2010年09月28日

●日本の心 第6回

(22) 「日本の仏教」(鈴木大拙全集第11巻)、鈴木大拙、岩波書店、1970年
浄土教、特に真宗を論じて日本の仏教とは何かということを説いた書。日本の仏教を知るための必読の書。大乗仏教や原始仏教を知りたい向きには「般若経」(梶山雄一、中公新書、1976年)を勧める。

(23) 「無心ということ」、鈴木大拙、角川ソフィア文庫、2007年
 1939年初出。禅浄一致の思想を展開させて無心について述べている。

(24) 「禅と日本文化」、柳田聖山、講談社学術文庫、1985年
鈴木大拙より分かりやすく禅について解説し、師の久松真一(1890~1980)の日本文化の特色が完全なものを抑えたつやけしの美しさ、未完成の完成にあるという説を紹介している。竜安寺の石庭の石の見える数や東照宮の日暮らしの門の模様などを考えるとなるほどと思われる。「心は本来落ち着いているのが自然である」として、「人本来だれもがみな仏である」というように、原罪を負うキリスト教的な考え方とは違うというようなことが分かりやすく説かれている。本来の正道に立ち返るのを助けるのが禅ということであり、座禅は本当の自分は何か問う非日常的な方法で本当の自己との対話であると説いている。代表的な禅の三派、曹洞宗、黄檗宗、白隠の臨済禅についても分かりやすく説明しているのはありがたい。

(25) *「日本宗教史」、末木文美士、岩波新書、2006年
日本の宗教とその歴史を分かりやすく説明したものだが、レベルは高い。同じく、「日本仏教史」、新潮文庫、2008年がある。他に神道や仏教関係の本で初級用としては、「日本の神々」、谷川健一、岩波新書、1999年、「別冊歴史読本記紀神話の秘密」、新人物往来社、1997年、「知っておきたい日本の仏教」、武光誠、角川ソフィア文庫、2008年、「知っておきたい日本の神様」、武光誠、角川ソフィア文庫、2008年、「神と仏の道を歩く」、神仏霊場会、集英社新書、2008年、「日本仏教派のすべて」、大法輪閣、1981年、などがある。「和のしきたり」、新谷尚紀、日本文芸社、2008年、「日本の神様がよくわかる本」、戸部民雄、PHP文庫、2004年

(26) 「日本文学の古典」(第二版)、西郷信綱、永積安明、広末保、岩波新書、1966年
記紀から、万葉集、源氏物語、平家物語、能と狂言、方丈記・徒然草、俳諧、歌舞伎まで日本の古典を扱っており、もののあはれ、幽玄などの理解に役立つと思う。幽玄が詩歌・管弦の道のみならずということが分かる。

(27) *「勘の研究」、黒田亮、講談社学術文庫、1980年
 武道における極意や無心無念を、禅や能の幽玄などを踏まえて、より理詰めに説明しようという試みは高く評価されるべきである。

(28) *「甘えの構造」、土居健郎、弘文堂、1971年
 義理人情、禅の悟り、遠慮、とらわれ、判官びいきなど甘えとの関連で説明されている。ロシア語にもあるが、単語一つで表現されているのは日本語だけであり、それが日本人の特徴であるということなのだろう。

Posted by SATOH at 2010年09月28日 12:11
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