2009年08月02日

●新帯研 第65回

パンフレットの和文露訳を頼まれることがあるが、依頼主には、こう言う事にしている。文法的に正しく、その場面にできるだけ合ったロシア語表現をするように努力するが、翻訳家であって、コピーライターや作家ではないし、クレームにならないよう正確さを重視するので、一般のロシア人が読んでモタモタした感じのロシア語になることもありますと。日本語で本を書いたり、広告の文案を練るというのは、だれでも日本人ならできるというものでもあるまい。修行してプロになるのである。そこのところを依頼主はよく理解しておらず、ロシア人に見せて訳がどうのこうのと批判するのはやめてほしいものだ。文法がおかしいとか、スペルミスがあるとか、こういう場面では俗語過ぎるとか文語過ぎるとかという建設的批判はよいけれど。今回の課題は、
Встретились русский и американец, завели разговор о том, у кого и как скот убивают.
- У нас электричеством, - говорит американец.
- А у нас, наверное, взрывают, - говорит русский. – Потому как зайдёшь в магазин, а там все рога да копыта, рога да копыта!
設問) 和訳せよ。

Posted by SATOH at 2009年08月02日 13:04
コメント

暦の上では立秋とはいうものの、なんとも暑い日が続きますね。どうぞ、くれぐれもお体ご自愛ください。

(訳)ロシア人とアメリカ人が出会い、自分の国ではどう家畜を屠殺するかの話になりました。
「うちらは、電気だね」アメリカ人が言います。
「俺らのとこは、多分爆殺してるね」、とロシア人。「だって、店に行くとさ、角と蹄、角と蹄ばかりなんだぜ!」
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訳は訳として、オチが分かっていないようです。私の訳は、
ロシア人とアメリカ人が出会って、お互いの国でどうやって家畜を殺すのかという話になりました。
「我が国では電気でだよ」とアメリカ人が答えました。
「我が国じゃ、きっと爆殺だな」とロシア人は言いました。「店に入ると、そこには角とひずめだからな」
解説)角とひずめрога да копытаというのはИльф и Петровの小説Золотой телёнокの第15章の題名から取られたкорылатые слова(名言、故事成句)で、ловко организованные мошеннические придприятия(巧妙に仕組まれた詐欺行為)を指す。イーリフとペトローフの小説や映画からかなりの口語的表現が取られているので「12のイス」と「黄金の子牛」は読んでおいたほうがよいが、ただ使われている口語、隠語が20年代のもので、よい口語辞典や隠語辞典がないと中級者でも読むのに苦労するかもしれない。

Posted by hatomame at 2009年08月07日 10:47
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