руководство)という語結合になり、他の二つの動詞とは結びつかない。
「計画を実行する」は、выполнять (осуществлять) план (проект, программу)という語結合となり、「計算する、計測する」もвыполнять (осуществлять) расчёты, вычисления, измеренияとなる。
「実現する」という意味では、осуществлятьをよく使い、исполнятьやвыполнятьはそれほど使わないが、特にвыполнятьはあまり使われない。реализоватьはこの意味では書き言葉である。

出題)「その都市を殺人鬼が徘徊している」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 07:50 | Comments [4]

2013年11月28日

●続和文解釈入門第289回

経験の用法は動作の有無の確認の用法から派生したと『三訂和文露訳入門』3-1-7項に書いたが、人事考課(人物考課、人物評価характеристика)の決まり文句で分かりやすい例文があったので、それを紹介しよう。

(不名誉な〔彼の名誉を棄損するような〕係累なし)Связей, порочивший его, не имел.

 不完了体過去形を使っているのは、経験の用法であり、現在の時点でどうかというのが分からない、つまり知る限り過去においてそのようなことはなかったということだけを論理的に述べているからである。これを同じ意味で被動形動詞過去短語尾を使っても同義であり、被動形動詞過去短語尾でも経験の用法が可能であるが、もっというと動作の有無の確認にも使えることが分かる。同義で、В связях, порочащих его, замечен не был.としてもよいし、В порочащих связях не замечен.でも可だが、結果の存続の用法となり、今のところというニュアンスが出る。

出題)「どなたか御屋敷で私の正体を知っている人はいらっしゃいますか?」

Posted by SATOH at 08:11 | Comments [3]

2013年11月29日

●続和文解釈入門第290回

出題者が怠惰なせいで出題が短文になっているが、投稿者は自分で前後の文脈を組み立て、作り出し、解釈して、その場合はこの体を、そうでない場合にはこの体をという体の使い分けができていなければならない。与えられる設問に受け身で答えるのではなく、主体的に考えて対応しないと、いつまでたっても実戦で体が使えるようにはならない。

出題)「みなさん準備オーケーですか?みなさんチーズしてますか?(それでは)撮ってよろしいですか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 06:03 | Comments [3]

2013年11月30日

●続和文解釈入門第291回

『七カ国語をモノにした人の勉強法』(橋本洋介、祥伝社新書、2013年)を本屋で立ち読みしていたら、7カ国語にはロシア語も入っていることが分かった。どのくらいのレベルをモノにしたというのかは定かではないが、会話のみならず原書も読めるとある。著者はペテルブルグに短期留学し、後はロシア語を聞いて覚えたとあり、30歳ぐらいで、中国語の講師をなさっているというが、世の中にはすごい人もいるものだとほとほと感心した。ロシア語に関して言えば、自分の言いたいことをロシア語で伝えることができ、必要な情報をインターネットなどロシア語で知ることができるというレベルだとご自分で書いていいるから、ロシア語をマスターするという観点ではこれで良しとするレベルであろう。ただロシア語だけでいいのなら、このレベルならば勉強の方向さえ間違わず、真剣に適切な参考書を使って勉強すれば、日本にいても1~2年で到達できるレベルである。しかし、これはアマのレベルであって、プロのレベルではない。プロは自分ではなく、他人の言いたいことを通訳するというのが大きな違いであり、そのためには体の使い分けも含めて、アマになる勉強量の10倍ぐらいはしないと無理だ。この本はロシア語に関しては5ページくらいの分量だったので結局買わなかった。

出題)「彼氏募集中」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 08:04 | Comments [4]