2007年06月24日

●帯研(第96回)

若い頃は自分のロシア語の力のピークは45歳ごろだと漠然と考えていた。それを10歳も過ぎた今、10年前よりも、そして1年前よりもロシア語の実力ははるかに上回っていると実感している。語学の実力は勉強を続ける期間とその内容の充実さに比例する。ただ先輩(無論50歳を過ぎた人)で実力に安住している人(勉強しない人)には、ロシア語の実力が前より伸びているなと思う人はほとんどいない。これは体力的なものも大きいと思う。語学をする人は文系だからか、運動が苦手な人が多い。体力が弱まれば気力も落ちる。何もスポーツの大会に出場するような体力が要求されているのではない。夜すぐ眠れて、すっきり朝目が覚め、どこといって身体に痛いところがなければ(肩こり、腰痛がない)それでよしということだ。こういう健康管理も若いときからストレッチングなど毎日する癖をつけないと無理である。健康管理ができて、勉強を続けてゆけば、70歳か80歳にはロシア語のレベルがそれなりのものになるのではと思うというよりは期待している。勉強にこれで終わりと言うことはない。この5年間は詩を中心に勉強しようと思う。身体のどこかに具合が悪ければ勉強を続ける体力もないだろうし、血の巡りも悪いということは、脳も身体の一部だから脳の血のめぐりも悪くなるということである。知らず知らずに勉強を止めれば後は下り坂が待っているのみである。どのくらい下がっているのか本人の気がつかないだけである。いくらロシア語の権威と言われている先生方でも2、3分ぐらいロシア語で会話をすればその人の実力が分かるというものだ。しかもただ漫然といくら勉強をしても本当の上達にはつながらない。ロシア人との会話の実戦のときに、どのように、どのような表現法を用いるかということを常に研究しておかなければ上達はない。
На иностранца подали в суд на удержание с него алиментов. Он по-русски знает только падежи. В суде держит ответную речь.
- Я - предложный, она – дательный, я – творительный, она – родительный, в чём же я винительный?
設問1)オチが分かるように訳せ。
設問2) алиментыについて分かりやすく説明せよ。

Posted by SATOH at 2007年06月24日 12:26
コメント

だんだんと難しくなってきました。オチもピンとくるものがなくなりうんうん唸っています。

問1
外国人男性が養育費の支払いが遅延したことを理由に訴えられた。彼がロシア語で知っているのは格に関する表現だけ。裁判で彼は次のように抗弁した。
「私のプロポーズを前にして、彼女が許可を与えました。私はせっせと子造りに励み、彼女が子を生みました。何故、私に対して責任を問うのですか?」

外国人男性はfifty-fiftyではないか、と主張しているようですね。
предложный→предложить、 дательный→дать、 творительный→творить、родительный →родить、 винительный →винитьと格を示す表現をそれぞれに対応する動詞の意味で使っているのだと考えました。ただ、オチがもやもやしてます。

問2 いわゆる養育費のことです。前提となるのは家族関係があることで、法律に規定された者の間、例えば、親子、夫婦(以前夫婦だったものを含む)、兄弟姉妹、祖父母と孫などの間でのみ、養育の義務があるとЮридические энцклопедияに出ていました(ざっと読んだだけですが)。また、実質的に家族の関係がある場合にもその義務が生じるようです。法律上は支払い義務があるものがその履行を果たさない場合には裁判所に訴えて支払いを強制できるとありました。法律的にはどこの国のものとも大差はないようですね。

実際は、ほとんどのロシアの男性は養育費に関しては知らんぷりしていると読んだことがあります。
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オチは正しく理解されているようですが、訳が確かにイマイチです。養育費についてはもっと具体的に説明すべきです。父親は給与の1/3を元の妻に渡す必要がありますが、その義務を履行しない父親も多いようです。具体的にいくらかというのは時代によって変わってきていますが、そのようなものだと思います。私の訳は、
ある外国人が養育料差し押さえの裁判にかけられました。彼はロシア語で知っているのは格だけです。裁判所で答弁をしました。
「私がやろうと前置き(格)、彼女は与(格)、私は造(格)、彼女は生(格)、タイガイ(対格)にして?」

Posted by takahashi at 2007年06月28日 11:26

「ただ漫然と勉強をしても本当の上達にはつながらない」は耳が痛いです。
引き続き開き直って進みます。

設問1)
ある外国人が養育費の差し押さえの件で訴えられた。その男の知っているロシア語といえば格の名前だけ。裁判所での答弁より。
「私はプロポーズをして前置格、彼女は自らを与えたので与格、私は創造主として造格、彼女は(子供を)生んだので生格、どうして私(だけ)が責任の対象となる対格なのでしょうか?」

設問2) 
алиментыは直訳すれば養育費のことだと思いますが、ロシアの法律ではかなり取り立てが厳しいようです。
1995年12月29日付ロシア家族法N223-Ф3の109条によると、
「養育費支払いに関する公正証書の合意にもとづき、もしくは執行令状にもとづき養育費支払い義務を有するлицо(個人?)の職場組織の当事責任者は養育費支払い義務を有する同個人の賃金および(もしくは)その他所得から毎月養育費を差し押さえ、かつ、養育費支払い義務を有する同個人への賃金および(もしくは)その他所得の支払い日から3日以内に、養育費受取人に対し養育費を支払うか、もしくは養育費支払い義務を有する同個人の負担により養育費を送金する義務を負う」
また110条では、
「養育費支払いに関する公正証書の合意にもとづく養育費の差し押さえは、同書の合意および執行書類にもとづく差し押さえ総額が、養育費支払い義務を有する同個人の賃金および(もしくは)その他所得の50%を上回る場合においても行われるものとする」

となっていて、わかりやすく言えば、養育費支払い義務者の職場が、給料日から3日以内に養育費受取人に養育費を給料から天引きして支払う義務を負うということで、しかも決定額が給料の50%以上となった場合にも支払わなければならないということになっているようです。養育費の総額はいろいろな条件によって決められるのでしょうが、これだけ厳しく法律で決められているということはつまりは離婚するな、ということでしょうか(笑)。

日本では法律で養育費が定められていないため、協議離婚のうち養育費の取り決め率は1998年で35.1%と低く、その後も履行されている母子世帯は20.8%、受けたことのある世帯は16.4%で、残りの60.1%は一度も養育費の支払いを受けていないと書かれています(2004年3月に日弁連が出した「養育費支払い確保のための意見書」)ので、あまりうまくいっていないようです。ただ近年の法改正で、一度でも滞納すれば将来分を含めて差し押さえられることになったようです(支払日が到来していない将来分の扶養料《養育費等》も含め、一括して、債務者の収入の差押えをすることができる制度が導入された《民事執行法151条の2》)。
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オチの理解も訳も私のよりよいです。養育費についてもよく調べているようで感心します。

Posted by メイ at 2007年06月28日 20:40
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