2006年12月17日

●帯研(第27回)

日本だけでロシア語を勉強している人に対して、畳の上の水練だとか袋竹刀の剣法という人もいるが、そういう人は形(基本)を学ぶ重要性を理解していないと思う。語学が上達するには文法を理解し、語彙を増やすしか道はない。それは日本にいてもできるはず。そういう基本の出来ている人は実戦で何度か(何十回か)恥をかけばものになる。そういうことを考えずにいきなりロシアに留学しても、水に突き落とされて、そのままドボンと沈むか、運がよくて話せるようになっても、せいぜい犬掻きか横泳ぎ程度というようなことになりかねない。さて、今回の課題は、ロシア人にはこの小話のオチはすぐ分かるが、日本でロシア語を勉強した人には難しいかもしれない。ある意味で私の言うB級文化(大衆文化)を理解することの大切さを示す例でもある。
Ползут две черепахи по Северному полюсу, одна из них спрашивает:
- Давай над Снежной Королевой подшутим.
- Да ну тебя, Петька, и так над стариком Хоттабычем пошутили, - отвечает вторая.
設問1)オチが分かるように和訳せよ。(オチだけ別に解説してもよい)

Posted by SATOH at 2006年12月17日 14:19
コメント

2匹の亀が北極を這っていきます。そのうちの1匹が話しかけます。
「ちょっと“雪の女王”をからかってやろうぜ」
「やめろよ、ペーチカ、ホッターブィッチじいさんをちょっとからかってこうなったばかりじゃないか」
ともう1匹が答えました。

これは全くわかりませんでしたのでとうとう奥の手を使ってしまいました(爆)。背景にある大衆文化がわからないとこうなるのですね。いい勉強になりました。
まずはホッターブィッチじいさんがアラジンに出てくるような魔法使いであること、この2匹の亀が赤軍の陸軍大佐Ивань Васильлевич Чапаев と右腕の Петяでソビエト時代の英雄であること、ついでに雪の女王も魔法を使えること等々がわからなければ絶対に訳せないです。ホッターブィッチじいさんをからかって亀にされた二人(のうちのペーチャ)が性懲りもなく「雪の女王」をからかおうかとイワン・ワシーリエヴィッチに誘いかけている設定ですね。
ふぅ~ 疲れました~。

最近街でばったり友人家族に会いました。そのときの会話です。
「どこへ行ってたの?」
「山田洋次の“武士の一分”よ。キムタクファンだから」
「へぇ~私も“寅さん”大好きで帝釈天まで行ったことあるよ。今我が家は“華麗(加齢)なる一族”だから家族では行かないけどね」

たったこれだけの会話ですが、日本語のかなりよくできるロシア人でも訳せるかなぁと思いました。山田洋二、武士の一分、キムタク、寅さん、帝釈天、華麗なる一族(山崎豊子著)、加齢の意味が全部わかっているのはずっと日本に住んでいないと…
ということは、これはもうほとんど、さとうさんはロシア人なのでしょう。
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驚きました。小話に関する限り別にロシアに住む必要はないといういい例です。付け加えることはありません。チャパエーフやホッタブィチは映画になっており、モスクワでは一度テレビで見ましたし、ビデオも持っています。もしご覧になっていなければいつかご覧になることを勧めます。ちなみにこのползтиも定動詞です。私の訳は、
亀が二匹北極を這いずっています。そのうちの一匹がこう尋ねました。
「雪の女王をからかってやろうよ」
「なんてことを、ペーチカ。ホッターブィチ老をからかってこの始末なのに」と二匹目は答えました。
解説)チャパーエフとペーチカの会話。ホッターブィチ老をからかって亀にさせられたということ。

Posted by メイ at 2006年12月18日 18:55

残念ながら、今回はお手上げです。
オチが何なのか、まるきりわかりません。
訳のほうも背景知識がないため2通りの解釈で宙ぶらりん状態でした。
最初の発言は疑問文でなく、「Давай」があるため、спрашиваетはおなじみの「質問する」ではなく「ある行為の実行を求める」という意味だと辞書にのっていましたが、その後の発言「Да ну тебя」は相手の誘いに「もっともだ」と応じると解釈すればтакは「そんなふうに」つまり、「ホッタビッチ老人をからかったように」となりそうです。(そうであれば何故какを使わないのかという疑問が生じます。)また「Да ну тебя」を「何言ってんだ!」「冗談きついぜ!」という意味に取り、и такを「そうでなくたって」と言う意味で解釈すればこれも前後がつながり「そんなことはしなくてもホッタビッチ老人をからかったじゃないか」という意味になりそうです。ですが、どのように訳すべきか、文字をにらんでも決め手が見つかりませんでした。ロシアの大衆文化になじんでいればстарик Хоттабычでピンとくるのでしょうね。最終的には後者の解釈のほうがいいのかなという気はしましたが、オチが・・・

PS
メイさんのコメントを読んで納得しました。何で亀なんだ?と一瞬思ったもののそんなこともあろう位にしか考えませんでした。カメヘン、カメヘンてな感じです。大衆文化の吸収まで行くには相当の年月が必要になりそうです。余裕をもって楽しめるようになれたらいいと思いました。

Posted by takahashi at 2006年12月19日 14:22
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