2007年01月21日

●帯研(第43回)

言葉の意味やニュアンスというのは、会話では文脈(置かれている状況)や会話のイントネーションで分かる場合が多い。語法というのは、文脈やイントネーションが分からない場合(翻訳の場合ではイントネーションがほぼ分からないと言ってもよい)に、意味やニュアンスを理解する一つの手段であり、語法に頼りすぎるのは本末転倒である。そのため中級者におってロシア人との会話(単なる会話ではなく、いろいろな人とのいろいろなテーマの会話)を多くすることが意味を理解する上で重要である。
- Какая самая красивая часть речи в русском языке?
- Предлог. Ибо всё у нас делается под благовидным предлогом.
設問1) 和訳せよ。

Posted by SATOH at 2007年01月21日 18:43
コメント

今回の問題はчасть речиの意味の取り方で2通りの解釈が可能な気がします。まさに文脈に関する問題だと思いました。
「品詞」ととった場合と「言葉の使い方の一部」ととった場合とで答えの露文の意味が変わるのではないかと考えました。以下、二通りの和訳を回答します。
(1)
「ロシア語で一番大切な品詞はどれですか」
「前置詞ですね。ちゃんとした前置詞をもちいないとロシア語はきちんと伝わりませんから」
(2)
「ロシア語の言葉の使い方でもっともすばらしい点はなんですか」
「言い訳ですね。ロシア語ではすべてがもっともらしい言い訳でなりたっていますから」

часть речиは「品詞」という意味で辞書にありましたし、благовидный предлогは「もっともらしい言い訳」と辞書にのっていましたが、そのまま解釈すると「品詞」=「言い訳・口実」の関係が成立してしまい、おかしな内容になってしまいます。会話の状況として、語学的な品詞論を展開しているのか、一般論としてロシア語に関して会話をしているのか、文脈情報がないと今回の出題はどちらでも意味が取れそうな気がしました。ただ、(2)の解釈の方が返答者のロシア語に関しての自嘲的な物言いがあって面白いかなと思いました。
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小話ですから(1)ということはあり得ません。предлогに前置詞と「言い訳、口実」をかけただけのことです。私の訳は、
訳)「ロシア語でもっとも美しい品詞は何か?」
「前置詞である。なぜならわが国ではすべていい訳(善知識)でことが行われるからである」
解説)直訳すると、
「ロシア語でもっとも美しい品詞は何か?」
「前置詞である。なぜならわが国ではすべてもっともらしい口実でことが行われるからである」

Posted by takahashi at 2007年01月24日 11:07

なるほどです。かけるときちんと小話になりますね。
こんな訳でもいいですか。
「ロシア語で最も美しい品詞は何ですか?」
「前置詞です。というのはロシアでは皆がもっともらしい前置きをしてふるまっていますからね」
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私の訳よりよいと思います。訳が自然です。第44回の課題も高橋さん好みでしょう。良訳を期待しております。

Posted by takahashi at 2007年01月24日 14:32
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