2008年03月16日

●新帯研 第13回

20年ほど前モスクワに駐在していたときの事、オフィスにロシア人の若いビジネスマンがやってきた。書類を持ってきてくれたらしく、会社のロシア人秘書が対応した。どうもその若い男の態度が生意気だったらしく、別の女子社員にコソコソ話している。別に立ち聞きしていたわけではないが、最後のところだけ聞こえた。それはОн ещё мальчик!というものだった。Мальчикというのは5歳から12歳頃までの少年だとばっかり思いこんでいたので少々びっくりした。強いて訳せば、「まだボウヤじゃないの」とか、「まだガキのくせいして」となろうか。ちなみにこのお姉さん方は年の頃は30前後だったと思う。
Идет по тротуару девушка, красивая – ужас, ноги от зубов, талия – оса, юбка – мини, балкон, как у Софи Лорен в молодости.
設問1)訳せ。
設問2)идётをходитに代える事は可能か?

Posted by SATOH at 2008年03月16日 23:47
コメント

モスクワのホテルでトイレに行こうとしたら、「Девушка, девушка」と背後から呼び止められました。大学生だった当時、髪の毛を若干長めにしていたので、勘違いした掃除のおばさんが注意してくれたようでした。後ろを向いて低い声で「アー」と声を出したら、おばさん、参ったなという顔していました。

それでは回答です。

<和訳>
歩道を女の子が歩いている。恐ろしいほどきれいだ。足は長いし、ウエストはくっきりくびれているし、スカートはミニで、ぴんと張ったお尻は若い頃のソフィアローレンみたいだ。

идётをходитに代えることは可能だと思います。定動詞と不定動詞の違いに関しては、城田先生の「現代ロシア語文法」にはПтицы летят на юг.は「鳥の群れが南へまっすぐ飛んでいく」ことを意味し、Птицы летают под деревом.は「鳥が木の下で飛び回っている」ことを表すとありました。

идётはどこかの目的地に向かってまっすぐ歩いていることを示し、ходитは歩道を行ったり来たりしているような、ぶらぶらしている感じになると思います。歩道を行ったり来たりというのもどこか怪しいですが・・・
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確かに不定動詞にも進行形の用法はあり、例えば、Дети бегают по двору.などです。ходитьにも理論的にこの考え方が応用できますが、狭い部屋を3歩前進してUターンを繰り返している娘を上から見てその姿を描写するというのは可能ですが、あまりに理詰めすぎます。普通は行ったり来たりしているにせよ、ある程度長い距離一定の方向に歩いているときに進行形でその姿を描写していると考えるのが普通でしょう。ですからこの場合歩いている娘の具体的描写ですから、ходитにはできないと考えるのが普通です。定動詞と不定動詞の違いについての基本的理解はその通りです。ただ中級ですからもう少し詳しく、たとえば不定動詞の能力的可能性など勉強されたらと思います。訳はきれいに仕上がっていますが、使われているロシア語は口語および俗語ですから、それを反映した日本語にすべきだと思いますし、балконの訳の感じが出ていないと思います。私の訳と解説は、
歩道を娘が歩いています。美人なんてものじゃない。足はすらりと長く、ウエストは蜂のように見事にくびれ、スカートはミニで、ソフィアローレンの若いときのようなでかい尻。
解説)ноги от ушей (из подмышек)(растут)というのが普通。小話ではさらに誇張している。

Posted by takahashi at 2008年03月18日 19:49

ходитは進行形として取るにはちょっと難があるようですね。繰り返し行われる習性的な動作の方がなじむ感じになりますか?そうなると、例えば「きれいな娘」が繰り返し歩道に出没して男の気を引こうとしているという状況でходитを使うことはできないでしょうか。歩道にпроституткаのような女性がいるかどうか定かではありませんが・・・。

そんな場合に仮にходитが使えれば不貞動詞となりますね(←これが言いたかっただけです、すいません(~~))

不定動詞の能力的可能性というのは習性からの発展でしょうか。定動詞と不定動詞の用法は手持ちの文法書にはあまり出ていませんが、詳しく載っているのもあるのですか?
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たとえばРебёнок ходит.(その赤ん坊は歩ける)とかОн плавает. = Он умеет плавать.などです。こういう運動の動詞関係で一番詳しいのは、Verbs of motion in Russian, L. Muravyova, 1975, Русский языкでしょう。ナウカでまだ売っているかもしれませんし、大学の図書館にあれば、コピーを取ることを勧めます。説明は高橋さんの得意な英語ですから問題ないはずです。

Posted by takahashi at 2008年03月19日 11:59

不定動詞は、基本的には①様々な方向への運動②往復運動、と理解していましたが、能力的可能性もついてくるのですね。それ以外にも何かあるのでしょうか?
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過去形で経験(行ったことがある)、過程(進行形)、否定の命令形という用法があります。

Posted by メイ at 2008年03月20日 14:20

協邦通商にいた佐藤君ですね?
福島造船時代にお世話になった藤原です。
覚えてますか? 7年前に会社を辞めて田舎で不登校の子供達の面倒をみたりしています。昨年お爺ちゃんになりました。
-------------------------------------------------ご無沙汰しております。詳しくは別メールします。

Posted by 藤原  隆 at 2008年03月31日 14:36

福島造船の藤原さんですか!

協邦通商の新入社員のとき松江にお邪魔しました。掘削船「トリアス」の建造中だったと思います。
私の場合は佐藤さんと違って、ロシア語がまるでダメなロシア語科卒の社員でした(相変わらずダメです)のでご記憶にはないと思いますが、昼休みに卓球のラケットのようなものでミニテニスをしたことを覚えています。
当時が懐かしいですね。

Posted by takahashi at 2008年04月01日 12:12
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