2010年07月12日

●新帯研 第114回(最終回)

中級の段階では実戦でよく使われる一般的な表現を覚えることを優先するが、上級の段階ではいくつかの類義表現のニュアンスの差を理解するように努めるべきである。上級文法を学ぶというのはある程度まとまった個別化した要素を、つまり例外を覚えていく作業であるとも言える。例を挙げればв войне、в войнуの違いだが、в войнуとво время войны+ 生格は同義である。во время воторой моровой войны(第二次世界大戦のときに)、В войну переел немало разной коры.(戦争のときは少なからぬさまざまな木の皮をいやと言うほど食べた)など。в войнеには戦争の結果というニュアンスが出て来る。 В войне и до и после того случая гибли десятки тысяч детей.(戦争ではその事例の前にも後にも何万という子供が亡くなった)などがそうである。そうはいっても無論難解な文法についての論文などは星の数ほどあろうが、いずれにせよ上記の例のように露文解釈用がほとんどであり、実戦の和文露訳で使えるという意味で使える上級用の参考書はほとんどない。先人がしたように自分で問題意識をもって、露文解釈から和文露訳に変換して勉強を続けていくしかない。問題提起(問いの立て方)が正確であれば、いつか答は見つかる。努めて止まざるものはついに救われるのである。
今回で新帯研は最終回とする。ろしぴろにより帯研や新帯研という機会を与えられたことにより「アネクドートに学ぶロシア語文法」という参考書も出せた。これも含めてこれまで出した参考書は自分が勉強する上でこういう本があったらよかったのにという思いで作ったものである。学習者にとって少しでも参考になれば幸いである。ただただろしぴろの主宰者と帯研参加者のおかげである。こういう参考書を書いたおかげで、自分なりにロシア語文法の知識を整理できたし、その結果自分のロシア語もかなり向上したような気がする。新帯研は終わるが、ロシア語に関して質問があれば、「ロシア語質問箱」にお寄せいただければわかる範囲で回答する。参加者の皆様には重ねて深く感謝申し上げる。最後の課題は、
Однажды родился мальчик, у которого вместо пупка была гайка. Когда он вырос, то спросил у матери, почему у него гайка.
- Иди за тридевять земель в тридесятое царство. Там найдёшь дуб, а на дубе сундук. Ответ в сундуке, - говорит ему мать.
Юноша попрощался и пошёл. Долго он шёл, пришёл тридесятое царство, нашёл тот дуб, снял с дерева сундук и открыл его. В сундуке лежал гаечный ключ. Юноша примерил его к своей гайке. Ключ подошёл. Тогда он отвинтил гайку. И у него отвалилась жопа. Так выпьем же за то, чтобы не искать на свою жопу приключений!
設問)和訳せよ。

Posted by SATOH at 2010年07月12日 22:27
コメント

昔々、おへその代わりにネジのある子供が生まれた。
大きくなると、子供はどうしてネジがあるのか母親に尋ねた。
母親は息子に「地の果てに行きなさい。そこにはオークの木があり、
オークの木には箱がある。答えはその箱にある。」と教えた。
若者は別れを告げて旅立った。
長旅を経て地の果てまで辿り着き、そのオークの木を見つけた。
彼はオークの木から箱を取り外し、箱を開けた。
箱の中にはスパナがあった。
若者はスパナを自分のネジに当てると、ピッタリだった。
そこで、ネジを外してみると、彼のお尻が落っこちた。
とまあ、自分のお尻にハプニングをわざわざ探さないように
(知らぬが仏に)乾杯!。

最終回、残念です。楽しい課題有難うございました。
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гайкаはネジではなく、ナットです。それ以外は正解です。ロシア人の気質を皮肉っていいるのでしょう。こちらこそ最後までお付き合いいただき深く感謝します。私の訳は、
あるとき男の子が生まれました。この子にはおへその代わりにナットがついていました。大きくなったときに、男の子は母親にどうしてナットなのと尋ねました。
「はるか彼方の遠い国に行きなさい。そこには樫の木があって、その上に長持ちがあるの。答えはその中にあるわ」と母親は答えました。
若者は別れを請うて旅立ちました。長い旅を続けて、遠い彼方の国にたどり着きました。樫の木を見つけて、木の上から長持ちを下し、開けてみると、長持ちにはスパナが入っていました。若者は自分のナットに合うか計ってみました。ぴったりです。そこで若者はナットを外しにかかりました。そうすると彼からケツが取れてしまいました。自分のケツに冒険を求めないことに乾杯しましょう。
解説)искать приключения на свою жопу = безо всяких серьёзных оснований делать нечто опасное, с очевидностью влекующее неприятные последствия, рассматриваемые как наказание за содеянное(頼まれもしないのに危ない橋は渡らない)

Posted by Chijik Pijik at 2010年07月14日 06:15

最終回ご苦労様でした。毎日出勤すると先ず佐藤君のコーナーを拝見するのが楽しみでしたよ。またどこか佐藤君のロシア語や楽しい雑談が覗けるコーナーがありましたら教えてください。スドテクフロートのワレンチン・セルゲイビッチ・トロイツキー!!覚えてますか?
松江での楽しかった日々を思い出しています。
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覚えています。トロイツキー氏は私が2回目のモスクワ駐在だった時(2002年ごろ)にある大手メーカーの事務所に訪ねてきて、ロシアとのビジネスを打診したそうです。新帯研は小話のネタがないので(ないことはないのですが、大して面白そうなのはないので)やめましたが、そういうご要望があるのであれば何か別のコラムを始めてもいいかなとも思います。

Posted by F造船ツガンコフ at 2010年07月14日 10:20

今更といった感じになってしまいましたが、さとうさん、どうもお疲れ様でした。帯研&新帯研を通じていろいろと学ばせていただきました。ありがとうございました。

Posted by takahashi at 2010年07月22日 10:53
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